横河レンタ・リースの「Win10運用マスターへの道」(3):マスターイメージが増殖するWindows 10の“呪い” 呪縛から抜け出す新技術とは? (2/2)

» 2018年05月31日 08時00分 公開
[松尾太輔ITmedia]
前のページへ 1|2       

 OSを初期状態にすると、必要なドライバを消さずにスクラッチからOSがインストールされた状態になります。PCメーカーが個別にプリインストールしているアプリケーションは全て削除されます(メーカーが独自にプロビジョニングパッケージを組み込んでいる場合、全て消えないこともありますが)。

 企業にとって、PCメーカーがプリインストールしたアプリは不必要なことが多いはず。これらを全てきれいに削除し、かつ必要なドライバだけを残してOSセットアップを実行してくれるのです。

 クローニングの場合、メーカーがプリインストールしたOSのままマスターイメージを作るのは、Microsoftのライセンス規約で禁止されているため、ボリュームライセンスのメディアからOSを再インストールした上で、マスターイメージを作成する必要があります。プロビジョニングパッケージの場合、OSインストールのためにドライバをダウンロードするといった手間も必要ありません。

プロビジョニングのデメリットとは?

 このように、機種に依存せず、ドライバを探す手間もかからないといったメリットがあるプロビジョニングですが、幾つかデメリットもあります。

1.インストールが完了するまで時間がかかる

photo プロビジョニングはクローニングよりも時間がかかることが多いです(写真提供:アフロ)

 一般的にプロビジョニングは、クローニングと比較して1台当たりの作業時間が長いです。ローカルHDDの容量などによっては、クローニングもそれなりに時間がかかるのですが、実際に書き込まれたブロックだけを単純コピーするクローニングに比べ、プロビジョニングパッケージはOSの設定やアプリのインストールをスクラッチで実行しています。

 もちろん自動化されているので手間はかかりませんが、インストールそのものを実行しているため、相応の時間が必要になるわけです。10台や20台ならともかく、100台、200台、さらにそれ以上となると管理者の負担が大きくなってきます。Microsoftは、プロビジョニングパッケージを数十台から数百台の中小規模の企業向けとしています。

2.インストールできないアプリもある

 インストールの自動化(サイレントインストール)に対応しているアプリケーションしか、プロビジョニングパッケージには含められません。

3.Windows 10のバージョン更新ごとに作り直す必要がある

 WCDはWindows 10のバージョンごとにリリースされます。そのため、プロビジョニングパッケージは、原則的にWindows 10のバージョンごとに作成する必要があります。旧バージョンのプロビジョニングパッケージに入っている構成情報は、新たなWCDにインポートし、新バージョンとして作り直すことができるため、大きな手間にはならないでしょう。

 ただし、適用対象のPCにプリインストールされているOSが古く、サポートが切れている場合はOSを入れ直す必要があります。その際は、ドライバをダウンロードするなど、クローニングのマスターPCを作成するときと同じような手間が発生します。

 次回は、これらの問題を解決するための運用や、各種サービスを使った具体的なPC展開運用をご説明します。お楽しみに。

著者紹介:松尾太輔

photo

横河レンタ・リース株式会社 システム事業部 ソフトウェア&サービス開発部長。

自社開発ソフトウェア「Flex Work Place」を開発、提供する一方、働き方改革を推進する企業に、安全で柔軟な働き方実現のための各種製品、そしてWindows 10の導入コンサルティング活動を行う。

暴れん坊三児の父でもあり、今働き方改革が一番必要な男でもある。


関連キーワード

運用管理 | Windows 10

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「Windows 7」サポート終了 対策ナビ

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -