2018年5月30日 20:01
バリュートレードは、補聴器のように周囲の音を聞きやすくする機能を備えたNuheara(ニューヒエラ)の左右完全分離型Bluetoothイヤフォン「IQbuds(アイキューバッズ)」を6月末に発売する。価格は39,880円。蔦屋家電や家電量販店、Amazon.co.jpなどで販売する。
通常の左右分離型Bluetoothイヤフォンとして音楽を楽しめるほか、独自の「SINC(スーパーインテリジェントノイズコントロール)」技術により、外の音を取り込んで騒音を減らしつつ人の声を聞き取りやすくする“聞こえサポート”が可能。iOS/Androidアプリ(無料)から調整や各種設定が可能で、家で家族との会話時に適する「Home」など、7種類のプリセットから周囲の環境に合わせて選べる。
自分の聴覚に合わせてイヤフォンから出る音をパーソナライズできる「Ear ID」対応の上位機種「IQbuds BOOST」も用意し、8月末より発売予定。価格は58,800円。
対応機種はiOS 9〜11を搭載したiPhoneやiPadと、Android 5.0〜8.0を搭載した、ディスプレイサイズが最大7型までの端末。
外音取り込みで聞こえサポート、音のパーソナライズ。NFMIで安定接続
バランスド・アーマチュア(BA)ドライバ1基と、MEMSマイクを左右イヤフォンに搭載し、NFMI(近距離電磁誘導)を採用して左右の安定接続を実現。スマホなどの接続はBluetooth 4.2で、プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSP。
コーデックは、IQbudsがSBCのみ。IQbuds BOOSTはaptXや低遅延のaptX Low Latencyにも対応する。
SINC機能は一般的なノイズキャンセリング機能とは異なり、外の音と人の声の音量バランスを調整するもの。使用環境に合わせて、以下の7種類のプリセットを備える。アプリ画面や右側イヤフォンの長押しで切り替えられ、機能オフにもできる。
- Workout
ジムなどでのエクササイズの際に周囲の音を意識しやすい設定 - Street
街の喧騒を低減する設定 - Home
自宅で家族との会話がしやすくなる設定 - Office
オフィスで同僚の声などを聞き取りやすい設定 - Restaurant
レストランなどで騒音を抑え、相手との会話がしやすい設定 - Driving
車や電車の車内で騒音を低減する設定 - Plane
航空機内での残響音やエンジン音を低減する設定
上位機種のIQbuds BOOSTは、自分の聴覚に合わせて音をパーソナライズできる「Ear ID」機能が利用可能。音の聞こえ方は個人によって異なることから、ユーザーにとってどの音が聞こえやすい/聞こえにくいかをアプリ内で測定。低域から高域まで6段階の周波数でテスト音声を出し、低域が聞こえにくい人には低域を強めに出すといった形で音量を調整し、左右それぞれの耳に合わせたプロファイルにして保存。イヤフォンからの音声再生時はその設定を適用する。
どちらも補聴器として医療機器認定を受けた製品ではないが、「音が聞き取りづらくなってきたけれど、数十万円もするような本格的な補聴器が必要なほどではない、という人向け。難聴でも快適に音楽を楽しめるようにしたい」(Nuheara CEOのJustin Miller氏)。ターゲットユーザーは、IQbudsは35歳以上、IQbuds BOOSTは55歳以上を想定している。
イヤフォンの重量は約8g(片側1個)。本体のタップタッチ機能は、1タップ、2タップ、ロングタップの3種類でSiriの起動や再生/一時停止、曲送り/戻し、ボリューム調整などの操作が行なえる。アプリから左右イヤフォンに各操作を割り当てられる。
Bluetooth機器を使うのが初めての人向けに、ペアリングサポート機能を装備。アプリの指示に従うだけで簡単にペアリング設定ができるとする。
IQbudsの内蔵バッテリ容量は100mAhで、連続使用時間は音楽再生が約4時間、聴覚補助機能が約8時間。IQbuds BOOSTは容量120mAh。付属ケースには1,140mAhのバッテリを内蔵し、イヤフォンを収納すると約1時間で急速充電でき、IQbudsでは3回充電可能。充電ケースの重量は約72g。2種4サイズのイヤーピースが付属。IQbuds BOOSTには3サイズ(S/M/L)のコンプライ製イヤーピースも同梱する。
Nuhearaは業務用ヘッドセットの製造を手がけるオーストラリアのメーカーで、現在はワイヤレス・ウェアラブルオーディオ製品を開発し、欧米でシェアを拡大。アジア市場もターゲットに入れ、クラウドファンディングのGREEN FUNDINGで製品販売に向けた支援を募っていた。国内ではバリュートレードが取り扱い、発売時期と価格が決定した。
NuhearaのCEOであるJustin Miller氏は「IQbudsは、音楽を楽しむための左右分離型イヤフォンと比べると高価だが、補聴器に近い機能を安価に提供できる。人は35歳を過ぎると音が聞こえにくくなっていくが、日本では聞こえにくさを感じている2,000万人のうち、補聴器を使っている人は1割程度。一般的に補聴器は数十万円以上と高価だが、IQbudsは補聴器に頼る手前の商品としてユーザーの『聞こえ』をサポートできる。アプリやファームウェアの更新で、購入後も長く使えるようにする」と話した。
今後は、ハイブリッド型アクティブノイズキャンセリング機能を搭載し、聴力補助機能を備えない左右分離型イヤフォン「IQ Live」を200ドルを切る価格帯で、2018年第4四半期頃に米国で発売予定。国内での発売も計画している。