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 ソフトバンクは国内で初めて、IoT向けLTE規格「NB-IoT」の商用サービスを開始した。NB-IoT対応モジュールの発売は早くて2018年夏になる予定で、企業ユーザーが実際に利用できるのはそれ以降になる。モジュールは村田製作所、カナダのシエラワイヤレス(Sierra Wireless)、オランダのジェムアルト(Gemalto)、中国のクエクテル・ワイヤレス・ソリューションズ(Quectel Wireless Solutions)が提供する。ソフトバンクは、NB-IoTの商用サービスを2018年4月から始めている。

インフラや水道メーターの自動検針に向く

 NB-IoTはLTEの仕様をIoT用途に向くように変えた規格である。もともとは2014年に携帯電話関連の標準化団体の3GPPがIoT向けの拡張仕様として検討を始めた。以前から使われているモバイル通信規格であるGSMと互換性を保つため、NB-IoTの周波数幅はGSMと同じ200kHzと定められている。既存のLTEの最大20MHzに比べて狭い。このため通信速度は数十kビット/秒と低速だが、同じ周波数幅で多数の端末を接続でき、コストや消費電力を抑えられるというメリットがある。

 今回のサービスでは、NB-IoTと併せて「Cat.M1」の提供も始める。Cat.M1はLTE-Mとも呼ばれ、NB-IoTと同じくIoT向けに仕様を変えたLTE規格の一種だ。Cat.M1はKDDIが2018年1月にいち早くサービスを開始している。

IoT向けLTE規格の比較
(出所:ソフトバンク)
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 Cat.M1は周波数幅が1.4MHz、通信速度が約1Mビット/秒と、性能上は既存のLTEとNB-IoTの中間に位置する。コストや消費電力も同様だ。NB-IoTにはないCat.M1の特徴として、VoLTEによる音声通話が可能な点、ハンドオーバーにより移動中にも使える点(モビリティ)が挙げられる。

 これらの特徴から、Cat.M1は移動するものに取り付けたセンサーの通信や、音声通話の機能が必要となる通信に使う。

「例えば、トラックなどで運搬するコンテナの温度を管理したい、荷物の現在地を見てトラッキングしたい、といった用途に向く」(ソフトバンク IoT事業推進本部 IoT技術統括部 IoT技術企画部の朝倉淳子部長)。

 これに対しNB-IoTは、移動せず、何年も電池を交換しないで使い続けるものが対象になる。「例えば、橋やトンネルなどのインフラや、水道メーターの監視といった用途に適している」(朝倉部長)。

 実際、同社はNB-IoTの商用サービス開始に先駆け、水道メーターメーカーの愛知時計電機と共同で、自動検針の実証実験を2018年1月から実施している。

NB-IoTを利用した水道メーターの自動検針の実証実験
(出所:ソフトバンク)
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