諸外国での消費税の位置づけ
諸外国では消費税は地方の財源となり国の財源ではないという説がありますが、本当ですか?
ご質問にお答えいたします。
- 日本の消費税は、他の国では付加価値税と呼ばれるものです。付加価値税は、製造、卸、小売りといった取引の各段階ごとに、各事業者の売上に課税する一方、課税の重複を回避するため、前段階で負担した税額を控除する、多段階課税の仕組みです。フランスで最初に国税として導入され、現在、OECD加盟国34ヶ国中、アメリカを除く全ての国に付加価値税がありますが、付加価値税を地方税のみとして導入している国はなく、「諸外国では消費税は地方の財源となり国の財源ではない」というのは誤りです。
- 付加価値税は、国ごとに税率が違いますが、国境を越える取引については、輸出国では免税とし、輸入国の税関で徴収を行うことにより、調整される仕組みとなっています。仮に、付加価値税を一国内の地域毎に異なった税率・仕組みとする場合、取引の各段階がどの地域で行われたか正確な把握が必要となり、多大なコストが生じることに加え、適正な執行を担保するためには、国境を越える取引と同様に、例えば県境を越える取引についても税関のような仕組みを設けなければなりませんが、国内取引においてこのような仕組みを設けることは不可能です。
- このため、付加価値税は全国一律で同一の制度とする必要があり、我が国では、国が地方消費税も併せて執行しています。
- なお、アメリカでは、州により税率の異なる小売売上税が課されていますが、これは小売段階で一度きり課される税であり、日本や欧州で採用されている多段階課税の消費税・付加価値税とは異なるものです。