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ゆずが20周年を経て語る、ゆずに求められている事、今歌いたい事

ゆずが20周年を経て語る、ゆずに求められている事、今歌いたい事

ゆず『公園通り』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:木村篤史 編集:川浦慧
2018/06/01

デビュー20周年を迎えた今もなお、その変わらぬ人気と勢いによって音楽シーンのど真ん中を突き進む、ゆず。今年4月にリリースした通算14作目となるアルバム『BIG YELL』を引っ提げた全国ツアーの真っ只中である彼らが、配信シングル“公園通り”を5月29日にリリースした。そのモチーフは、ゆずの2人にとって思い出深い、渋谷・公園通りであるという。<公園通りでこんにちは / 懐かしいあの頃に出会ったんだ>というフレーズから始まるこの曲。今を遡ること20年前、渋谷「公園通り劇場」で、初の有料ワンマンライブを行ったという彼らが、今改めて思いを馳せる「ゆずの原風景」とは、果たしてどんなものなのだろうか。

5月某日、そのミュージックビデオを撮影するため、渋谷・公園通りを訪れた、ゆずの2人に密着。撮影の合間を縫って話を聞いた。前シングル“うたエール”のMVを、自身のルーツである横浜・伊勢佐木町で撮影するなど、今再び自らの足で「思い出の地」を訪れることを意識しているように思える彼らの真意とは。全国ツアー真っ最中に行われた貴重なインタビュー。

「渋谷の街を、ゆずがギター持って歩くとか大変ですよ」とか、そういうことは一旦置いといて(笑)。(北川)

—今回は、渋谷・公園通りで新曲“公園通り”のミュージックビデオ(以下、MV)撮影を行いました。ゆずというと、伊勢佐木町のイメージが強いですが、2人とって公園通りはどういう場所なのでしょう?

北川:伊勢佐木町は、僕らがゆずとして歌い始めた場所、僕らがゆずになった場所なので、すべての原点であり、それなしでは語れない場所だと思うんですよね。それに対して公園通りは、僕らが路上からプロの世界に一歩踏み出した場所という感じ。それまでは、路上のフリーライブだったんですけど、初めてお金をもらってライブをやったのが渋谷の「公園通り劇場」なんです。

—なるほど。渋谷は、ゆずが路上から次の場所に旅立った、プロとしてのスタート地点だったということですね。

岩沢:「ホーム」と「アウェイ」でたとえるなら、僕たちにとって伊勢佐木町は「ホーム」だけど、渋谷の街は、やっぱり「アウェイ」なんですよね。今日実際歩いて、また改めて感じました。電車に乗れば30分ぐらいで横浜に帰れるんですけど、それでもちょっと気持ちが引き締まる感じがあるんです。懐かしさもあるんですけど、やっぱり最初の挑戦の場というイメージがいまだにあるんですよね。

早朝5:30から始まったMV撮影中の様子。左から北川悠仁、岩沢厚治
早朝5:30から始まったMV撮影中の様子。左から北川悠仁、岩沢厚治

—今日、実際に公園通りで撮影してみてどうでしたか?

北川:まさか、渋谷の街をギターを弾きながら2人で歩く日がくるとは思わなかったですよね(笑)。ただ、今回どんなMVにしようかって考えたときに、いちばん嫌だったのは、普通に撮ることだったんです。キャリアを重ねていくことで、「これはもうやらない」みたいなものがあったりするじゃないですか。そういうのは嫌だなと思っていて。まあ、ゆずの場合、そういうのは、ほとんどないんですけど(笑)。

—たしかに、ゆずが公園通りでMV撮影する風景は、ちょっと普通じゃなかったです。

北川:「渋谷の街を、ゆずがギター持って歩くとか大変ですよ」とか、そういうことは一旦置いといて(笑)。最初のアイデアは、セルフィ―での撮影だったんですよね。全部自分たちで撮ってしまおうかって。そういうものを今自分たちが作るのは、すごく面白いんじゃないかと思って。

—20周年を経た今、ゆずの2人がそれをやるというのは、面白いですよね。

北川:前回の“うたエール”(2018年4月リリース)のプロジェクト(横浜・伊勢佐木町で2018人の参加者と一緒にMVを撮影した。参考記事:2020人のゆずがゲリラライブ。話題CMを東畑幸多と山田智和が語る)もそうだったんですけど、やっぱり「やってみよう!」っていう気持ちが、まず何よりも大事だと思うんですよね。で、いっそ自分たちで撮っちゃおうかと思っていたところに、大喜多(正毅)さんが監督で参加してくれることになって。だから、僕らの自撮り的なところもありつつ、手作りなアイデアがたくさん入っているんですよね。

なので、今日はMVを撮っている感じではやってなかったもしれないです。昔、自分たちでビデオを回しながら、しょーもない映像を撮ったりしていたんですけど、今日は何かそれぐらいの気持ちで一日やってましたね(笑)。

やっぱり、いちばん大事なのは、「渋谷で撮りたい!」っていう、その初期衝動だと思うんです。(岩沢)

—岩沢さんは、どうでしたか?

岩沢:大喜多さんとは、僕らがデビュー間もない頃から、何度もご一緒させていただいているんです。今回は結構久しぶりなんですけど、デビュー当初から知ってる安心感が、やっぱりあって。今日スチールを撮ってくれたカメラマンの木村(篤史)さんも、過去にアーティスト写真などを撮ってくれた方なので、信頼関係はバッチリのチームなんですよね。あと、今自分たちがいちばん気を付けていることとして、フットワークの軽さっていうのがあって。

—というと?

岩沢:キャリアを重ねることで、だんだんフットワークが重くなっていくことって結構あるじゃないですか。それは良くないと思っていて。だから、今日みたいに「朝4時半集合です」って言われても、「どういうこと?」とはならず、「渋谷の街中で撮るためには、その時間じゃないとダメだよね」って考えるというか。

やっぱり、いちばん大事なのは、「渋谷で撮りたい!」っていう、その初期衝動だと思うんです。だから、そこで「それはちょっと難しいです」ってならずに、「どうやったらできるんだろう?」「早朝なら大丈夫かな?」って考えるのは、すごく真っ当だと思っていて。そういう意味で、今日はすごく、健全な撮影会だったと思います(笑)。

もちろん、お金を掛けていいものを作ろうとするときもあるんですけど、今回みたいなときは、もともと路上でやっていた自分たちの得意技というか、フットワークの軽さみたいなものを、いかんなく出せたんじゃないかと思うんですよね。

MV撮影中の様子。大喜多監督とセルフィーでの撮影のチェック中
MV撮影中の様子。大喜多監督とセルフィーでの撮影のチェック中

MV撮影中の様子。公園通りを何度も往復した
MV撮影中の様子。公園通りを何度も往復した

—実際、渋谷の街に出ると、今回のジャケットに映っている渋谷PARCOが建て直しでなくなっていたり、20年前とはだいぶ景色が違っていましたが、そうやって変化し続ける、今の渋谷を映像に収めるというのも、意味のあることのように思いました。

北川:そうですね。音楽・映像・写真と、なんでもそうなんでしょうけど、やっぱりその瞬間を収めることに意味があるというか。それが何年か経ったあと、「あ、こうだったな」ってよみがえったりすることって、結構たくさんある気がするんですよね。だから、今まさに変わりゆく、変わり続けてゆく渋谷で撮影することができたのは、すごく意味があることだったように思います。

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リリース情報

ゆず『公園通り』
ゆず
『公園通り』

2018年5月29日(火)配信

プロフィール

ゆず
ゆず

北川悠仁、岩沢厚治により1996年3月結成。横浜・伊勢佐木町での路上ライブで話題を呼び、1997年10月、1st Mini Album『ゆずの素』でCDデビュー。翌98年6月にリリースした1st Single『夏色』で脚光を浴びると、その後『栄光の架橋』『虹』『雨のち晴レルヤ』などヒット曲を多数世に送り出す。現在NEW ALBUM『BIG YELL』を引っさげ、約35万人を動員するアリーナツアー<YUZU ARENA TOUR 2018 BIG YELL>を敢行中。

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