Bethesdaがアナウンスした「Fallout 76」。主人公が旅立つことになる「Vault 76」を考察した
Fallout 76 ‐ ティザートレーラー
「Fallout 76」公式サイト
新作を考えるうえでカギとなるのは,「Vault 76」だろう。ご存じのように,Vaultとは迫り来る核戦争に備えてVault-Tecが作ったシェルターのことで,「Fallout 4」ではアメリカ建国300周年(つまり2076年)を記念して,「Vault 76」が一足早く公開されたことがニュースとして報じられた。
公開対象になったのは,所在地が首都であるワシントンDCに近かったからで,そのために,「Almost Heaven,West Virginia」(本当に天国のようだ。ウェストバージニアよ)という歌詞を持つ「カントリーロード」がティザートレイラーのバックに流れた可能性がある。ウェストバージニア州は,ワシントンDCのすぐ西に位置しているのだ。
「Fallout 3」では,この「Vault 76」についてさらに詳しく紹介されており,首都付近にあったのは間違いない。Brotherhood of Steel(ブラザーフッド・オブ・スティール)の基地だったシタデルには,核シェルターの開発会社であるVault-Tecが所持していたというコンピュータ端末が存在し,そこで閲覧できる「DC地区Vault一覧」という項目に「Vault 76」の情報が記載されていた。それによると,このシェルターには「500人が収容でき,240か月にわたって存続できる」という。
気になるのが,その記載の「特殊備品」が「なし」とされていたことだ。Vault-Tecは,作り上げた122のVaultのほとんどで,細菌をばらまくとか,男性を1人だけにするとか,あるいは収容者にバーチャル・リアリティデバイスを与えて生活させるなど,さまざまな非人道的実験を行っており,それがゲームの設定やストーリーに関わってきた。
端末の情報には「目的概要」という項目もあり,そこには「居住者の期待に完全に沿う形で運営される」17のVaultのうちの1つであることが書かれていた。したがってVault 76の居住者には,ほかのシェルターのような生活に対する不満,精神や身体への異常などは見られなかったはずだ。
同時に「Vault 76」は,核戦争からわずか20年後,ほかのシェルターとの比較のため強制的に扉が開く予定になっていたことも書かれており,それが実験であると見ることもできる。
そこで,Falloutシリーズとしては早すぎる時間軸「2102年」が大きな意味を持ってくる。1998年にリリースされた「Fallout」は,2161年,「Fallout 3」や「Fallout 4」では,さらにその約100年後,つまり核戦争から約200年が経過した世界が舞台だ。「Fallout 3」では,ワシントンDC一帯の広大な領域は「キャピタル・ウェイストランド」と呼ばれる不毛の地に変貌している。2102年は,人間が外へ出るには早すぎるのだ。
公開されたトレイラーからは,戦争前に「Vault 76から我々の未来が始まる」と宣伝されていたことが分かるが,「Fallout 3」と「Fallout 4」に登場する人々の記憶に残らないほど,「Fallout 76」の試みが失敗してしまったことを我々は知っている。トレイラーにあるパーティ終了後という風情からは,シェルターの扉が開き,人々が「Reclamation Day」(再生の日)を祝っていたことが窺えるが,パーティ途中で何かが起こり,居住者が消えてしまったような雰囲気も漂っている。
そもそも,なぜ予定されていた20年後(2097年)ではなく,Vaultとしての機能を失っているはずの25年後(2102年)なのかも不思議だ。主人公が生活していたと思われる部屋にはぬいぐるみなど子供のおもちゃも置かれており,主人公は「地上を知らないままVaultで育った第1世代」だろう。そんな人々が,核戦争からわずか20数年後に地上に出て,どんな未来を築き上げることができるというのだろうか。
Bethesda Softworksのゲーム開発部門であるBethesda Game Studiosはこれまで,「The Elder Scrolls」シリーズと「Fallout」シリーズを交互にリリースしてきた。2015年に「Fallout 4」をリリースしているので,前例に従えば彼らは「The Elder Scrolls」シリーズの新作を手がけているはずだ。そのため,Falloutの新プロジェクトについては,第1弾の「Fallout」を開発したスタッフが在籍し,「Fallout: New Vegas」を開発したObsidian Entertainmentが絡んでいるという予想も根強くあったが,ObsidianはTwitterで一応,それを否定している。
また,2017年の夏には,Bethesda Softworksのモントリオールスタジオが,未発表の大作を制作するための人材募集を行っていたこともある。タイミング的に,そのプロジェクトが公開されるのは少し早すぎるが,このあたりにも「なぜ正規のナンバリングタイトル,つまりFallout 5ではないのか?」という疑問に対するヒントが隠されているのかもしれない。
果たして,「Fallout 76」は,どんな作品になるのだろうか。およそ10日後の6月10日18:30(日本時間6月11日10:30)に開催される予定の「Bethesda E3 2018 Showcase」に期待したい。
- 関連タイトル:
Fallout 76
- この記事のURL:
(C) 2018 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. Trademarks belong to their respective owners. All Rights Reserved.
- PS4向け籠城戦アクション「ノーヒーローズ・ヒア」が配信開始。6月4日までの期間限定で20%オフの1200円(税込)に
- MSI,Radeon RX Vega搭載カード購入で「Far Cry 5」製品版の無料クーポンがもらえるキャンペーン
- ASUS,フルHD解像度のTN液晶パネルを採用する27インチゲーマー向けディスプレイを発売
- Paradox Interactive:「ボードゲーム制作については多方面からアプローチがありました」
- Switch向け「ICEY」日本語版の配信が本日スタート。主人公の美少女アンドロイドは降幡 愛さん,ナレーションは下野 紘さんが担当
- 「オーバーウォッチ」のねんどろいどに「ソンブラ」が登場。2019年1月に発売予定
- 「MHXR」,強襲クエスト“強襲!モルドムント!”が6月1日より配信
- 「騎士と翼のフロンティア」で梅雨イベントが開催。神化石などが出現
- 「英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-」,戦闘システムの新要素「機甲兵」「ロストアーツ」「オートモード」の情報が公開
- 話題の女性限定カプセルホテルの居心地は? 「千銃士」×秋葉原BAY HOTELコラボお泊りレポート。コラボを仕掛けるキーマンにもインタビュー