なぜ女性を取締役にしない、最も多い10の言い訳=英調査
ラッセル・ホッテン、BBCニュース・ビジネス記者
女性は取締役会に馴染まない、女性は面倒を避けたがる、女性は「複雑な問題」に対処できない。
英国のFTSE350種総合株価指数を構成する350社の取締役会が、女性を役員に登用しない理由として挙げたものだ。ジェンダー均衡調査で明らかになった、
英政府が後押しするハンプトン・アレクサンダー調査は、ショッキングな結果だと指摘する。政府高官も、こうした言い訳を「情けない」と非難した。
英政府はFTSE350構成企業に対し、2020年までに取締役会の3分の1を確実に女性にするよう求めている。
調査の中間報告では、事態は明らかに改善しているものの、いくつかの企業が遅れをとり、多様性についてリップサービスをしていることが明らかになった。
女性を取締役にしない理由のトップ10
- 「女性は取締役会の環境に馴染めないと思う」
- 「取締役会の議題はきわめて複雑で、これに参加するだけの資格と深い経験を持った女性は多くない」
- 「ほとんどの女性は取締役会での面倒や圧力を求めていない」
- 「株主は取締役会の男女構成に興味がない。なのになぜ我々が気にしなくてはならないのか」
- 「他の取締役が、女性の登用を望んでいない」
- 「『良い』女性はみんなよそに取られてしまった」
- 「すでに女性取締役を1人入れたから、それでおしまい。次は別の誰かの番だ」
- 「現時点で空席はない。空きがあれば女性の登用も考える」
- 「取締役への道は組織の一番下から始まる。この分野には管理職の女性が少ないだけだ」
- 「女性を登用したいと思っても私の一存ではできない」
いずれも、調査チームがFTSE350を構成する企業の最高経営責任者(CEO)や取締役から聴取したものだ。
企業責任に取り組む慈善団体、ビジネス・イン・ザ・コミュニティーのアマンダ・マッキンゼーCEOは、「この言い訳を読むと、今が2018年ではなく1918年のように思える」と話した。
「コメディーの脚本のように思えるが、これが真実。今こそこれを一気になんとかできるはずだ」
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「進歩を妨げるもの」
FTSE350を構成する企業で男性だけの取締役会を持っているのは、2011年の152社から2017年の10社に減少した。
しかし、この調査を主導した英金融界の実力者、サー・フィリップ・ハンプトンは、2020年の目標にたどり着くにはなお長い道のりがあると指摘する。
「数年前まで、我々はこうした言い訳を日常的に聞いていたが、幸い今ではめっきり少なくなった」
「しかし、温かい応援の言葉を口にしながら、実際に女性を要職に就けるための努力はほとんどしていないか、静かに進歩を妨げているような上司は、良くないという意味で以前と大差ない」
アンドリュー・グリフィス・ビジネス・エネルギー・産業戦略政務次官は、このような「とんでもない」言い訳は、企業がさらに努力する必要があることを示していると話した。
「女性を要職から遠ざけるためにこれほど情けない、人を見下した言い訳が通用するなどと考えている企業があるのは、ショッキングだ」
「英国で最も成功している企業は、多様性のために戦う企業だ」
今回の調査で明らかになった最新の女性取締役の人数は6月27日に発表される。