2018年6月1日(金)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第73回でお祝いするのは、1998年4月9日にバンダイ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたセガサターン用ソフト『機動戦士ガンダム ギレンの野望』です。
▲画像はPS版『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』。 |
『機動戦士ガンダム』をモチーフにしたゲームといえば、子どもをメインターゲットとしたものから玄人好みの作品、アクションゲームまで多数のタイトルが発売されています。
今回振り返る『ギレンの野望』は、細かな仕様をガンダムが好きな人やSLG好きに振った“ガチなタイトル”と言える1本です。戦略SLGのノウハウだけでなく、一年戦争を軸とした宇宙世紀シリーズの知識があってこそ、そのすべてを完全に楽しめると思われます。
▲ナレーションでおなじみの故・永井一郎さんをはじめ、懐かしいボイスを収録。タイトル発売時を思い起こさせてくれます。 |
なお、今回は2000年2月10日に発売されたPS用ソフト『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』を撮影しています。
ゲーム内容を細かいところまで覚えてない人のため、『ギレンの野望』の特徴を簡単におさらいしておきましょう。
●一年戦争を徹底的に掘り下げた戦略&戦術SLG
●陣営別に、地球連邦軍とジオン公国軍、それぞれの視点からプレイが可能
●重要な局面で分岐選択が用意されて“if”展開も楽しめる
●戦術マップでは基地と基地の間の補給路確保がキモとなる
●『ガンダム』の外伝シリーズに登場するキャラ&機体が多数参戦
●難易度が高く序盤の戦略を間違えると詰みやすい
●圧倒的ボリュームで軽くひと月は遊べる
といったところでしょうか。当時のSLG事情としては、複数の国家の興亡を描く戦略級か、兵士や機械などユニット同士の戦闘を描く戦術級のどちらかに属するのが一般的だったのですが、『ギレンの野望』は戦略と戦術それぞれの魅力を取り入れた作品となっています。
このようなことを書くと「いや待て、そもそも戦略級と戦術級の違いというものは厳密に言うと……」などとキリがないので、「ザックリとそんな違いがあるよ」程度に受け止めてください。
ゲーム進行は連邦&ジオンが交互に戦略フェイズを行います。エリア侵攻によって戦闘が発生した場合は戦闘の数だけ行動フェイズが発生します。このため、複数エリアで戦端を開くと1ターン30分などということもざらにあります。
▲戦略フェイズの画像。 |
▲行動フェイズの画像 |
▲戦略マップは左右両端がつながっている地表と、複数のコロニーや拠点が点在する宇宙の2種類があります。 |
行動フェイズはいわゆる戦術級SLGのような遊びとなっていて、車両や航空機、MSにMA、戦艦などを駆使して敵ユニットのせん滅か全拠点制圧を目指します。本作では拠点が重要な役割を果たしていて、補給路を塞がれない限り物資(燃料&弾薬)が補充され、単騎ユニットであれば耐久力も回復します。
▲薄いブルーグレーが連邦、淡い赤色がジオンの占領下にある基地で、それぞれに伸びるパイプラインのような線が補給路となっています。 |
▲接敵しても“索敵”コマンドが成功しないと正体不明で灰色で表示される仕様でした。 |
戦略フェイズでは諜報活動や開発研究に資金を投じつつ、資金援助や援助要請で各勢力と友好関係を調整します。また、状況に応じて特別な“作戦”が提示され、作戦を発動することで重要エリアへの侵攻ルートが開けたり、ストーリーが進んだりしていきます。
ここでの提案により、史実通りにことが進むのか、オリジナル要素を楽めるif展開へと進むのか、わかれます。選択によっては難易度が変化することも。作品を知っていると、この選択でも迷うことになるのがおもしろい要素です。
地球連邦軍でわりと重要なのがホワイトベース隊の処遇で、早々に解散するとホワイトベースのクルーを自由に配属できるif展開へと突入。ちなみに史実どおりに進めた方が強敵を葬ってくれるのでオススメです。
また、秘書官は勢力によって異なります。ジオン公国軍だとギレンの秘書であるセシリア・アイリーンが担当してくれます。
▲いろいろな提案をしてくる秘書官。長く遊んでいるともっとも顔を見るキャラになるかと思われます。 |
そんなセリフを身をもって体験できる貴重なソフトである『ギレンの野望』。今回の記事を書くにあたって軽く40時間ほどプレイしてみました。
筆者の朧げな記憶にあったのは
「ジオン軍を宇宙の果てまで追いつめたあげく、最後はキュベレイをボールの大群で取り囲み、その外周をこれまた大量のデンドロビウムで包囲して補給路を切断。倒されても倒されても続々と送り込まれるボール相手に、エネルギーを使い果たしたハマーン様が白目を剥いて途方に暮れる」
という連邦大勝利の構図でした。
▲このように二重三重に包囲網を構築するとどんな高性能ユニットも物資が尽きて無力化してしまいます。 |
遥か昔に行ったえげつない状況を再現しようと勢い込んで始めたところ……詰みました! 予備知識があらかた吹っ飛んでいたことはさておき、かくも詰将棋のようなゲーム性だったとは……。
▲戦力が乏しい状態で北京なんて攻め落とせない。そんな当たり前の発想で作戦を発動しないと、ガンダム開発が遅れるというストーリー進行上の罠が……。 |
筆者のプレイスタイルは“基盤を固めてなお、石橋は叩くだけ”なので、よほど手堅い戦力が揃うまでは侵攻することはありません。
ただ、『ギレンの野望』でこれをやってしまうのはわりと悪手。潤沢な資金にものを言わせて諜報や開発、外交にお金をバラまいたあげく占有エリアは増えないため経済は徐々に悪化。その間、ジオン軍は着々と開発を進めているため、いざ攻め入ろうという時には火力の高いグフやキャノン装備のザクに加えて、ザクレロやアッザムといったMAまで待ち受けていて攻め落とすどころの騒ぎではありません。
そして始まるジオン軍の猛攻。頭数を多めのユニットで侵攻して敵の動きを止め、あえて交戦せず睨み合い状態を維持することで敵からの侵攻を牽制するという攻略法もありました。
ちなみに、開幕5ターンは敵に攻め込まれないようで、とにかく航空戦力をぶっ込んでゴリ押しでいいから占有エリアを拡大。スタートダッシュと作戦発動のタイミングさえ逸しなければ、陸戦用ガンダムを開発するころには地表マップは真っ青になっています。
▲ここまでエリアを広げると、1カ所の反転攻勢が命取りとなるため油断できません。 |
▲陸戦+ロングレンジライフルやバズーカ仕様のガンダムを作ってしまえば、わりと無茶な戦況もひっくり返すことが可能。それでも圧倒的な数の暴力には負けてしまいますが……。 |
ここでふと、「ジオンで遊んだ方が楽に進められるんじゃね?」などと思い立って勢力を変えてみたところ……世の中そんなに甘くないですよね。地球連邦軍はMSができたあとの“有名機体+有能パイロット”の組み合わせがとにかく強力で、こちらが必死で集めた機体を次々と蹴散らしていきます。ああ、哀戦士……。
▲降下作戦より以前から始まるため、当然ながら地表マップは連邦一色。当時も似たようなことを考えて絶望したことを今更ながらに思い出しました。 |
ただでさえボリュームのある本作には、『攻略指令書』なる追加シナリオ集が発売されるタイトルもあります。廉価版、『攻略指令書』を除く主なタイトルは以下のとおり。
●『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(SS)
●『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオンの系譜』(PS、DC、PSP)
●『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』(PS2)
●『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威』(PSP)
●『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V』(PS2、PSP)
●『機動戦士ガンダム 新ギレンの野望』(PSP)
『機動戦士ガンダム』シリーズ好きはもちろん、長く楽しめるSLGを探している人にもピッタリの名作。今となってはハードやソフトなどのプレイ環境を整えるのがやや困難ですが、苦労して探し出す価値はあります!!
当時がっつりプレイしていた担当ライターにシリーズタイトルについて聞いたところ「『ジオンの系譜』が一番安定しておもしろかった」とコメントしていました。
PlayStation StoreではPSP、PS Vitaでプレイできる『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V』と『機動戦士ガンダム 新ギレンの野望』を配信中。『ギレンの野望』に近いプレイを楽しみたい人は『アクシズの脅威V』がいいと思います。ゲーム性は概ね共通しているので、久しぶりにプレイしたいと思った人や、未プレイで興味アリという人は、プレイしてみてはいかがでしょうか。
(C)創通・サンライズ
データ
[集計期間2018年 05月25日~05月31日]
※クリックすると、ソートされた記事一覧に移動します。
OPEN 世界最大級のゲームイベント“E3 2018”を特集! 速報から現地の様子、インタビューなどさまざまな情報をお届けします!
5/29更新 家にいながら手軽に買えて財布にもやさしいダウンロード用ゲームから、佳作・良作を紹介します。
5/29更新 『スクスタ』の情報を総まとめ。電撃オンラインで活動する3人の模様などをお届けします!
5/28更新 ソフトやハードの周年を祝う特別企画。最新記事は20周年をむかえた『双界儀』。
5/28更新 『ファイナルファンタジー』の最新作がアーケードに登場。『ディシディアFF』の最新情報の他、特別企画も展開中!
5/27更新 『FFRK』情報を総まとめ。最新情報の他、歴代シリーズの名場面を振り返るコラムを連載!
5/26更新 シリーズ初のスマホアプリ『スーパーロボット大戦X-Ω(クロスオメガ)』について、攻略に役立つ情報やデータを随時追加!
5/26更新 対戦型リアルタイムガンダムバトル『機動戦士ガンダム 即応戦線』の攻略やイベント情報を随時更新!
5/25更新 アプリ『&CAST!!!』内で楽しめる『テイルズ オブ アンバサダーチャンネル』の魅力をお届け。
5/25更新 オルタナティブRPG『レイヤードストーリーズ ゼロ』の、攻略情報や関連データなどを漏らさずお届け!
5/25更新 リアル・ガンダム戦略シミュレーション『SDガンダム ジージェネレーション アールイー』の、攻略情報や関連データを随時更新!
5/24更新 『ツムツム』の最新作、はじけるパズルゲーム『ディズニー ツムツムランド』 のゲーム内容&最新情報をチェック!
5/23更新 さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム。いろいろなゲームについて語ります。
5/22更新 『チェインクロニクル3』のメインストーリーにかかわる最新情報をお伝えする連載企画“電撃チェンクロレター”をお届け!
5/22更新 『ファンタシースターオンライン2』の情報が満載の“電撃PSO2”。本作の関連情報はここで!
5/21更新 『SAO』新作VRアプリ『ソードアート・オンライン Lovely Honey Days』が発表!
5/20更新 『刀使ノ巫女』のゲームアプリ『刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火』を特集。レビューや攻略、インタビューなどさまざまな記事をお届け!
5/16更新 大人に成長したピエトロ王子とナルシアの物語を徹底特集。ゲーム紹介や開発者インタビューなどをお届け
5/10更新 美少女クルーとギア(3D戦闘車)で戦うオンラインギルドバトルが魅力のRPG『ヴァイタルギア』を総力特集!
お待たせしました! 大人気コミック『よつばと!』最新14巻は4月28日発売!!
日本一ソフトウェアと電撃は、ともに歩んで25周年! 怒涛の25周年タイトル情報を大特集。
5/4更新 新作デジタルカードゲーム『クロノマギア』を特集。ゲーム紹介やデッキ講座、対戦動画などさまざまを企画をお届け!
4/20更新 10対10の本格アクション『SOUL REVERSE(ソウルリバース)』がアーケードで稼働!
4/7更新 ライター&編集者が思い出に残る名曲を紹介。大好評の“アニソン集”Part.2を掲載。
3/26更新 和ケ原聡司先生によるノベル連載中! 『スターオーシャン:アナムネシス』の情報をお届け。
電撃G’sマガジン×DeNAで贈るスマートフォン向け美少女剣撃アクションRPG『天華百剣 -斬-』の最新情報を総まとめ!
城擬人化企画『城姫クエスト』がゲーム化。美少女化した日本全国の名城“城姫”と乱世を戦い抜け!
コアなゲーマーとして知られるセクシー女優の乃亜が、自らのゲームライフをつづる『乃亜流ゲームコラム』