ただでさえSFなOculus GoがますますSFに。
手袋のように装着し、10本の指を駆使して仮想オブジェクトを動かす。Oculus Goとワイヤレスで連動。それが「VRfree glove system」(以下、VRfree)だ。
2018年1月のCESで披露されたVR HMD用コントローラ「VRfree」がIndiegogoでクラウドファンディングをスタートしたのが3日前。5月31日、3万ドルの目標額を集めてプロジェクトを成立させた。VRfreeはスイスのベンチャー、Sensoryxが開発中の10本指が使えるハンドコントローラ。ゴーグルの前部に三角形のセンサーを取り付け、両手に先端の空いた手袋を装着するスタイルだ。
1980年代にVRの父、ジェイロン・ラニアーらが考案したデータグローブを思わせる形状だ。もっとゴツい、ファミコン用パワーグローブを思い出す人がいるかもしれない。当時はケーブルで繋がれていたのだが、VRfreeはワイヤレスとなり、進化、洗練させたものだ。Oulus Goだけでなく、Oculus Rift、HTC Vive、Google Daydream、Samsung Odyssey、Samsung Gear VR、HP Mixed Reality、Lenovo Explorer、LG VRなどとの互換性をうたっている。Gear VRにVRfreeを装着したデモ動画もある。
その第1弾が2018年11月に届けられる。一番安い、280ドルで一式を入手できるプランが170台分。うち109台が売約済みで、その1台は筆者の分だ。既に購入を決めた日本人は20人ほどいる模様。ちなみに日本への送料は30ドル。
ただし、このコントローラがOculus Storeでダウンロードできるアプリで使えるかというと、それはこれからだ。SensoryxではSteam/OpenVRが使えると述べているが、Oculus GoはSteam/OpenVRを使えないので、VRアプリのデベロッパーに対応してもらうしかない。
Oculusの次世代スタンドアロンヘッドセット、Santa Cruzが現在のOculus Touchよりもよいハンドコントローラをバンドルして登場したらVRfreeはさらに不利になるかもしれない。
でも、11月の出荷までにより魅力的なVR製品が出るのなら、それもまたいい気はするのだ。
なぜこの製品を見つけたかというと、先日、電車の中でOculus Goをかぶって「ひるね姫」を見ていたからだ。このアニメ映画は2020年の東京オリンピック直前を舞台にしているのだが、バスの中でVR HMDを着けて操作している学生が描かれている。ただし、コントローラは使わず、手と指の操作だけで認識させていた。
HTC VIVEも、少しコンパクトとはいえOculus Touchも10本の指全部を認識できるわけではないし、大きくてぶかっこうだ。できたら何も着けずに操作したい。Leap Motionがそれだが、認識性能はさほど高くない。調べているうちに出くわしたのがVRfree。ちょうどIndiegogoプロジェクトを開始する前日のことだった。
現実とフィクションがだんだんと入り混じってきている。おもしろい時代になったものだ。
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