約6600万年前の白亜紀末に、恐竜など生物の約76%が大量絶滅する引き金となった、メキシコ・ユカタン半島への小天体衝突。直径200キロに及ぶ巨大クレーター内部を調べたところ、衝突後わずか2~3年で“爆心地”に生命が復活していたことが分かった。
国際深海科学掘削計画が2016年に行ったユカタン半島のクレーター内の掘削で、全長800メートルの柱状試料を採取。試料に含まれる、白亜紀からの移行期を含む約1メートルの堆積岩について、微小なプランクトンの化石や、生物が生活した跡の化石を詳細に分析した。
その結果、クレーター内では衝突後2~3年以内に生物や生息環境が復活していたことが分かったという。生物の復活速度について米テキサス大学オースティン校らの研究チームは、「想定外ともいえる極めて短期間」としている。また、少なくとも3万年以内には植物性プランクトンが作る有機物をベースにした多様な生態系が復活していたことも分かった。
一方、「衝突地に近いほど生態系の復活が遅れた」とする先行研究があり、その理由として天体衝突が挙げられていたという背景がある。
これについて研究チームは、「天体衝突は生物の大量絶滅を引き起こしはしたが、その復活を長期間にわたり妨げるものではなかった」とした上で、「生態系復活の速度に最も影響を与えたのは、全球規模の環境の復活ではなく、海洋循環や食物連鎖、生息場所があったかといった局所的な要素だったかもしれない」と結論付けた。
研究結果を発表したのは、米テキサス大学オースティン校、東邦大学、東北大学、千葉工業大学、海洋研究開発機構など総勢31人の共同研究チーム。研究論文は5月30日に科学誌「Nature」のオンライン版に掲載された。
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