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OSを初期状態にすると、必要なドライバを消さずにスクラッチからOSがインストールされた状態になります。PCメーカーが個別にプリインストールしているアプリケーションは全て削除されます(メーカーが独自にプロビジョニングパッケージを組み込んでいる場合、全て消えないこともありますが)。
企業にとって、PCメーカーがプリインストールしたアプリは不必要なことが多いはず。これらを全てきれいに削除し、かつ必要なドライバだけを残してOSセットアップを実行してくれるのです。
クローニングの場合、メーカーがプリインストールしたOSのままマスターイメージを作るのは、Microsoftのライセンス規約で禁止されているため、ボリュームライセンスのメディアからOSを再インストールした上で、マスターイメージを作成する必要があります。プロビジョニングパッケージの場合、OSインストールのためにドライバをダウンロードするといった手間も必要ありません。
このように、機種に依存せず、ドライバを探す手間もかからないといったメリットがあるプロビジョニングですが、幾つかデメリットもあります。
一般的にプロビジョニングは、クローニングと比較して1台当たりの作業時間が長いです。ローカルHDDの容量などによっては、クローニングもそれなりに時間がかかるのですが、実際に書き込まれたブロックだけを単純コピーするクローニングに比べ、プロビジョニングパッケージはOSの設定やアプリのインストールをスクラッチで実行しています。
もちろん自動化されているので手間はかかりませんが、インストールそのものを実行しているため、相応の時間が必要になるわけです。10台や20台ならともかく、100台、200台、さらにそれ以上となると管理者の負担が大きくなってきます。Microsoftは、プロビジョニングパッケージを数十台から数百台の中小規模の企業向けとしています。
インストールの自動化(サイレントインストール)に対応しているアプリケーションしか、プロビジョニングパッケージには含められません。
WCDはWindows 10のバージョンごとにリリースされます。そのため、プロビジョニングパッケージは、原則的にWindows 10のバージョンごとに作成する必要があります。旧バージョンのプロビジョニングパッケージに入っている構成情報は、新たなWCDにインポートし、新バージョンとして作り直すことができるため、大きな手間にはならないでしょう。
ただし、適用対象のPCにプリインストールされているOSが古く、サポートが切れている場合はOSを入れ直す必要があります。その際は、ドライバをダウンロードするなど、クローニングのマスターPCを作成するときと同じような手間が発生します。
次回は、これらの問題を解決するための運用や、各種サービスを使った具体的なPC展開運用をご説明します。お楽しみに。
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