これさえ入れればカレーが絶対にうまくなる「魔法の食材」について

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どんなカレーだってこれさえ入れれば絶対にうまくなる

カレーを作るのが好きだ。

カレーやスパイスに関する本をたくさん読んで勉強もした。

「あの有名店の主人が教えるレシピ」などと書かれたページそのままに、ネットで買いそろえたスパイスを使って挑戦したことは数えきれない。

 

だが、自分的に微妙だった。

何となくそれっぽい味にはなるが、理想とは違う。

お店と同じような味には決してならない。

同様の経験を持つカレー好きは多いことだろう。

 

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▲スパイスもこんなにある

 

何かが足りない。

新しいスパイスを追加でそろえても、思ったような味にならない。

新しい本を買っても、どこか味がもの足りない。

 

私はずっと悩んできた。

だが、ある時、その悩みは霧散(むさん)した。

ある食材をカレーに入れるようになってから、味がぐっと深まり、抜群にうまくなったのだ。

人に提供しても、好評を得ることが多くなった。

「おいしいね」から「うまい!」に変化していった。

これだ。

私はついに出会ったのだ。

 

先発はインパクト、中継ぎはコク、リリーフは余韻

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▲こんにちは、筆者です

 

編集者・ライターという仕事がら、本を手にする機会は今でも多い。

趣味は何かと聞かれたら、昔は読書と答えていた。

ただ、現在の私は、仕事のための参考図書はほとんど読まない。

それは私が不勉強だからだ。

 

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▲昨年のお歳暮に弊社ノベルティ焼酎を作ったがほとんど自分で飲んでしまった。不謹慎でもある

 

趣味や実益より、息抜きに近いイメージで本を読むことが多い。

購入するのはもっぱら小説ばかり。

だから思う。

趣味とはもっと前向きに、自発的に取り組むものだと。

読書は私の趣味ではない。

では、私の趣味はなんだろう。

 

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▲この前食べておいしかったノンベジミールす。カレーはインスタにアップするといいねがつきやすい

 

私の趣味はカレー作りだ。

カレーを作ると嫌なことを忘れてしまう。

何時間もかけ黙々と玉ねぎを炒める作業は無心になれる。

油に入れたスパイスから香りが立ち上ると、ハイな気分になる。

作っている途中で、味を見ながら微調整を加える作業は、推敲(すいこう)に近い。

そして完成したカレーは、もはや作品である。

このまま永遠に保管したいが、どんどん食べて欲しいという矛盾した気持ちもある。

付き合いたての彼女と海に行ったら、大胆な水着を着てきた。

ちょっと鼻が高いけど、周囲にジロジロ見られたくはない……そんな感じだろうか。

違うか。

 

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▲いきなり発表します。「カシューナッツ」です

 

自分なりに研さんを重ねた結果、出会った食材。

それは「カシューナッツ」だ。

カシューナッツを使ったレシピは、実は多く目にする。

だが、その重要性をあまり力強く説いてはいないように感じることが多い。

さらっと「カシューナッツペーストを加え」と流してしまっているのだ。

私はその存在意義を皆さんにお伝えしたい。

聞いてくれますか。

 

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▲大好きなヤクルトスワローズの帽子。人生で一度も野球をやったことがないけど今から野球に例えます

 

カレーの味わいは三段階に分けられる。

例えるならば、先発、中継ぎ、リリーフ。

先発はインパクトを、中継ぎはコク、リリーフは余韻

この3つが上手に重なるとうまいカレーになる。

 

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▲今回はシンプルにホールクミンとコリアンダー、ターメリック、チリペッパーだけで作る

 

カレーを作ったとしよう。

うまいけど食べた瞬間のインパクトがない。

不甲斐ない先発では勝てる試合も勝てない。

その場合は砂糖などで甘さを追加するといい。

うまいけどコクがない。

それは中継ぎの駒不足。

試合の流れを壊さないベテラン、例えばチャツネ、鶏ガラ出汁などのうま味成分を追加しよう。

最後の余韻は、カレーの肝とも言えるスパイス。

程よい辛さを残せばカレーらしくなるし、お好みでもっと辛くしてもそれはそれでおいしい。

後味がいい試合は何度だって見たい。

 

カシューナッツを入れてないものと比較してみた

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▲スパイスと肉を炒めて、トマトを入れる

 

我らがカシューナッツは試合全体(カレーのことです)に甘さとコクを与える働きを持つ。さっそく作ってみよう。

シンプルなカレーで試す。

まず油でスパイスを炒めて、鶏肉を入れる。

スパイスを入れ、トマトを入れる。

シンプルなスパイスカレーである。

ここでカシューナッツペーストを投入する。

カシューナッツペーストの作り方は、超簡単。

カシューナッツを適当にひとつかみくらいと、水を50ccほど入れたものをミキサーにかけ、ペースト状ににしてしまうのだ。

 

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▲右がナッツ入り、左がなし

 

食べ比べのため、投入しないカレーも残しておいた。

まずはカシューナッツなしから。

これはこれでうまい。

スパイスカレーを習いたての初級者の作るカレーである。

球は早くないが、安定したピッチングといったイメージか。

ヤクルトでいうと石川である。

安定感がある。

そしておいしい。

 

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▲次にカシューナッツ入りを食べる。白いですね

 

次にカシューナッツ入りを食べる。

まず、色が違う。

そして、わざと粗くひいたので、ツブツブが残っている。

食べよう。

 

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▲うまい!

 

おいしい!

まず、最初に甘みを感じる。

ナッツの甘み。

次に先ほどよりも強いコクを感じる。

隠し味にピーナッツバターを入れるレシピを散見するが、それに近い効果がある。

格段にうま味が増した。

さらに、粗くひいたことで、ざらっとしたナッツの食感も楽しむことができる。

これはいい。

先発・完投し、勝ち越しホームランまではなった2016年のライアン小川のようだ。

甘さとコク、味わいに食感と、大車輪の活躍を見せたカシューナッツに拍手を送りたい。

 

市販のカレールウでも試してみた

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▲カレールウを買ってきた。普通のカレーを作ります。どんなルウでも問題ありません

 

スパイスカレー以外でもおいしくなるのだろうか。

おそらくなるだろう。

あはは。玉ねぎを炒めて、ジャガイモ、ニンジンを入れた、普通の「家カレー」にも投入してみよう。

肉と野菜を炒めて、煮込む。

ルウは2種類使うと味に深みが出ると聞く。

 

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野菜の炒めと煮込みには圧力鍋を使いました。

野菜を煮込んで、ルウを入れあっという間に完成。

ここにカシューナッツペーストを投入して、少し煮込む。

 

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▲うん、おいしそうだ

 

やはり、おいしい。

中辛のカレーを使用したのだが、口の中の余韻には、甘さが強く感じられる。

ざらっとした食感も楽しい。

いつもと同じカレーが、このひと手間で、ワンランク上の味わいになる。

地方都市の高級住宅街にある小じゃれたカフェだったら「我が家のカレー」とネーミングして1,000円で提供しそうだ。

 

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▲家の近くのお店へ持っていった。店主は困惑している

 

場面は変わる。

自宅近くのとんかつ屋さんに「家カレー」を持参した。

ここはとんかつと生姜焼きが抜群においしくて、私が頻繁に利用するなじみのお店だ。

月に1度、カツカレーを提供しているのだが、これがまたうまい。

あまりにうまいので、「なんでもっと頻繁にカレーをやらないのか」と聞いたところ、「作るの大変なんだもん」という返事が返ってきたことを思い出したのだ。

だったら、この自作のカレーを使って、カツカレーを食べさせてくれないか。

 

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▲これがカツカレーです

 

気のいい店主はすぐに快諾してくれた。待つこと7分。

揚げたてのカツがのったカレーが出てくる。ルーがごはんにゆっくり絡んでいく。

少しコクのある甘辛いルーが、カツのうまさを引き立てる。

甘さ、コク、辛さの三位一体に、カツのうまさが重なる。

明日からこのお店の看板メニューになってしまうのではないか。

いや〜、本当においしい!

カレーに輝きを与えるカシューナッツ。

どんなカレーにも合うので、ぜひご自宅でカレーを作った際には入れていただきたい。

ピーナツでもいいと思います。

 

書いた人:キンマサタカ

キンマサタカ

編集者・ライター。パンダ舎という会社で本を作っています。尿酸値13の痛風持ち。先日は足を引きずりながら立ち飲み屋の取材をしました。『週刊実話』で「売れっ子芸人の下積みメシ」という連載もやっています。好きな女性のタイプは人見知り。好きな動物は柴犬。好きな酒はレモンサワー。パンダとカレーが大好きです。

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