通常国会終盤に入っても「モリ・カケ」で悪戦苦闘している安倍晋三首相ではあるが、「外交の安倍」で何とか内閣支持率下落に歯止めがかかったかに見える。
日本経済新聞社とテレビ東京の合同世論調査(5月25~27日実施)で、安倍内閣の支持率は前回比1ポイント減の42%、不支持率が2ポイント増の53%となり、依然として支持、不支持は逆転状況にあるが、支持率低下は底を打った感が強い。
そうした中、今後の政局で最大のエポックメイキングとなる安倍首相の自民党総裁3選の成否を占う材料として、永田町の耳目を集める新潟県知事選(6月10日投開票)に関する興味深いデータが手元にある。
それはA4版4枚の「新潟自民党調査 5/26-27サンプル数2018件」と題されたものだ。表題を単純に解釈すると、自民党新潟県連が独自に実施した世論調査ということになるが、同党本部が県連の協力を得て民間の調査会社に委託したものではないか。
要は、その中身である。今回の選挙は、自民、公明両党支持の花角英世候補(元海上保安庁次長)と立憲民主、国民民主、共産、自由、社民党の野党5党推薦の池田千賀子候補(元県議)の一騎打ちだ。
支持率変化を記載している同データによると、支持率は花角候補:41.2% → 43.3% → 44.0%、池田候補:38.2% → 38.1% → 39.1%で、両候補は共に微増ながら支持率を伸ばしているものの、接戦を演じていることが分かる。
不思議なことに、永田町周辺で国民民主党が同日に実施した世論調査の「結果」なるものが流布されている。そこには、「池田(千賀子候補)43.9(%)、花角(英世候補)33.7(%)」という数字が記されている。両候補の差が10.2ポイントと余りにも大きいので、自民、公明党サイドが危機感を煽り、花角氏選対の引き締めのために流した可能性が指摘されている。
朝日新聞社を始め主要メディアは6月2、3両日に情勢調査を実施するので、週明けの4日には知事選後半戦入りする直前情勢が分かるはずだ。
新潟県知事選が注目されるのは、野党5党が「原発再稼働反対」を前面に押し出した選挙戦を行っていることと、知事選の結果が9月の自民党総裁選で「安倍3選」の成否に大きな影響を与えるからだ。
万が一、二階俊博自民党幹事長の運輸相時代の秘書官を務めた花角氏が敗北するようなことになれば、党内から二階執行部批判が噴出するだけでなく、来年4月の統一地方選と7月の参院選を念頭に「安倍の顔では選挙ができない」といった声が上がり「安倍3選」に黄信号が灯りかねない。