内田前監督「インカム落とした」実は・・・ 映像検証 暴かれた“うそ”
日本大学アメリカンフットボール部の選手による悪質なタックル問題。内田前監督らは「除名」という厳しい処分となりました。29日の会見で次々と指摘された内田前監督らの“うそ”。改めて映像で検証します。
29日午後9時すぎに始まった関東学生アメフト連盟の記者会見。日本大学アメフト部の内田正人前監督や井上奨前コーチについて、こう断罪しました。
「内田前監督および井上前コーチの供述は、内田前監督を守ろうとして事実をねじまげているのが明らかであり、全く信頼性に乏しい」(関東学生アメフト連盟 森本啓司専務理事)
発言は「およそ全てに信用性はない」と述べた上で、内田前監督と井上前コーチに、最も重い処分で事実上の永久追放に当たる「除名」処分にしたことを発表しました。
「(今後は)チームの再建に徹底して、頑張りたいという気持ち。(Q.宮川選手に対して?)もちろん、もちろん。もう一回戻ってきてもらいたいという気持ちしかない」(日大アメフト部 現役部員)
あの“反則タックル”に関して、内田前監督らは規律委員会の調査に対し、「指示はしていない」と繰り返し主張したといいます。しかし、29日の会見では、内田前監督らの“うそ”が次々と指摘されました。
「この反則行為を内田前監督と井上前コーチはサイドラインからしっかりと見ていました」(関東学生アメフト連盟 森本啓司専務理事)
内田前監督が「見ていなかった」と会見で話していた反則行為の場面については、「映像から反則を見ていたと確認できる」と断定。さらに、内田前監督の新たな証言が明らかにされました。
「あのプレーのときに(内田前監督は)インカム、つまりヘッドホンを落としてしまい、2回目の反則も含め見ていないし、コーチらが当該選手の反則について指摘していた声も聞くことができなかった」(関東学生アメフト連盟 森本啓司専務理事)
反則が行われた瞬間の映像。内田前監督には、ヘッドホンが耳に当てられておらず、腰の辺りにぶら下げられている様子がみてとれます。
「監督がパスの行方を追うことなく、視線を当該選手の方に向けて、その動きを追っていたことは映像でも確認できます。内田前監督が落としたインカムを拾うような動作は認められておりません」(関東学生アメフト連盟 森本啓司専務理事)
内田前監督が宮川選手の悪質タックルを目撃したのにもかわらず、インカムで状況を確認する様子もなかったと指摘したのです。
アメフトの試合で使用されるインカムとは、どういった役割があるのでしょうか。元TBSアナウンサーで、関西学院大アメリカンフットボール部OBの有馬隼人さんは・・・
「スタンドの上の方から広くフィールドを見下ろしているコーチングスタッフがいて、そこで得た情報をベンチサイドにいるコーチングスタッフに伝える」(関学アメフト部OB 有馬隼人さん)
悪質タックルが行われたとき、内田前監督はインカムを付けず、反則行為をした選手を見ることだけに集中していたのでしょうか。内田前監督による「絶対的な指導」。その一端がわかる発言も、29日、森本専務理事の口から発せられました。
「選手たちの間では、運悪くこの対象者になってしまうことを“はまる”と呼んでいました」(関東学生アメフト連盟 森本啓司専務理事)
日大アメフト部の間で「はまる」と表現されていた内田前監督ならではの指導方法。
「見込んだ選手、活躍しそうな選手をとらえて全員の前で名指しで酷評し、圧力をかけ、ひたすら厳しい練習を課し、時に理不尽とも言える要求をして、精神的にも圧力をかける。これが対象者を代えて何度も繰り返されていました」(関東学生アメフト連盟 森本啓司専務理事)
日大の現役部員からは、こうした指導の場面を裏付ける証言が出ています。
「内田前監督が試合前に守備選手を集めて、宮川選手に向かって『反則してでも相手のクオーターバックを潰してこい』『俺が責任をとってやる』と話していました」
JNNの取材に対し、悪質タックルをした選手が内田前監督から直接指示を受ける様子を複数の部員が目撃していたというのです。
「誰か特定の選手をつるしあげて、過度なプレッシャーを与えて脅迫するような指導は、私はあるべきではないと思う」(関学アメフト部OB 有馬隼人さん)
一方、“虚偽”と認定された内田前監督らの主張をもとに、いまだ「認識の乖離」という見解を変えていない日本大学。
Q.アメフトの問題についてどう考えていますか?
「・・・」(日本大学 田中英壽理事長)
常務理事でもある内田前監督の唯一の上司に当たる田中英壽理事長は、いまだ公の場での発言を避けています。30日は、関東1部リーグ所属の大学の監督が集まり、今後について話し合う会議が行われる予定です。