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広瀬香美、事務所が「芸名使用禁止」を求める 芸名の継続使用について弁護士の見解は

事務所移籍を発表した歌手・広瀬香美。かつて所属していた事務所から「芸名使用の禁止」の抗議が寄せられたが、弁護士の見解は…。

エンタメ

広瀬香美

(画像は広瀬香美公式Facebookのスクリーンショット)

28日に事務所移籍を発表した歌手・広瀬香美(52)に対して、かつてマネジメント契約をしていた所属事務所「オフィスサーティー」が31日、公式サイトで「広瀬香美」の芸名使用の禁止を求めた。

 

■「広瀬香美」の活動禁止を求める

28日に自身のフェイスブックを更新した広瀬は「広瀬香美は、新たな事務所にて活動も新たにスタートを切りました」と報告。22日の更新でも「最後の最後までがんばった! そろそろ次のステージに出発です」とつづっていた。

これに対して、オフィスサーティーは公式サイトで以下のように抗議している。

「これまで弊社所属アーティストとして活動しておりました『広瀬香美』こと石井麻美氏は、弊社の許可を得ることなく、2018年5月28日付でインターネットにおいて『新たな事務所に移りました』等と発表しております。

 

もっとも、『広瀬香美』は弊社代表取締役である平野ヨーイチ氏が命名した芸名であり、『広瀬香美』の芸名の使用権限は,弊社及び平野ヨーイチ氏に帰属しており,弊社当社所属のアーティストとしての活動以外には,『広瀬香美』の芸名を使用できません。

 

弊社としては、このような石井麻美氏の一方的な対応に強く抗議し、『広瀬香美』の名を使用した芸能活動の一切の禁止を求めるとともに、断固たる法的措置をとる所存であります」

 

■「使用禁止はおかしい」と批判も

広瀬といえば、数々のヒット曲を出し、冬ソングだけを集めたベストアルバムではダブルミリオンを記録するなど「冬の女王」として知られている。しかし、芸名が使用禁止となるとそのイメージもやや薄れてしまう。古くから応援しているファンにとっては「いつまでも広瀬香美でいてほしい」というのが本音だろう。

報道を受け、ネット上では芸名の使用禁止に異を唱える声があがった。

 

はたして、芸名の使用禁止は可能なのか。しらべぇ取材班は、しらべぇコラムニストで、レイ法律事務所に所属する河西邦剛弁護士に話を聞いた。

 

■芸能事務所の請求は認められない可能性が高い

河西邦剛弁護士

 

河西弁護士:法律上「芸名権」というような明確な法的権利があるわけではありません。もっともタレントの芸名については芸名それ自体に経済的価値があります。なのでタレントが所属事務所を離れる場合「タレントがその後も芸名を継続使用できるのか」がよく争われます。

 

芸能事務所とタレントは専属マネジメント契約という名称の契約書を結ぶことになります。ほぼ全ての契約書において「芸名についての権利は所属事務所が持つことする。」「芸名が本名の場合においても同じとする。」という内容になっています。

 

そうすると芸能事務所がタレントに対して芸名の継続使用を禁止するように求めることができることになりそうですが、今回仮に訴訟になった場合においても事務所の請求が認められる可能性は低いといえます。

 

■独占禁止法違反の可能性

河西弁護士:昨今、国民的アイドルといわれるグループの退社や有名タレントにおける退社後の芸名の継続使用が話題になるなか、公正取引委員会において「芸能事務所が芸名も含めたタレントの権利を独占すること」は独占禁止法に違反する可能性があるという旨の報告書が公表されました。

 

このように芸能事務所とタレントとの契約が問題になるとともに、専属マネジメント契約の独占禁止法違反が示唆されている昨今の時代背景において、裁判所が専属マネジメント契約の有効性を認めて芸名の継続使用を禁止する可能性はかなり低いといえます。

 

今回のケースでは、芸能事務所は「事務所社長が命名した芸名だから」ということを根拠にしているようですが、裁判の結論が変わることはないでしょう。そもそも数十年も前に「誰が命名した芸名なのか」を裁判で立証することは現実的ではありません。仮に事務所が命名したと認定されたとしても、結局、契約書そのものが無効と判断される可能性があり事務所がその権利を独占するということは認めらえないでしょう。

 

■商標出願されている場合は

河西弁護士:元モーニング娘。の加護亜依さんのように芸能事務所が芸名について商標権を有しているケースもあります。しかしこの場合においても、本人には先使用権というのがあり、芸能事務所が権利を独占し本人の使用を禁止できるわけではありません。

 

今回のケースについては特許庁のウェブサイトを確認すると「広瀬香美」という芸名は商標出願されていないようです。今後、広瀬さんがかつて所属していた芸能事務所が商標出願することも考えられるところではあります。

 

しかし、芸名の権利について問題になることが多々ある時代背景もあり、特許庁においても芸名の商標出願についての審査は慎重になってきています。特許庁が芸能事務所による芸名の商標出願を判断する際、その出願の際にタレントの意思を確認する運用になってきています。そうすると、契約時の契約書に「芸名については芸能事務所が商標出願できる」と記載してあっても商標登録が認められない可能性が高いといえます。

 

「冬の女王」として多くのファンに親しまれている広瀬。これからも同じ芸名で活動するほうが、本人やファンにとっても好ましいと思うが、はたしてどのような展開になるのだろうか。

・合わせて読みたい→名前を変えたければ「芸名をつければ良い」という提案をする

(取材・文/しらべぇ編集部・らむたそ 取材協力/レイ法律事務所河西邦剛弁護士

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