筆者がまだ首都ワシントンにいた頃、ホワイトハウス高官の知人も高プロの1人だった。彼女は国内政策の立案者としてホワイトハウスの西棟2階に自身のオフィスを構えていた。
何度か訪ねるうちに、個人的な話もするようになった。ある日、こうつぶやいたのを覚えている。
「ホワイトハウスで仕事をするのは本当に名誉なことなんです。ここはどこを見ても光り輝いていますから、ずっと仕事をしたくなるんです。私は朝7時に来て、夜11時まで仕事をしていますが、全く構いません」
日本人より働きすぎる米国人
彼女は当時、日本円にして1500万円ほどの年俸を得ていた。仕事量が多いことに不満を言うどころか、自ら進んで早朝出勤と残業をこなしていた。
米国人にしては珍しいタイプに思えるが、実は米国の専門職は大変よく仕事をし、長時間労働をする人が多い。30年ほど前から「日本人よりも働き過ぎ」という話があるほどだ。
東部マサチューセッツ州ボストン大学のジュリエット・ショア教授が『働きすぎのアメリカ人』を出版したのは1991年のことである(邦訳版は93年)。教授は当時から高プロの働きすぎを問題視していた。
同教授にインタビューした時、「米専門職の多くは日本人よりも仕事をしています。米国人は余暇を大切にし、家庭を大事にしていると思われがちですが、仕事に追われる人が実に多いのです」と現実を指摘してくれた。
米金融ウェブマガジン「20サムシング・ファイナンス」誌の今年1月の記事は、米男性の85.8%、女性の 66.5%が週40時間以上仕事をしていると記した。