「それ、セクハラですよ」。その“一言”を匿名で通知してくれるWebサービスが、5月30日にリリースされた。セクハラやパワハラ、アルハラなどのハラスメント行為が深刻な事態に発展する前に「気付いてもらう」ことが目的だ。
なぜこのようなサービスを開発したのか。誰でも使えることから、トラブルにつながることはないのだろうか。開発した慶應義塾大学の学生ベンチャー、Quaerere(クアレレ)社長の吉田樹生さんに思いを聞いた。
サービスの名称は「ソレハラ」。Webサイトの入力フォームを通じて、ハラスメント行為を通知する仕組み。無料で使用でき、会員登録なども不要だ。
Webサイトには、かわいらしいネコのイラストがデザインされている。入力フォームでは、まずハラスメントの種類(セクハラ、パワハラ、アルハラ、モラハラなど)を選び、ハラスメントの進行度合いを5段階から選ぶ。その後、相手のメールアドレスと名前を入力し、メールの送信時間(今すぐ、1日後、1週間後など)を設定すれば完了だ。相手には、「ハラスメント行為をしている恐れがあります」「親切な周りの人が伝えてくれています」などと書かれた文面がメールで送られる。
このサービスの特徴は、メール通知された人がリアクションを返すことができる点だ。「反省している」「こちらに非はない」という選択肢を選ぶと、心当たりの有無や言ってくれた人への感謝、誤解だ、といった態度を示すためのフォームが表示される。
今、セクハラを告発する「#MeToo」運動が世界的に広がっている。しかし、吉田さんは「実名告発にはハードルがある。そこまでしなくてもハラスメントを知らせる方法はないだろうか」と考えていたという。
吉田さんもちょっとした言動で「それはパワハラになります」と言われたことがある。「社内のメンバーとは年齢が近く、そのときは冗談半分だったのですが、一般の会社の上下関係だったら、気軽には言えないと思います。年齢や上下関係のハードルを下げるための方法を模索しました」と振り返る。
そこで参考にしたのは、鼻毛が出ていることをこっそり通知する他社のサービス。このサービスのように、気軽に意思を伝えられる仕組みを目指した。
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