学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の改ざん問題で、大阪地検特捜部は31日、公用文書等毀棄や虚偽有印公文書作成などの疑いで告発されていた佐川宣寿前国税庁長官らについて、不起訴とした。売却額を約8億円値引きして国に損害を与えたとして背任容疑で告発された迫田英典元理財局長らについても不起訴にした。
問題となったのは学園が小学校建設用に取得した大阪府豊中市の国有地。近畿財務局は2016年6月、地中のごみの撤去費用として約8億円を差し引いた1億3400万円で売却した。
改ざんは佐川氏が理財局長だった17年2~4月、国有地取引に関する14の決裁文書で行われた。「本件の特殊性」などの文言や安倍昭恵首相夫人や複数の政治家についての記述が削除されるなどした。
特捜部は文書改ざん後も契約の趣旨や内容の根幹が変わったとは言えないことなどから、刑事責任の追及は困難と判断したとみられる。背任容疑を巡っても、国に損害を与える目的で値引きしたとは認められないなどと結論づけたもようだ。