犬ヶ島/圧倒的情報量……!

犬ヶ島Isle of Dogs/監督:ウェス・アンダーソン/2018年/アメリカ


犬を愛する者のため


TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7 N-35で鑑賞。字幕。
人間は母国語(日本語、英語)で話し、犬は英語で話します。

あらすじ:犬が島流しされます。

ネタバレはありません。

おすすめ
ポイント
微妙にかわいくない造形の犬たちがめちゃめちゃかわいいです。おすすめ。
情報量の多さがはんぱない。人間は国籍によって日本語もしくは英語をしゃべり、犬は英語をしゃべる。画面に出てくる日本語にもすべて英語訳がついているため、見るところが多すぎて、待って、ま、待って!!!となった。

Blue-ray出たら2回目を見ようかと思う。これ、英語圏でない国だと字幕が大変なことになっていそうだなとふと思った。文字が画面を埋め尽くすのでは???

ところでスカーレット・ヨハンソンは出てきた瞬間に「あっスカーレット・ヨハンソンだ」とわかる特徴的な声をしている。人の声の聞き分けとかそんな出来る方ではないがスカーレット・ヨハンソンはわかる(あとリーアム・ニーソン)(リーアム・ニーソンは誰でもわかります)。

これは他のコマ撮りアニメでもそうだが、たまたまうまくいきました、ということはあんまりないのではないか?と思っている。もしそれが正しければ、すべての動きはあらかじめ決められているというわけで、犬の毛がつねにふわふわとなびいていることもそうだが、手間暇がすごい。コマ撮りアニメを褒めるときに手間暇がすごいと言うのはじゃっかん安直かとも思うがしかたない。すごいもんはすごいのである。

ウェス・アンダーソンの映画、そんなにたくさん見ているわけではないが、印象として「動物を気軽に手軽に殺す」というのがあるなと思っていて、この映画で犬は死なないけれど、あれっ今ちょっと怪しかったぞ?みたいなところは多少あった。全体的にはウェス・アンダーソン!ですね!というかんじ。このかんじが合うか合わないかは大きな問題であって、合わない人ももちろんいるだろう、あと、今作については、話運びは普通だが何度も言っているように情報量が多すぎるため、混乱して「なんかよくわかんなかった」と感じる人ももちろんいると思う。

なぜこのようにややこしくならざるをえない、日本を舞台にしたのかなと思う、きっとどこかでウェス・アンダーソンのインタビューに、日本を舞台にした理由、書いてあると思うのだが遭遇していないためわからない。生類憐れみの令の逆をやってるところとか、噴火・地震・津波が出てくる(実際に事が起きるのは噴火、それもイメージだけで、地震と津波に関しては過去にそれが起きたという説明にとどまっているため、地震や津波の映像は見られないという人でも大丈夫、出てきません)ところとか、福知山線事故を思わせるシーンとかがあり、日本がどういう国で、国民がなにに心を痛めたのかをよくわかってくれている感じがある。説教臭くも、暗すぎもせず、見ていて不快になるわけでもない描き方に、配慮を感じた。日本が、日本人が、心を痛め、それでも前に進むしかないという状況に置かれているということを、ウェス・アンダーソンは、優しくも少し毒っけのある目線で見守っていてくれているのかなと思う。

犬。犬の造形は、きゃあかわいい、という感じではない。どこかちょっと不気味で、癖が強く、媚びてくるかんじもない。だがそれが良いのだ。もちろん、かわいいものはよい。良いのは当然として、「あまり見たことのないようなテイストのキャラクター造形」というところに非常に魅力を感じた。

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