ニャート

旧「一橋を出てニートになりました」。出版社を過労で退職→引きこもり→派遣社員を経て、社会のあり方について思うことを書いています。

「女性が風俗に行くのもアリ」マジメな性開発の話|「1122」3巻

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渡辺ペコ「1122」(いいふうふ)3巻が出た。
結婚7年目のなかよし・子なし・セックスレス夫婦が「婚外恋愛許可制(公認不倫)」を選択したという話だ。

3巻を読んで、2つ驚愕の気づきがあり、私は未知の世界に意識が飛んでしまったので、それを書きたい。

女性が風俗に行くという選択肢もアリ

1つ目は、「女性が風俗に行くという選択肢もアリ」についてだ。

「1122」の夫(おとやん)は、妻公認で不倫をしている。
しかし、妻(いちこ)は、元々は自分が発案した公認不倫なのに、恋愛で浮かれる夫を見て複雑な気持ちを抱くようになった。

そんな時、いちこが抑圧している心の声「インナーいちこ」が出てきて、いちこの心を代弁する。

「もしこのまま一生セックスがなかったら寂しい とても」

(中略)

「オットがだめならヨソでまかなえばいいじゃない むしろそれでイーブンだよ?」

たまたま、いちこは友人から、あるエステの裏メニューに女性向け風俗があることを知る。
そして、オーナーが厳選する男の子に、実際に会って舞い上がる。
(ここまでの内容・引用は1122(2) (モーニング KC)より)

3巻では、遂にいちこは風俗に行く。
だが、夫が急なぎっくり腰になったため、未遂で帰ってくる。

弱った夫を見ながら、風俗の男の子を回想するシーンがリアルだ。

弱ってるおとやんはしきりに
平和な未来を夢想している

わたしは夫の身体に触れながら
(おとやんは体型ちゃんと保ってるけど肌の張りと質感が違うんだな)
別の男の体を思い出してしまう

病めるとき健やかなるときを重ねながら
静かに少しづつ確実に
年をとっていくわたしたち

この男女逆のシーンは、日々どこかで起こっているのだろう。

なぜか「風俗は浮気には入らない」と主張する男性は多い。
しかし実際は、風俗で若い子の体を楽しんだ夫は、帰宅後に妻と比較したりするのだろう。

それなら、「風俗は浮気には入らない」と男性が主張するのなら、女性も風俗に行ってもいいんじゃない?

個人的な性の領域は、たとえ夫婦でも、完全には共有できない

2つ目は、

つまり夫婦だろうが恋人だろうが性の部分はそれぞれの個人的なもので

共有できるのはその一部だってこと

についてである。

これは、マンガ内の図が秀逸で目からウロコだったので、引用させていただく。

f:id:nyaaat:20180601200132p:plain

1122(3) (モーニング KC)より引用)

一人ひとりに、個人的な性領域(図の丸)がある。
夫婦といえども、性の相性が悪いと、ふたりで領域を共有することができない。


また、上の図をヒントに、私が勝手に考えた図も載せる。

f:id:nyaaat:20180601200233p:plain

(ここからは100%私の勝手な考え)

例えば、配偶者や恋人がいても「性行為より自慰が好き」という人がいる(私はそのことを別に悪いとは思わない)。
その場合は、個人的な性領域(以下「器」)において、自慰的なもの(個人的なフェチとか変態的なものなど)が占める割合が多いのかもしれない。

また、器の大きさ(性欲の多寡)は人によってちがうだろう。
器が大きい=性欲が多い、だけど、器が大きくても未発達な人もいるだろう。
つまり、性欲に飲み込まれてコントロールできない、自らの傾向や満たし方を知らないといった場合だ。

性の相性が悪い夫婦は、「個人的な性領域」にどう折り合いをつける?

さて、「1122」の夫婦は、性以外は、問題のない夫婦である。
愛しあい信頼しあっている、だけど性行為の相性だけは悪い。
そうした夫婦は、自らの「個人的な性領域」とどう折り合いをつけていけばよいのか?

例えば、結婚まで性経験がなく、夫と相性があまり良くない女性がいたとする。
その場合、個人的な性領域は未発達のままかもしれない。

不倫がタブーであるなら、一生、未発達の器を抱えて生きるしかないのだろうか?

「個人的な性領域の開発」(スキルアップ)という盲点

そこで、1つ目の「女性が風俗に行く選択肢もアリ」に戻る。

私の中には、自分の性領域を開発する、つまりパソコンスキル等のようにスキルアップできる、という考えが全くなかった。

私のような、器が未発達な女性の10〜30代を、時系列で見るとこうなる気がする。

10代~20代前半:「セックスしちゃダメ」
20代後半~  :「疲れてセックスできない」
30代~    :「妊娠のためにセックスしないと!」

女性の場合、少女時代は性に興味を持つことをタブーとされる。
だから、性領域の開発という概念自体がなく、やり方も分からない。

さらに30代になると、セックスは妊娠と一体であり、妊娠の必要性を考えずにセックスを考えることなど、私はなかった。

しかし、「女性が風俗に行くという選択肢もアリ」なら、世界は広がる。

私は、性産業の構造が嫌いなので、風俗は利用しないだろう。
だが、ときには自分の未発達な性の器と向き合って、どうしたら器を磨くことができるのか考えることも、もしかしたら人生には必要なのかもしれない。
そして、器を磨くのには、私の思いもよらない選択肢がまだまだあるのかもしれない。

私(ニャート)の中の「インナーにゃーと」に聞いてみた。

「もしこのまま一生セックスがなかったら寂しい?」

やっぱ、めんどくさいから、なしでいい。

だけど今後、VR(バーチャルリアリティー)が発達したら、例えば、若い女性の映像を経験豊かなおばあちゃんが操作して、見知らぬ他人とバーチャルセックスできるような世の中が来るかもしれない。

そうしたら、その時に考えるよ。
まずは、性別という囲いを超える方が先かも。

1122(3) (モーニング KC)

1122(3) (モーニング KC)

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