サッカー西野ジャパンに帯同する「謎の美女医」のカネとコネ
ロシアW杯開幕を間近に控えるいま、西野朗監督(63)率いるサッカー日本代表は、まだ混乱の最中にある。電撃的なハリルホジッチ前監督の解任劇に続き、メンバー選考への疑問の声も絶えない。そして、この“急造代表”に今、もう一つ懸念材料が浮上している。
代表チームに帯同する“紅一点”──そう呼ばれる女性がいる。2016年5月から代表合宿などで選手たちのケアにあたり、国際試合ではベンチにも座る美女医。それが土肥美智子氏(52)だ。
「土肥さんは国立スポーツ科学センターに所属するスポーツドクターです。まだ女医が少なかった1980年代半ばに千葉大医学部に入った才媛で、卒業後は画像診断医として慈恵医大病院などでキャリアを積みながら、スポーツ医学の道へと進んだ」(サッカー協会関係者)
土肥氏は2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪ではメディカルスタッフとして日本選手団に帯同した経験を持ち、日本サッカー協会の医学委員会のメンバーでもある。
「ハリルホジッチ監督のもとでW杯アジア最終予選を目前に控えていた2016年5月に“経験豊富なスポーツ医”という触れ込みで帯同ドクターとなりました。ただ、驚いたのはこの美女医が、その2か月前にサッカー協会会長に就任したばかりの田嶋幸三氏(60)の奥さんだったことです」(サッカー担当記者)
◆フランス語ができるから……
「2人が知り合い、結婚に至ったのは十数年前だといい、当時、日本代表のチームドクターを務めていた慈恵医大の整形外科医の紹介だったそうです。現在もサッカー協会の顧問を務めるこのドクターが2人の結婚にあたっては仲人を務めた」(同前)
ただ、いくらスポーツ医としての実績があるとはいえ、代表チームにはもともと、整形外科医のチームドクターとコンディショニングコーチが帯同している。そこに、わざわざ協会会長夫人である土肥氏が、内科医としてスタッフに加わる理由として、当初は「ハリルホジッチ監督がラブコールを送った」という話が強調されていた。
「土肥さんはフランスに留学経験があって語学も堪能であるため、ハリル前監督が求めていた“通訳を介さずに意思疎通できるメディカルスタッフ”の条件に合致したという話で、各紙そう報じた。土肥氏は明るくて周囲に気さくに話しかけるタイプなので、チームにうまく溶け込んでいたようです」(スポーツ紙デスク)
だが、そうしたなかで今年4月、田嶋会長が「コミュニケーションや信頼関係が多少薄れた」ことを理由に、ハリルホジッチ監督を解任すると発表し、事態は複雑になる。
後任の西野監督率いる日本代表では、当然ながら“フランス語が堪能なドクター”の必要性はなさそうだが、「もともと技術委員長としてチームに携わっていた西野監督ともウマが合うようで、親しいという話を聞く。ロシアにも帯同するとみられている」(前出の協会関係者)のである。
西野監督のもとでは、本田圭佑(31)、香川真司(29)らハリルホジッチ監督が代表から遠ざけていた“ビッグネーム”が招集される一方、海外で活躍中の中島翔哉(23)が外れたことなどに疑問の声も噴出している。
「協会の強引なやり方に疑問を持つ選手やスタッフも当然います。代表に帯同する会長夫人を“お目付役”と受け止める者も出てくる。本来、帯同ドクターはちょっとした体調の異変などを気軽に相談できる存在であるべきなのに、それが会長夫人のままで大丈夫なのか。
会長と名字が違うので、世間一般にはあまり知られていないが、仮にロシアで惨敗すれば田嶋会長批判が高まるのは確実で、この“身内重用”も問題になるのではないか」(同前)
不協和音が生じているチームのさらなる懸念材料になっているというのだ。
◆ガバナンスがなってない
協会は土肥氏が帯同ドクターに選ばれた理由を、「内科医としての実績、国際大会における豊富な経験があることから、JFA医学委員会に推挙された」(コミュニケーション部)とする。田嶋会長の妻であることは選任と「一切関係ない」とし、日当は規定額を支払っているという。公益法人のガバナンスに詳しい慶応大学の中島隆信教授はこう指摘する。
「そもそも、様々な税制優遇を受ける公益法人のトップである人の身内が、その法人から報酬を得て仕事を請け負うことに賛成できないし、ガバナンス上、適切だとは思えません。そういう採用をすると、何か問題が起きた時に客観的な評価や説明ができるのかが担保できなくなる。たとえば、医師としての診察に疑念が生じた時に、会長や周りにいる理事がそれを指摘できるのでしょうか。その人の能力の有無は別にして、身内の採用は避けるのが当然です」
協会は、土肥氏がロシアにも帯同するかは「5月31日のメンバー発表に合わせて決定する。現時点では決まっていない」とした。西野ジャパンで“選考基準”が問われているのは、選手だけではない。
※週刊ポスト2018年6月8日号