日経クラウドファースト編集長 中山秀夫

 2018年5月8日(米国時間)、米アマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services 、以下AWS)は仮想マシンサービス「Amazon EC2」の新しいオプション設定である「Optimize CPUs(CPU最適化)」の提供を始めた。この設定を使うと、仮想マシンの仮想CPU数をデフォルトより少なく指定したり、ハイパースレッディングを無効化したりできる。そのため、CPUの処理性能は落ちる。一方で、仮想マシンの料金はデフォルトのまま変わらないという。

 使うだけ損なオプション設定――。一見そう思えるが、ユーザーやAWSのパートナーからは米オラクル(Oracle)の「Oracle Database(Oracle DB)のライセンス料節減に役立つ」と歓迎の声が上がっている。実はこれ、AWSによる新手のオラクル対抗策である。

 Oracle DBのライセンス料が減るカラクリは次の通りだ。AWSの仮想マシンでOracle DBを稼働させる場合、仮想マシンと外付けディスク(EBSボリューム)の間のネットワーク帯域がひっ迫しやすい。これが性能のボトルネックになる。

 そこでこのネットワーク帯域を広げるために、上位の仮想マシンサイズに変更するケースが少なくない。このときユーザーにとってコスト増になるのは、仮想マシンの料金だけではない。必要とされる、Oracle DBのプロセッサーライセンス数も増えてしまう。上位の仮想マシンサイズに変更すると必然的に仮想CPU数が多くなり、それに伴って、必要なプロセッサーライセンス数が増えるからである。

 新オプションのOptimize CPUsを使うと、この無駄を減らせる。上位の仮想マシンサイズにして外付けディスクとのネットワーク帯域を広げたうえで、仮想CPU数だけを減らせばよいのだ。例えば「x1e.4xlarge」という仮想マシンはデフォルトで16仮想CPUだが、これを1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、14のいずれかに指定できる。これにより、必要なプロセッサーライセンス数を減らせるようになる。

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