「半分、青い。」の世界観をつくる要素の一つ、美術セット。
今回は岐阜編で登場する「喫茶ともしび」と東京編で登場する「喫茶おもかげ」について、美術担当の掛幸善デザイナーと岩瀬夏緒里デザイナーに聞きました。
「喫茶ともしび」はオレンジで、岐阜のふるさと感を表現
名前が「ともしび」ということもあり、色は火のイメージである「オレンジ」をメインカラーにしています。オレンジは大衆性のある色であり、当時流行っていた色でもあるので、色で「懐かしい喫茶店」の雰囲気を演出し、「岐阜のふるさと感」を表現しています。
また、後から登場する「ともしび」と「おもかげ」を差別化するため、それぞれ色味の違うお店にしなければなりませんでした。そのため「ともしび」はあまり余計な色は加えず、オレンジ・茶色・赤という厳選した色を使っています。
「喫茶おもかげ」は青で、都会の落ち着いた雰囲気を演出
東京編で登場する「おもかげ」は、鈴愛や律が来たときに外観を見て「ともしびじゃん!」となるように、看板などの形は全く一緒にして色だけ変えました。色は「ともしび」と対極の青をメインカラーにして、クールで洗練された感じに。レンガ状の壁などを使って、都会の落ち着いた喫茶店を表現しています。
-
▲オレンジや赤などの暖色系の色で、親しみを感じる「岐阜のふるさと感」を演出。 -
▲「ともしび」という店名だけに、間仕切りは火の模様です。
-
▲青いレンガの壁は、クール感を引き出して落ち着いた雰囲気を作ります。 -
▲カウンターの裏側もこだわって設計しています。
2つの喫茶店が似ているのは、マスター同士の「ヒミツの裏設定」
実は「ともしび」のママ・まさこと「おもかげ」のマスター・シロウは昔、岐阜で行われていた野外音楽イベント「中津川フォークジャンボリー」で出会い、交際していたという裏設定があります。
その後、二人は別々の道を歩むことになりますが、まさこは岐阜のふくろう商店街で、シロウは東京で喫茶店を開きます。
こうした裏設定も、美術セットを考える上で、セットのベースを一緒にしたり、内装に色を付けられたりと、非常に役立っています。
そして、マスター同士が「音楽」をきっかけに出会ったという設定のため、どちらのお店にも音楽を感じさせるセットがたくさんあります。
-
▲ともしびは歌謡曲のレコードやアコースティックギター、ミラーボールにカラオケステージでB級感ある親しみやすさを演出。カラオケは実際に曲を流すことができます。 -
▲おもかげはジャズのレコードやトランペットをおしゃれに飾ってます。ホルンの形をしたランプ、エレキギターで落ち着いた都会の雰囲気を表現。
-
▲「ともしび」のダイヤル式の電話。10円玉しか使えません。 -
▲「おもかげ」はボタン式の電話。10円玉・100円玉が使えますが、テレホンカードは使えません。
-
▲壁には色々な観光地のお土産を飾ってあります。ちょうちん、ポストカード、置物、キーホルダー等がずらり。 -
▲カウンター奥のスペース。レコードやグラス、お酒や調味料などを綺麗に飾っています。