外国人の「単純労働者」を受け入れへ

人手不足に直面し、政府が政策を「大転換」

2018年6月1日(金)

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人手不足に悩む国内農家の救世主になるか

建設、農業、宿泊、介護、造船が対象

 深刻な人手不足に対応して、政府が外国人受け入れ政策を「大転換」することが明らかになった。これまで「単純労働」とされる分野での外国人就労は原則禁止されてきたが、新たな在留資格を創設して、そうした分野でも「労働者」として正式に受け入れる。6月中にも閣議決定する「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む。

 新制度は、日本人の就労希望者が少なく、慢性的な人手不足に陥っている「建設」「農業」「宿泊」「介護」「造船」の5分野を対象に、新設する「特定技能評価試験」(仮称)に合格すれば就労資格を得られるようにする。こうした分野ではこれまで便法として「技能実習制度」を使った事実上の就労が広がっていたが、真正面から「労働者」として受け入れる。今年秋の臨時国会で法律を改正し、2019年4月から実施したい考えだという。

 就労資格を得られるのは最長5年とするが、技能実習生として最長5年滞在した後、新たな就労資格を得れば、10年にわたって滞在できるようになる。企業からすれば長期雇用が実質的に可能になり、技術やノウハウの教育に力を入れられる。大学を卒業した「高度人材」の日本での就職も後押ししていく方針で、日本の職場に本格的に外国人が流入してくることになる。

 法務省がまとめた2017年末の在留外国人数は256万1848人。1年前に比べ7.5%、約18万人も増加した。5年連続で増え続けており、256万人は過去最多だ。厚生労働省に事業所が届け出た外国人労働者は約128万人で、これも過去最多を更新している。

 新制度によって政府は2025年までに5分野で「50万人超」の受け入れを目指すとしている。日本経済新聞の報道によると、「建設では2025年に78万~93万人程度の労働者が不足する見通しで、計30万人の確保を目標にする」という。農業では新資格で2万6000人~8万3000人程度を受け入れるとしている。すでに介護分野では外国人人材の受け入れ拡大を始めており、ここでも外国人労働者が増えることになりそうだ。

 問題は、就労を希望する外国人をどう選別し、受け入れていくか。今後、「特定技能評価試験」で就労に必要な日本語と技能の水準を決めることになるが、それをどの程度の難易度にするかによって流入してくる外国人の「質」は大きく変わる。

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「外国人の「単純労働者」を受け入れへ」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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