2018-04-16 昔の私たち
同じところを回っているような気がする
先日、車で郊外へ出かけて、ファミレスに入ったのだが、そこで、ある親子が気になった。幼稚園児と思われる子が、延々と母親に質問をしている。
「ねぇ、〇〇と〇〇を買うんだよね、ね」
「そうよ、買うわよ」
「〇〇を買ってから、〇〇を買うんだよね」
「そうだけど、今はごはん食べないと」
「ごはん食べたら、〇〇を買いに、スーパーへ行くよね、ね」
「そうよ、だから、ごはん食べてね」
「なんで、先に買いに行かなかったの、なんで?」
「今は、ごはんを食べる時間だから」
「〇〇を買いにいくんだよね、次に行くよね」
というような、ただただ投げかけられる問いを母親がいなしていたんだが、父親がたまりかねて間に入り、
「まず、ごはんを食べないと。座って、食べて」
クネクネと床に転げまわりそうな子を支えて座らせて、食べさせようとしていた。
それを見ながら、あぁ、これは、昔の私たちだなと思った。
いわゆるグレーゾーンと言われている子たち、扱いがめんどくさい子たちは、だいたいこんな感じに、親を困らせる。就学前だと、こんな感じに、我儘を言っているのか、疲れているのか、よくわからないが、親が困ってしまう状況を、いろんなところで、作り出す。と思う。
「なに言ってんの、どんな子でも、こんなことはあるから」
とよく言われるし、実際、こういうことはどんな子でも起きるんだろうが、その頻度が全然違うし、一般的なご機嫌取りになることをしようが、どうにもならないときはならない。しつこさと、関係がないことを次々とつなげていく、論理性のなさ。
息子が生まれる前は、私も、ずっと娘の問いに答え続けていた。家事をしながら、延々と付き合っていた。子どもってそういうものかと思っていたので、疑問にも思わなかったんだが、クイズタイムショックの回答者として生きている感じはしんどかった。レスポンスが遅いと、娘が癇癪起こして怒られるから、必死って、異様だよなぁと。
それは、今だからわかることで、当時は、なにがなんだかわからず無我夢中だった。
診断を受けるか、受けないか。みたいな話を、ママ友とすると、受けるメリットというのは、親がホッとすることだみたいな話になることも多い。
「なんだ、これは。なにがしたいんだ? なにを考えているかわからない」
「私の育て方が、なにか間違っていたの?」
「なにかひどい目にあったのかしら? なんなのいつも親を苦しめて」
というような悶々した悩みがはれて、スッキリした。
要はそこに問題がある。ということに気付くと、それに対処していけばいいのだと、道が開ける感じがした人は少なくない。
一方で、診断がくだされて、悪い予感が当たったことで、落ち込むこともある。あーやはりそうなんだ。生得的なものだから、治ることはないというのも、説明をされるから。そのショックから立ち直るのに時間がかかる人も少なくない。
認めたくないという思いを引きずる人もいる。
でも、最近思っていたのは、診断があろうが、なかろうが、子どもとの付き合いにほとほと疲れたら、
「発達に問題があるのではないか?」
という意識をもって、子どもと接してみてもいいんじゃないかと。
私が発達の問題を考える前は、しつけというと、世の中にある一般的な流れに、子どもを合わせよう。その場でに合わせた態度や、ある一定の水準を目指して努力させるようなイメージで接していた。だが、「発達に問題がある」という前提で付き合い方を勉強するうちに、そうではなく、子ども自身に環境を合わせて、子ども本位な形で教えなければ、教えたいことは伝わらないと意識するようになった。
それからは、かなり楽になった。
「この子はこのままでいい。私が、この子の良さを見つけて、のばしてやろう」
みたいな気持ちで向き合うようになったら、子どもが変わっていった気がする。
もちろん、時間はかかるし、努力は水の泡みたいなことは今でもあるし。いつも同じところを回っているような気もする。
でも、時間はかかるが、少しずつ変わっていく。ぐるぐる回っているだけではなく、少しずつだが、上へ上へと伸びている、みたいに育つものだと、振り返って気づいた。
だから、ホントは、あのお母さんとお父さんに声をかけたかった。
「ちょっとなにがしたいかわからなくなって、混乱しているだけだから。
そんな哀しい顔をしなくても大丈夫ですよ。
そうやって話を聞いて、いつでも、あなたのことを見ているよとしていたら、きっと安心するようになりますから。
だから、心配しないで。
どんな子でも、ゆっくり育っていくから」
あさイチでグレーゾーンの話が出たみたいだけど、どういう内容だったのかな。
追記
あさイチで、同じ苗字、同じ年代の子がケースとして使われていたみたいだ。
「普通っぽいのに普通にできることができないショックが大きい」
みたいなことが困っているようだったが、むしろ、うちは、
「見た目できそうだし、この成長度合いから推察してできるだろうってことが、できない。驚くぐらいできない」という感じをどう受け止めるかという段階かな。ショックはもうないw
グレーゾーンの子たちもいろいろなタイプの子がいると思うから断言はできないが、自分でそれなりに自然と工夫をして、できないことをそれなりにできるようにはなっていく子は少なくないと思う。
「しっかりしたねぇ。成長したね」
と久しぶりに会うと、ジャンプアップして能力が伸びていることも多い。
その辺、どうしてそうなったかわからないが、なんらかのきっかけで、本人の気づきがあると、成長する気がしている。
一般的な、教えてあげたものを、自分で反復して学習するのではなく、なんか、本人が“そうか、そういうことだったのか!”と自分の中でメソッドとして会得したらって感じなので、これは待つしかないのが難しいなと思う。
まぁ、他の子よりは10年は待つぐらい、そのぐらいゆっくりなんだと見ていれば、それほど焦らないと思っているが。さて。