Audi A3 8V Related
|
A5: VW Jetta が車齢 10 年を越え,天井から内装の布が垂れ下がってきて,容易に繕えそうにもないので,2016 年 8 月,盂蘭盆を目前にして Jetta の代替として "Third Generation" Audi A3 を調達した.VW Jetta の車輌サイズや走行性能に不満はなかったが,Jetta の我国への輸入は Discontinued となっていて A5: Jetta の後継車,A6: Jetta 入手の見込みはなく,似たサイズのセダンとしてはこれ Audi A3 以外の選択肢はなかった."B9" Audi A4 が候補とならなかったのは,全長 4,735 mm と過大であるうえ,特にその全幅が 1,840 mm もあるが故で,車庫入れなどを勘案すると全幅 1795 mm の Audi A3 を選ばざるをえなかった.A5: Jetta とは逆に A6: Jetta は 低価格路線に向かったことが我国の市場に合わないと判断されたのかもしれない.現行 A6: Jetta はまだ Modularen Querbaukasten (MQB) に移行しておらず,やはり一世代前のものである.A7: Jetta は 2017 年夏ないし秋にお目見えとのことであるが,これも我国には入ってこないのであろう.Audi A3 8V は A7: Golf と同じ Platform を使い,すでに MQB モデルであるのも調達を決めた要因のひとつである.
DBA-8VCXSL |
|
BLG の質量は 126 kg,現有 CXS のそれは 104 kg という.MQB 態勢に入って,エンジンがシリーズ化され,軽量化も大幅に進んだ.初代 BLG の正味平均有効圧 BMEP は 21.7 bar であり,二代目として代替えとなった CPT では 22.5 bar である.CXS はそれらよりトルクも出力も抑えた De-rating 版である.それでも BMEP 18 bar で,Rightsizing 化であるとも言える 平均有効圧で出力密度を表現するのはかつては舶用エンジンであったのに.いまでは乗用車用エンジンでも BMEP が指標として使われるようになった.ちなみに,A5; Jetta の 1.98-liter BLX エンジンの最大トルクも 200 Nm.ただし BMEP 12.6 bar.これが Downsizing という意味.
この Audi A3 は Hungary の Györ で作られている.車体色は "Beluga Brown, Metallic" *1, シートは Milano Leather, "Pashmina Beige".日本のカタログでは "パシマベージュ" となっていて何のことか把握しかねたが,実は "パシュミナ" *1 のこと.外装色:黒,内装色:ベージュの A5: Jetta からの移行で色の相互偏差が最小となる選択でもあった.
*1 ベルーガ Beluga はチョウザメ 蝶鮫.キャビア Caviar の親魚.カスピ海産のキャビアは現在,取引制限がかかっていて,キャビアの価格はどれもこれも高騰.いにしえの 1981 年,Hotel National, Moscow の Bar で,きんきんに冷えた Vodka 100 g に合わせてベルーガキャビアを 100 g 食した記憶. パシュミナ Pashmina: 本来はカシミール/ラダックでパシュミナ山羊の毛から手織で作られる織物.羊毛のカシミアよりもさらに繊細.両者共に,今や本物を見ることさえ困難ですよという暗喩か.
Vento, Bora, Passat, Jetta と乗り継いできて,トランク積載容量 *2 Boot Capacity が 500ℓくらいあるという利点を享受していたが,A7: Audi A3 ではそういうご利益には与れない.それぞれを較べてみると下記のようである.衝突安全性を確保するためであろうか,車輌の横幅がこの 20 年で 100 mm ほど拡がっている.
A3: Vento, 4370 × 1695 × 1420 mm, 501ℓ
A4: Bora, 4375 × 1735 × 1495 mm, 450ℓ
B5: Passat, 4680 × 1740 × 1460 mm, 475ℓ
A5: Jetta, 4565 × 1785 × 1470 mm, 527ℓ
A7: Audi A3, 4465 × 1795 × 1405 mm, 425ℓ
*2 ただし,トランク積載容量については,Verband der Automobilindustrie, VDA とか SAE Cargo Volume とか,測定法が入り交じっているので,上の絶対値そのものはたいした意味を持たない.
納車されて,しばらく走ったところ,何とも居心地の悪い感じが拭えなかった.駐車場から道路へと左折で出るときと右折で出るときとで挙動が異なり,右折で出て直進加速に移ろうとしたときの後輪の納まりが悪いのである.Bora のときもステアリングのリニアリティや回頭性などについて,これで良いのかと走行距離 11,000 km,期間一年間悩んだ末,Wheel Alignment 調整でほぼ解決を見たという経緯があった.Jetta については,納車で乗ってきた者がおかしいと言い,持ち帰って直した.
今回 Audi A3 については,一年間も辛抱はできず,症状をディーラに話し,その後 Beissbarth, VAG 1995 / VAS 5080 による Wheel Alignment 調整をやってもらい,それでようやく正常になった.前輪キャンバ角不揃い/前輪右キャンバ角過大,ならびに 前輪トーイン過大 がその原因であったと思われる.売った方だけでなく,買った方にも手間や時間がかかるので,そういうものを納められては迷惑である.それも毎度のことである.納車の前にちゃんと調整しておいてもらいたい.
前輪
片側トーイン:+0°05' ± 05',Toe-In.修正前:左 +0°22',右 +0°23'
両側トーイン:+0°10' ± 10',Toe-In.修正前:+0°45'
キャンバ角:-0°35' ± 30',Camber.修正前:左 -0°56',右 -1°02'
キャスタ角:7°10' ± 10',調整不可.Castor
後輪
片側トーイン:+0°13' ± 05',Toe-In.修正前:左 +0°08',右 +0°08'
両側トーイン:+0°25' ± 10',Toe-In.修正前:+0°16'
キャンバ角:- 1°20' ± 30'.修正前:左 -1°23',右 -1°18'
変速機,S-Tronic: 7-Gang Doppelkupplungsgetriebe, DQ200 0AM 常時ではなかったけれども,発進時,クラッチらしきところから,弱く "クィュー" という,あたかも小鳥の首を絞めたような音がすることが何度かあった.特に,登り坂を発進しながら,小さな半径で曲がるというようなときに顕著に現れた.それが正常なのか異常なのか判らないでいたが,結局,対策品のクラッチに交換してもらって解消された.その部品はリペアキット:#0AM 198 140 S というものである.最後の "S" がどれほどの意味を持つのかは分からないが,"#0AM 198 140" という品番を持つものは他にもいろいろとある. この変速機は,Audi 車の大半,縦置きエンジン車用のそれではなく,横置きエンジン車用,VW の DSG と同じ Luk 製. |
Dunlop, Sport Maxx RT |
タイア,Tire, ReifenDunlop, Sport Maxx RT, AO_Audi_A3 Dunlop, Sport Maxx RT, AO_Audi_A3, AO: Audi Original Reifen 認証タイア.Dunlop, Sport Maxx には幾つかの Variation があり,RT もそのひとつである.この "AO" マーク付き "RT" のトレッドパターンは左の写真のものであるが,我国で販売されている "RT" のトレッドパターンとはかなり異なる. |
ホイール,
|
ホイールハブボルトM14×1.5, 首下: 27 mm, 着座が φ26 の球面タイプ.#000 071 597 |
Sportback モデルではホイール サイズ: 6.5J × 16, ET: 46, "#8V0 601 025 BM"と,セダンのホイールとは諸元が異なるので代用はできない.もともと車幅も 10 mm,トレッド Tread も 20 mm ほど小さい.
工場出荷時のタイアは Dunlop Sport Maxx RT だけでなく,Michelin Primacy 3, Pirelli Cinturato P7, Continental Premium Contact 5, Goodyear EfficientGrip などがある.Dunlop Sport Maxx RT は低寿命であると言われている.その上,他のものより重いらしい.