リクルートホールディングスと高知県は2016年8月29日、地方創生をテーマとする業務連携協定を交わしたと発表した。
連携活動の第1弾として、リクルート社内の新規事業開発プログラム「Recruit Ventures」において、「高知県における地方再生」をテーマに掲げて事業案を募集する。8月29日には、両者による業務締結式に続いて、リクルートグループ社員向けの説明会が開催された(写真1、2)。
同日のイベントには、高知県知事の尾崎正直氏が出席し、リクルート社員に向けて、人口減少や災害対策など高知県が抱える課題や、ここ数年の取り組みによって有効求人倍率などいくつかの指標が上向いている現状などを報告。そのうえで「指標の好転が一時的なものにならないよう、皆さんの英知に期待している」と呼びかけた。日本が抱える少子高齢化や人口減少は「課題先進国」として紹介されることが多いが、尾崎氏は課題解決に先進的な自治体を目指したいとした。
Recruit Venturesの運営母体であるMedia Technology Lab.室長の麻生要一氏は、今回の活動が「CSR(企業の社会的責任)活動ではなく、ビジネスだ」と言い切る。CSRは「採算度外視の非営利活動」と解釈されることが多いが、持続可能な営利事業として成立することを目指すという。
リクルートには、今回の連携以前から始まっている、地方創生に向けた取り組みとして、高齢者など安価に移動したい人と移動補助をしたい人をマッチングするサービス「あいあい自動車」がある。現在、三重県で実証実験を進めている。今回のイベントには、その発案者である同社の金澤一行氏が登壇し、発案の背景と取り組み内容を紹介。そして「成功の秘訣は、成功するまで“やり切ることだ”」と、後続者にエールを送った(参考記事:リクルートの社内起業家を突き動かす「圧倒的な当事者意識」)。
この日はゲストとして、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局参事官の村上敬亮氏も登壇した。村上氏は、全国各地の取り組みを目の当たりにした経験から「あーしろ、こーしろと“言うだけの人”はいらない。現地が欲しいのは、“みこしを担ぐ人”だ」と、現地と共感をもって実行する人への期待感を示す。そのうえで、「一度だけ行くことは誰でもできる。同じ場所に何度でも出向けるようになってほしい」とし、現地の人たちに歓迎され、一緒に作り上げる取り組みにしてほしいと語った。