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 グーグル日本法人は2018年6月1日、AI(人工知能)技術の最新の研究成果について発表する報道陣向けセミナーを開催した。研究プロジェクト「Project Magenta」を担当するデイビッド・ハー氏が登壇し、手書き画像を機械学習させてイラストを自動生成するユニークな研究成果を説明した。

グーグルのデイビッド・ハー氏
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 一般的な画像解析AIは画像の中身をピクセル(点)の集まりとして把握する。「ピクセルに関する研究は昔からあるので、全く新しい形で画像解析する研究に取り組もうと考えた」(ハー氏)。ハー氏の研究では画像をベクトル(線)の集まりとして把握する。つまり、ペンで書いた結果の点ではなく、ペンで手書きする過程の位置や向き、書いた順番から画像を解析する。

「Project Magenta」で開発したイラスト解析・生成AIの入出力例
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 膨大な数の猫や豚などの手書き画像を機械学習させた「猫モデル」「豚モデル」「バスモデル」などを構築済み。猫のような絵を手で描くと「猫」と自動認識する。目が3つある間違った猫の絵を入力すると、目の数を2つに自動的に減らして補正した絵を出力する。歯ブラシのイラストを「猫」として入力すれば、「歯ブラシ風の猫」の絵を出力する。

 猫モデルとバスモデルを合成すると、アニメ作品に出てきそうな「バス風の猫」を生成する。ハー氏は「イラストを書くクリエーティブな作業をAIで支援したい。子供の知育教材にも活用できるだろう」と話した。