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Windows 10を搭載したパソコンがネットワーク上のNAS(ネットワーク接続ハードディスク)につながらなくなるというトラブルが相次いでいる。引き金となったのは、Windows 10に半年に一度のペースで提供される「Future Update」という定期アップデート。2017年9月から公開されているこのアップデートで、Windowsのファイル共有プロトコル「SMB(Server Message Block)」の初期バージョンv1が標準で無効になったことが原因だ。
一部のNASではSMBv1しか使えないのに、Windows 10では無効化されてしまったことで「つながらない」というトラブルが発生したのだ。とはいえ、Windows 10を搭載したすべてのパソコンで同様のトラブルが発生するわけではない。つながらないのは新規に導入したパソコンなどごく一部だ。なぜ、パソコンによってこうした違いが発生するのか。以下、SMBの歴史とともにその理由を解説しよう。
約30年にわたって標準機能として提供
Windowsがファイルやプリンターを共有するために使っているSMBは、もともとはWindows 3.0にネットワーク機能を追加するLAN Managerの一部として1990年に登場した。その後、ネットワークの普及に合わせてWindowsの標準機能に組み込まれ、30年弱にわたって使い続けられてきた歴史あるプロトコルである。
この間に、SMBはたびたび強化されてきた。例えば、2006年に登場したWindows VistaやWindows Server 2008ではSMBv2にバージョンアップし、通信効率を高めるためにクライアントとサーバーの間でやり取りするコマンドの数を減らすといった大幅な強化を実施している。ちなみに、最新のWindows 10で搭載しているSMBのバージョンはv3.1.1だ。
その一方で、SMBv1は脆弱性(セキュリティ上の欠陥)が指摘されてきた。実装が古いため、危険な脆弱性がたびたび見つかり、攻撃に悪用されてきた。2017年に流行したランサムウエアのWannaCryも、SMBv1の脆弱性を狙ったものだ。最近も海外のセキュリティカンファレンスで新たな脆弱性が公開されている。このため米US-CERTをはじめとするセキュリティ機関は、SMBv1を無効化することを推奨している。
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