国内トップレベルのe-sportsチーム「DetonatioN Gaming」に1年間所属してみた。
はじめに
これから先、ゲームで育った世代が社会を担うようになった時、
e-sportsやプロゲーマーというものは一般化されていくと思っています。
ただ、今はまだまだ黎明期だと思っていて、
何十年後かにこの記事を見た時にこんな時もあったな。って笑って言えると信じて記録として残します。
この時代のプロゲーマーの世界に足を踏み入れて、自分の思ったことや感じたことを書きなぐっていきます。
最近でた、デトロイトなんちゃらうんちゃらってゲームの影響か、
20年後の自分が読む記事と思って理想の世界とかそんなんを想像して書いたので
かなりイタイかもしれませんお気をつけて。
僕の主観で書いていくので、こういう考えもあるんだな程度に思ってもらえれば幸いです。
批判は結構ですが、傷つくのでこっそりしてください。
自己紹介
はじめましての方もいると思うので
まずは自己紹介を...
YushiというPN(プレイヤーネーム、ゲーム内での名前)で
様々なゲームを嗜むゲーマーです。
対人系のゲームが特に好きで『OPENREC.tv』で配信しています。
ゲームの経験は
幼稚園の頃にSFC(スーパーファミコン)のFF5からはじまり、
小中学生ではPS2やDSのゲーム(FF系だったり、RPGが多かった)
高校生になってアルバイトを始めてからは
ゲームセンターのいわゆるアーケードゲーム(Lov2.3)
大学に通いだしてからはアーケードやソシャゲ、PCゲームと
対人系のゲームを好んでプレイしていました。
アーケードゲームのLovシリーズに関しては、全国ランカー(100位以内のランキングに載っている)になり、全国決勝の舞台に進出したりするくらいにはどっぷりはまり込んでお金もその分つぎ込んでいました。
ゲームセンターのゲームですからお金もかかります、バイトで稼いだお金をほぼそのままLovの筐体に貯金してましたね。
1プレイ平均150円で1戦約15分を約2万戦ほどしたので
おおよそ5000時間と総額300万弱かかった計算になります。
学生の「時間がない」は言い訳と、言われる所以がよくわかります。
ワイトもそう思ってくれるはずです。
それでもゲームセンターのアーケードゲームはやっぱり楽しかったです。
家庭用ゲーム機では実装できないような大型の専用筐体で遊ぶのはもちろん、
(この下の盤面にカードを置いてそれが反応して動くんですよ!?すごくないですか!)
リアルでたくさんの人と交流が生まれますから。
お金がかかるというのもあって、年上の人が多かったのですが
それでも地元のゲーセンでよく見る人とは、すぐ仲良くなれます。
なんせ同じ趣味の人たちが集まっている場なので仲良くならない方が難しいくらいでした。
毎日のように夜はゲーセンで集まって閉店したら、みんなで飯食ってからコンビニでだべってゲームの戦略とか話し合う。
そんな学生時代を過ごしていました。
プロゲーマーになったきっかけ
ここからが本題ですね。
ある日、ハマっていたソシャゲのひとつ『Shadowverse』の最初の大型大会RAGE.vol3で約1000人中ベスト16まで勝ち残り賞金をもらいました。
このゲーム『Shadowverse』のプロゲーマーになったわけですが、僕の場合この大会での結果が大きく影響したわけではありません。
大会での賞金授与のやり取りの際に、この大会を主催しているゲーム配信サイト『OPENREC.tv』から、ゲーム配信をしてみないか。とお誘いをいただきました。
元々ゲーム配信自体には興味もあったのですが、ゲーセンにばかり行っていたものですからあまりPCの操作などにも慣れておらず敬遠していました。
そんな中、配信環境なども提供していただけるという
ありがたい条件を提示していただき、ゲーム配信をはじめました。
が、やはり最初のうちは、全く視聴者も集まらず手ごたえを感じませんでした。
ですが、負けず嫌いな性格や、やるからには徹底的にやりこみたい性格だったため
どうすれば視聴者が付くか調べたり、データを取ったり、人気配信者はどういったことをしているかということをリサーチしました。
その時に、ゲーム実況において意識するべきだと思った要点が以下の3点でした。
・他の配信者がやっていないことをする。
・ゲーム実況は少し荒いくらいの方がウケがいい。
・同じゲームを他の配信者がやっていない時に配信する。
当時は一切公開する気はなかったのですが、
いまや配信をしない人でも一般的になっていることもあると思います。
そのころのゲーム実況をしている人は、自分が王様で視聴者は配信にコメントするモブと思っている人だったり、だらだらとゲーム画面を写すだけな人がどうにも多く感じました。
そのため、僕は
「ゲーム実況なのにやけに丁寧に視聴者と接する上に、 →満足度への直結
新しい企画をポンポンやってて飽きないし、 →質の高い視聴体験
シャドバの配信この人しかやってないから見てみよー」 →新規獲得の鍵
というまさに、
「おれの考えた最強装備」
で身を固め配信をすることにしました。(画像はダークソウル3:無名の王装備一式)
新しい企画としては、24時間耐久配信や、自分で大会を開催して運営したり、プレイの一つ一つを丁寧に解説したり、視聴者との対戦企画、などを実行し
毎日継続的に配信をしていくことで一定のフォロワー数、視聴者数を獲得しました。
それからありがたいことに『OPENREC』の公式生放送にもお呼ばれしたりしました。
新弾が出るときにはここぞとばかりに、耐久配信をしたりと...
耐久配信に関しては、やってるうちに2chのスレなんかでも、
「29連勝したやつの配信見に行ったら、配信開始20時間前ってなってて生放送なんだけどどういうこと?」
とかいう書き込みもあってしめしめと思ってましたねw
実は最初のDNGのShadowverse部門メンバー募集の際に、最終選考まで残り面識があったのもあり、配信が伸びてきているというところに着目していただき3人目のメンバーとして入れて頂けないかと掛け合いDNGに所属まで至りました。
なぜプロゲーマーになろうと思ったのか
現代社会と言いますか、昨今の学生だったりっていうのは少なからずゲームと触れ合う機会っていうのは多いと思うんですよ。
ただ、僕が学生のころはまだまだ”ゲームは悪”といった風潮が強くて、
そんな中ゲームっていう言葉自体がなんかこう黒い言葉というか、
趣味がゲームっていうことを恥ずかしくて何となく隠してしまう。
だけど、そんなゲームを胸を張ってプレイできる仕事としてプロゲーマーというものがあることを学生時代に知りました。
やっぱり、まだ社会に出てないがきんちょにとって、それは輝かしい存在に見えました。
ただね、世の中の企業は慈善団体ではないから、
悪いオトナが悪条件でなんでもプロゲーマーなんて呼んで若い力を利用したりするところもある、っていう認識はそのころの僕にもなんとなーくありました。
「だから、僕はプロゲーマーにならない」じゃなくて
「まともそうなプロチームに入りたい」
ってやっぱり夢、追ってました。
国内トップレベルの『プロeスポーツ』チーム DetonatioN Gaming
実績と名声の一番大きいこのチームに入って内情を知りたい。
その思いから一度応募して最終選考まで行くも不合格。
でも、やっぱりやるからにはやりきりたい。
そんな負けず嫌いな思いから、配信でがんばって不合格にしたのを後悔させて
もう一度チャンスをもらおう。
その一心でがむしゃらに努力して、チームに入るに至りました。
人間やろうと思えばなんでもできると思う派の人間です、僕は。
はれてプロゲーマーになりました
DetonatioN Gaming SV部門所属プロゲーマー
なんて響きがいいじゃないですか。
すごくうれしかったです。
自分のやってきたことが誰かに認められる。
これって誰でもうれしいと思うんですよね。
でも、僕はプロゲーマーの形というものにはずっと疑問が残っていました。
プロゲーマーになってなにか変わったか?
いままで僕がしてきたことは継続して続けていく、
チームの一員という自覚を持ち活動する。
チームの一員じゃなくても一つ一つに責任はもって取り組んでいたし、
いままでと何も変わらない。
それが事実でした。
周りの誤解を招くから、その疑問が解決するまでは決してプロゲーマーを名乗ることはやめよう。
そう決心していました。
もちろんこれは僕の場合です。
契約だって僕がもともと個人で『OPENREC』で結んでいたりで、給与とかそういうのが発生するとかしないとかも人によると思います。
大事なのはもちろん自分自身だし、
それを生かすも殺すも自分次第ってことはわかっていたからこそ所属してからも
けどそれって、一つのチームに認定されただけで
資格も何もない世界でこの実績を将来につなげられる?
そう考えたら現状のプロゲーマーっていうのは、
ゴールではなく本当の意味で通過点でしかないと理解してもらえるかと思います。
e-sportsの世間的には大御所にあたる、チームの名前を借りて活動することができました。
これっていうのは本当に大きいことで、言うならばお墨付きをもらったという意味合いになります。
ただ、それというのは同時に、仕事としての出演依頼や配信を見に来てくれる視聴者は、自分とチームどちらを見て興味を持ってくれるようになったのだろうか、と疑問に感じるようにもなりました。
新しいことに取り組むにしても、自分ひとりの力でやってもできなかったことなのかどうかがわからないという葛藤がありました。
そんな状態でも配信も続けていくうちに、
ありがたいことにたくさんの番組にも出演する機会をいただきました。
シャドバ道場、シャド場、JCG解説、ゲーム飯、と演者としてのたくさんの経験を積ませていただきました。
プロゲーマーの定義
定義としてまだはっきりとしていないのに
プロゲーマーという言葉でひとくくりにするのは本当によくないです。
プロ野球選手、プロサッカー選手、プロバスケ選手はそれぞれのスポーツのプロっていうのが一言でわかるのに、
プロゲーマーってまとめられてはFPSかMOBAかDCGなのか一切わかりません。
そういった部分の細分化が進んでいない点からも、メディアを利用していい形ばかりを伝えようとするからずっとぼやけたイメージが払拭できていないと思っています。
言葉だけが先に走ってしまって中身(給与や資格、キャリアプラン等)が
追い付いていないままの現状で
「うちに所属すればプロゲーマーだよ!」なんていうチームが増える一方なら
怪しい業界と言われても仕方ないなと感じました。
プロゲーマーは仕事なのか
プロとして~~
仕事でやってて~~
そんな批判的な意見もたくさん聞いてきました。
所詮、内部を知らない人間からするとそうなりますね。
そういう目で見られるものってわかって入っていても辛いものです。
でも、そんな僻まれるほど贅沢してないよ。
なんなら、
チームに加入してから約半年間の番組出演料を滞納され、
そこから半年間分の出演料も未納のままでした。
そのことを言及する度、
経理がいないだとか言われてあしらわれて、
いざ経理から連絡来たかと思えば
滞納という言い方は穏やかではない、と本質から逸らされ謝罪などもない。
滞納以外の何事なのか。
こちらは言われたことは守り、忠実にこなしてきたというのに。
そんな憤りすら覚えました。
社会的に最重要ともいえる金銭的な部分を曖昧にされ、
そんな状態になった時点で信用は0でした。
その頃から、仕事を探して働き始めましたが
プロゲーマーをしていたなんてゲーム業界でも経歴に値せず、苦労しました。
最後に
めちゃくちゃゲームがうまい人のプレイを見るのは面白いし、
そのトップレベル同士が対決しているところなんかはもう見入っちゃう。
対人ゲームが好きな僕は、e-sportsの発展を本当に願っています。
「発展を願うならその礎として我慢しろ」、
なんていうのは僕は耐えられませんでした。
ゲームのプロ選手を志す人にとって大事なのは
本当に人と企業によると思います。
今の時代でも全員が全員不遇ではないと思いたいし、
僕だって運が悪くてやる気が削がれただけかもしれません。
今となってはいろいろなメディアがe-sportsについて報じていますが、
選手を応援しようと思う純粋な気持ちを押すことは結構です。
ただ、良い点だけでなく悪い点など、
内部の事実も伝えていかないと真実はまるで理解してもらえません。
プロとして~~
仕事でやってて~~
といった意見がでてくるのも、そんな内情が全く知らされていないからこそ言える言葉だと思っています。
今はまだこんな環境だけど、
本当にゲームが好きだからこそe-sportsには発展してほしい。
そういう気持ちがなければこうして事実を公開することもないと思います。
いいところばっかり取り上げられてるプロゲーマーを見て、
夢見る学生の人生を棒に振ってほしくないから。
選手を利用した舐めきった出来事が、繰り返されるうちは発展しません。
ダンジョンのような、まとまりもない拙い文章を最後まで読んでいただき
大変うれしく思います。
将来、みんなでゲームバーでe-sports観戦できることを願っています。