室蘭市知利別町の道道を横断中の70代女性が普通自動車にはねられ死亡した事故を受け、室蘭署は30日、現場診断を行った。現場付近では4年前にも同様の事故で高齢女性が亡くなっており、歩道橋が高齢者に敬遠されている実態が浮かび上がった。同署交通第一課の尾見富雄課長は「運転手が歩行者の動きに注意するのはもちろん、歩行者も横断歩道や歩道橋を利用し、命を守ってほしい」と話した。
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事故は21日午後8時5分ごろ発生。中島町方面に向かっていた会社員(38)の普通自動車が、右から横断してきた女性(78)をはねた。現場は片側2車線の見通しの良い直線で、事故原因は運転手の前方不注視という。
現場診断には同署や市、道路管理者、町内会などから24人が参加。尾見課長は「被害女性が近くの歩道橋を渡らず、車道を横断していた」など事故の概況を説明。関係者からは「4年前にも似た事故が起きた」「年配女性で歩道橋を上るのも大変だったのだろう」などの声が上がった。
2014年(平成26年)9月下旬の夕方、水元町方面に向かう大学生の車が、左側から歩いてきた女性=当時(81)=をはね、死亡させた。同様の事故は1991年10月にも発生するなど、現場ではこれまでも死亡事故が繰り返されていた。
14年の事故を受け、道路管理者である室蘭建設管理部は同11月末、横断防止柵2カ所(計11・7メートル)を設置。歩行者の車道進入の防止策を図ったが、依然としてバス停と車の出入り口になる箇所は空いたままだった。
地域住民によると、現場では以前から、歩道橋ではなく、道路を横断する高齢者がしばしば見られていたという。今回の事故後も、歩道橋の下を横断する高齢者が確認されている。
歩道橋は、知利別小学校と桜蘭中学校の通学路。同建設管理部登別出張所の福田仁見施設保全室長は「現場の道路状況を検討しながら、事故防止策を図っていきたい」と話した。
(林帆南、鈴木直人)
【写真=知利別町の道道で発生した交通死亡事故の現場診断(上)、交通死亡事故現場図(下)】
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