給与即日払いサービスの「Payme(ペイミー)」は、企業を隠れみのにした高利貸しのペイデイローンではないのか?
そんな疑義をこちらの記事に書いたところ、なんとPaymeのCEO後藤道輝さんから、問い合わせ経由で直接コンタクトいただきました。
要件はずばり、「記事の疑義に関して、率直に事実をお伝えしたい」というもの。
- 金融庁・厚労省の見解が整いつつある
- 貸金業ではないと言質も取れている
- 中立的視点のブログ運営に協力したい
ぼく自身、Paymeについては思うところもあったので、これはチャンスとインタビューをさせていただきました。
今回は後藤さんの許可を得たうえで、その一部始終をお伝えします。
Payme後藤さんインタビュー……の前に確認
NAE:
このたびはお時間いただき、ありがとうございます。
後藤さん(以下、敬称略):
こちらこそ、お話しさせていただくチャンスをいただきありがとうございます。
NAE:
最初に聞きたいのですが、例の「ペイデイローン疑惑」記事についてです。
こちら、やろうと思えばDCMA申請などでGoogle検索結果から除外=事実上この世から消すこともできたはずです。
しかし、後藤さんはあえて直接説明するという判断をされました。理由はなんでしょうか。
後藤:
ネガティブな書き方の記事はなるべく抑えたい、という思いは正直あります。
しかしDCMAのような強制力のある方法を取ることで憎しみの連鎖に陥るのは、私の本意ではありません。
なにより、ビジネスパーソンとして公平にやりたかったのが一番です。
NAE:
なるほど……ありがとうございます。
ではインタビュー本編に移りたいと思います。
当ブログの読者さんやTwitterのフォロワーさん、中でもアクティブに活動している人の中には、いわゆる「FinTech界隈」に否定的な人も多いです。
そういった読者層を踏まえて、質問に答えていただければと思います。
後藤:
承知しました。
Paymeに対する批判の大部分は「適法性」と「社会性」の2点に集中していると理解しています。
今回はそれらについて、実情をお話させていただきます。
Paymeは貸金業者?適法性に関する批判について
後藤:
「適法性」の批判のポイントは、サービス利用時に発生する「手数料3~6%で給与即日払い」について、「事実上は返済期限1ヶ月、金利3~6%の貸付。これは年利換算だと36~72%であり、法定金利上限の年率20%を超えるため違法。」という点です。
NAE:
同じ認識です。
貸金業をはじめ、「業」として金銭の貸付を行う場合、出資法の定める「年率20%」を超えると刑事罰の対象です。
そこで率直にお聞きします。Paymeは貸金業者でしょうか?
後藤:
率直にお答えします。
関係省庁から「貸金業者にはあたらない」という言質は取れてはいるものの、完全にホワイトとは言いきれない状況にあります。
NAE:
具体的にはどういうことでしょうか。
後藤:
貸金業者にあたるのかの解釈をめぐり、これまで関係省庁と丁寧にコミュニケーションをとってきました。
まずは金融庁まで、事業内容やしくみを説明しました。
結果、「賃金性の有無で解釈が変わる。この判断は厚労省の管轄である」とコメントをいただきました。
ここでの賃金性とは、平たくいえば「従業員に即日払いする給与の原資をPaymeが持つか」を指す。
仮にPaymeが原資を持つ場合、Paymeは即日払いされる給与を従業員への「貸付」し、「利息」として手数料を取る「貸金業者」とみなされる可能性が高い。
すると貸金業法、出資法、利息制限法の上限金利である年20%を守る必要が出てくる。
くわえて、直接雇用者ではないPaymeが導入先企業の従業員に前払いとはいえ給与を支払う形となると、労基法の「直接払いの原則」に抵触するおそれもある。
NAE:
まずは本丸に、ということですね。その後は厚労省へ?
後藤:
はい、厚労省に説明を試みました。結果、「賃金性がある」とコメントをいただています。
電話での説明だったため、書面での正式な回答はいただけていないものの、会話に同席した弁護士に正式に「電話聴取報告書」も作成していただいています。
いわゆる電話の議事録。訴訟の際に正式な証拠にもなる。
NAE:
電話聴取書を見せていただくことは可能ですか?
後藤:
こちらです。
(注:捺印済のPDFを見せてもらいました)
NAE:
ありがとうございます。これをして「言質は取れた」とされているわけですね。
後藤:
はい。続けて、「賃金性」の確認結果をお伝えしに金融庁へ赴き、内容も理解していただきました。
しかし「厚労省に対し金融庁から正式な確認をしたわけではない」という理由から、「賃金性がある=貸金業ではない」という金融庁の公式な判断はおりていない状態です。
これが「完全にホワイトではない」とお伝えした背景です。
NAE:
縦割り組織、ですね。
とはいえ、省庁またぎの確認と正式な回答にはおそらく時間がかかるでしょう。
今後の当局コミュンケーションはどのように進めるおつもりでしょうか?
後藤:
次善策として、経産省の「新事業特例制度・グレーゾーン解消制度」に申請しようとしています。
現行の法規制の枠では捉えきれない新規性の高い事業について、特例的に認可を行う制度
後藤:
くわえて、なんらかの形で事業を国に認めてもらおうとしています。
たとえば資金移動業など、既存の枠組みの中でも形で国の認可の取得ができればと考えています。
NAE:
現行の枠組みでは捉えきれない場合の認可と、既存の枠組みの中での認可。
両方の可能性を追いかけているんですね。
後藤:
そういことになります。
貧困搾取ではないのか?社会性に関する批判について
NAE:
次の話題に移ります。第2の批判の観点、「貧困搾取」についてです。
率直に、Paymeの事業は貧困搾取にあたると考えていますか?
後藤:
まず前提として、Paymeは「将来価値の高い人が、お金を理由に将来をあきらめてほしくない」と願っています。
今はあまりお金を持っていない、でも将来価値は高い。そんな人にこそ、Paymeを使って即日払いした給料を使って、自己投資をしていただきたいと思っています。
そのため、Paymeはメインの顧客層をBOP×HENRYと定めています。
いわゆる低収入層。収入を縦軸、人数を横軸にとったピラミッドの底辺にあたる。
HENRY(High Education Not Rich Yet)
将来の富裕層候補。高度な教育を受けているが今は貧困な「将来価値」の高い層。
後藤:
BOPがターゲットに含まれる点だけ見ると、たしかに貧困層から手数料をいただく形ではあります。
NAE:
狙いは理解しました。でも実際はどうなのでしょうか?
BOP×HENRYにPaymeが利用されている、具体的な事例を教えてください。
後藤:
YouTubeやSHOWROOMなどへ出演者を派遣するインフルエンサービジネスの企業さんが好例です。
将来のインフルエンサーである駆け出しの出演者たちは、自分の芸やワザを磨くために継続的な自己投資が必要になります。
一方、インフルエンサー派遣業では給与支払いが翌月または翌々月払いと、かなり遅めです。
このギャップが原因で、資金ショートに陥ってしまう事例が結構多いんです。
たとえば、インフルエンサーを目指す人の中には、Paymeで得た現金を語学学習にあてている人もいたりします。
NAE:
なるほど。たしかにそういった層にとって給与の即日払いは嬉しいですね。
しかし事業構造としてPaymeとユーザの間に企業がはさまる以上、BOPだがHENRYではない人たちにもサービスが届いてしまいます。
言葉を選ばずに言うと、生活保護でもらったお金のほとんどを酒とパチンコで溶かしてしまうような、現在価値も将来価値も低そうな人たちです。
そういった人たちにPaymeの給与即日払いが届くメリットは、なにかあるのでしょうか?
後藤:
ご指摘のとおり、どのユーザに使ってもらうかの最終判断はあくまで各企業さまに委ねざるをえないため、HENRYではないBOPの人たちにも、Paymeは届きます。
実際、導入を検討されている企業さまから「その日暮らしを助長するようなサービス」という厳しいお言葉をもらったこともありました。
とはいえ、導入された企業さまからは、そういった方々にもサービスを使ってもらうメリットがあると伺っています。
NAE:
具体例を教えてください。
後藤:
1つは、金融リテラシーが上がったという事例です。
BOP層は、自分の資産や収支など、お金まわりの状況にうといことが多かったんです。
しかしPaymeを導入したところ、「自分はこれだけ働いたから、今このくらいお金がある」という情報をPaymeアプリで確認するようになったと。
自分の手持ち残高が可視化された結果、より「金融コンシャス度」が上がったそうです。
NAE:
RPGみたいなものですね。「これだけ敵を倒したから、これだけ金と経験値がたまっている」的な。
後藤:
次に、仕事に対するモチベーションが維持されやすいという事例です。
「お金」が目当てでアルバイトをしている多くの人は、給与が支払われる前の段階で辞めてしまう傾向があります。それまで働き続けるモチベーションを保てないからです。
しかしPaymeを使うと、「働いたらすぐ、こまめに入金される」状態を作れます。
これが働くモチベーションにつながり、その結果、アルバイト店員の定着率が飛躍的に上がった企業さまもあります。
NAE:
ゲーミフィケーションと同じですね。
自分のアクションに対してすぐフィードバックがあると、モチベーションを保ちやすい。
実はブログも同じです。ブログを始めたばかりの人は、記事公開後すぐアクセスが集まらないと記事更新のモチベーションが保てず、ブログを辞めてしまいがち。
もったいないと思うんですけどね。
後藤:
同じ構図だと思います。本当は続けたほうが本人にとっても良いはずなのに、途中で辞めてしまう。
そういう層にとっては「時給1000円で1ヶ月20時間働いたら、翌月に2万円入る」より、「時給1000円で5時間働いたら、翌日に4800円入る」ほうが、働くモチベーションにつながりやすいんです。
NAE:
手取り額は減るものの、継続という観点ではトータルで本人のためになっているはずだ……ということでしょうか。
後藤:
はい。
あと、BOP層は「給料日後の使いすぎ」から「カツカツ生活」に陥ることが顕著な気もしています。
それがPaymeで「働いた分だけ即日払い」の状態になれば、給料日前のカツカツがゆえの借金をせずに済むのでは……とも考えています。
NAE:
ニュアンスとしては「週別に使うお金を封筒に小分けしておく」という節約術に似ていますね。
「貧テック」というネガティブな呼び名について
NAE:
ところで、日本のFinTech界隈はよく「貧テック」と呼ばれています。
「貧困搾取のためのテクノロジー」とマイナスな意味で使う人が多いと思うのですが、そう呼ばれることを後藤さんはどう感じていますか?
後藤:
特にマイナスには捉えていません。
なぜなら「ネガティブワードで検索してヒットした記事を読んだら、意外とマトモにやっていた」と見直してもらえれば……と思っているからです。
そのため、2018年に入ってから積極的にPRや取材を受けるようにしています。日経ビジネス2018年5月号の「貧テック」特集は好例です。
NAE:
マジメにやっている、という確信からくる発想というわけですね。
そのようなネガティブイメージを払拭するために露出を増やしているとのことですが、Paymeにとってのメリットはなんなのでしょうか。
後藤:
営業における「討ち死に」が減ることです。
営業では、現場の担当者さまへPaymeをご紹介し、メリットをご理解いただいたうえで上長へ導入の決裁を取るように段取っています。
しかしネガティブイメージが先行しているがゆえに、承認する方がイメージ先行で「却下」してしまうことが多々ありました。
たとえば現場レベルでは導入しようと一丸になっていたのに、社内承認の段階で「その日暮らしを助長するサービスなんか入れるな!」とNGになってしまったケースもあります。
これでは弊社の営業担当者はもちろん、企業さまの担当の方にも申し訳なくて……。
NAE:
ネガティブイメージで却下されることは、外資コンサルでもときどきあります。
「外資なんぞにオレたち日本企業が理解できるのかよ?」という、結構身も蓋もない感じで。
後藤:
それに近いです。
そのように「討ち死に」しかけたところには、後藤自身が出向いて地道に説明するようにしました。
しかし、どうがんばっても1日5社程度が限界で、これでは事業拡大がままならないと感じ始めたのです。
なので、そもそものネガティブイメージを払拭しなければ、と考えたんです。
NAE:
利用者と導入企業のWin-Winがそこにあるのに、イメージ先行でWin-Winを逃す。
それはもったいないですもんね。
後藤:
はい。どんどん払拭していきたいと思っています。
Paymeの今について
NAE:
Paymeの導入企業数は、2018年5月時点で100社を超えました(参考)。
2017年11月のローンチから半年、かなりのスピードで事業が拡大しています。
導入の決め手はなんでしょうか。他社との差別化要素について、お聞かせください。
後藤:
対従業員という意味では、やはり一番は使いやすいUI/UXです。
BOP×HENRYというターゲットを考えると、スマホネイティブな若者がユーザの大多数を占めることになります。
だからこそ、スマホネイティブなエンジニアが作った使いやすいアプリがウケていると考えています。
ミレニアル世代によるミレニアル世代のための仕組みたるゆえんです。
NAE:
たしかに、ローンチ当初もUI/UXが最大の武器とおっしゃっていました。
ちなみに、そんなユーザさんたちは、実際どのくらいの金額を「即日払い」しているのでしょうか。
後藤:
3万円以下が大多数です。給与全額を申請する人はほとんどいません。
あくまでPaymeをご利用いただいている企業さまの話ですが、小額の即金ニーズが多いようです。
たとえば1万円であれば、Paymeの手数料は3%計算で300円。
このくらいならATMの引き出し手数料のようなものだ……と思ってもらえてるのではないでしょうか。
NAE:
一方、導入する企業側にとって、Paymeのどこが競争優位に映るとお考えですか?
後藤:
手数料3~6%という料率の低さだと思います。
他社さまは資金保証会社などを仲介に入れている関係で、手数料を10%程度に設定しなければ利益が出ない収益構造になっています。そこを企業体力で6%程度におさえているのが実情です。
Paymeはそういった仲介をしていないので、3~6%というかなり競争力の高い水準が実現できています。
NAE:
3~6%と幅を持たせている意図、特に6%が上限である意図はなんでしょうか。
後藤:
BOPを対象とした金融の貸し倒れ率は0.4%と言われています。
100人中4人という計算なんですが、これが10人中となると0.4人≒1人ではなく、4人ほど踏み倒すそうです。
つまり、BOP層に対する金融は、どうしても「悪い人」から集まる傾向にあるということです。
実際、オレオレ詐欺をしているような会社が「外国の従業員に送るから」といって、無理やりキャッシュを引き出そうとしてきたこともありました。
そういったリスクも考慮して試算した結果、6%という数字に落ち着いています。
NAE:
手数料率以外の強みはありますか?
後藤:
企業担当者さま向け管理画面の使いやすさは大変好評いただいています。
UI/UXを重要視したアプリを作っているエンジニアが、腕によりをかけて作った管理画面です。
ほかの企業内システムにはない使いやすさがあるものと自負しています。
NAE:
最大の導入事例は?
後藤:
まだ事例として出す許可をいただいていないので企業名は明かせませんが、3000人規模の企業が最大の事例です。
NAE:
現在は導入費用ゼロのキャンペーンを実施されています。
このキャンペーンは、いつまで継続予定でしょうか。
後藤:
具体的な期限は設定していません。
今は事業としては「マス」に広げて規模を大きくするフェーズにあります。
そのフェーズから次のフェーズに移れるまでは、導入費用ゼロは続けていきたいと思います。
Paymeの将来について
NAE:
日経ビジネスの「貧テック」特集に、即金ニーズの市場規模は10兆円とありました。
一方、Paymeの理念は「人」にフォーカスしています。
そこで、利用者数という点ではどの程度の市場規模を見込んでいますか?
後藤:
Paymeの流通額は、ここ最近でようやく総額が億を超えたくらいで、まだまだ拡大の余地があると考えています。
利用者数の点では、日本の生産人口が5000万人、非正規雇用が2000万人、そのうち半分の1000万人くらいまではPaymeは狙えるのではないかと考えています。
ちなみに、先行する他社の給与前借りサービスにユーザ数が100万人を超えるものがあるので、少なくともそのレベルまでには広げていきたいと思います。
NAE:
将来の事業展開プランをお聞かせください。
後藤:
先ほど申し上げたとおり、まずは「マス」にサービスを広げていきたいと考えています。
事業構造上、規模が大きくなればコストが下がるはずです。
その利益を原資に、手数料の引き下げや、従業員の方から手数料をいただかない「企業課金」への切替など、よりよいサービスを低コストで提供できるようになっていければと思います。
NAE:
「給与即日払い」の枠を超えた展開はお考えでしょうか。
後藤:
クレジットカード会社のような加盟店モデルへの展開は視野に入れていますし、「ウォレット化」も目指していきたいです。
たとえば、LINE STOREの商品を、Paymeにチャージ済の即日払い給与を使って買ってしまう……という世界です。
メルカリやDMM経済圏など「モノの売り買い」をベースとした従来のウォレット化アプローチではなく、給与という切り口でウォレット化ができるのは、Paymeだけだと思っています。
NAE:
一度人の財布に入ったお金をチャージしてもらう、ではなく、人の財布に入る前にチャージしてもらう、ということですね。
後藤:
はい。そうなれば、ゆくゆくは金融インフラというか、銀行のような存在になれるかな、と思っています。
Paymeにチャージしていただいた給与を、Paymeが運用して利益を出す。
すると利用者の方から見ると「Paymeに給料を入れておくと自動的にお金が増えている」状態になる……というイメージです。
私がクラウドファンディグサービス「CAMPFIRE」出身という事情もあり、クラウドファンディングやソーシャルレンディングを投資先にできれば……とも。
NAE:
金融以外への展開についてはいかがでしょうか。
後藤:
HR Techへの展開は狙っていきたいです。
Paymeにご登録いただいたアルバイト従業員の方は、ご自身の状況が変われば働く場所を変えるはずですよね。
たとえば北海道のコーヒーショップで働いていた女子高生が、大学進学を機に上京するとなったときに、都内のコーヒーショップに関する求人情報をおすすめする……といったサービスがでたら面白いかな、と考えています。
NAE:
いわゆる人材マッチングサービスですね。
後藤:
はい。アルバイト採用の投資効率=人材定着率は極めて低く、1000万円かけて人を集めても半年もすればほとんどがやめてしまう、いわゆる「穴の空いたバケツに水を注ぐ」状態にあります。
そこにPaymeに蓄積された就労履歴をベースに適切なレコメンドができれば、もっと効率の良い採用ができるし、定着率も向上するのでは、と考えています。
正直に教えてください
NAE:
金融は社会基盤と捉えられていることもあり、かなり規制やしがらみが多い業界です。
「この規制がなければもっと金融は自由になれるのに」と思うポイントがあれば、教えてください。
後藤:
規制は守るべきものなので、コレをどうにか……というものは申し上げにくいです。
しがらみという意味では、企業さまの「決裁層」はもっとチャレンジに積極的になってくれたらいいのになと思うことはあります。
たとえば、Payme導入の最終決裁を行う方のなかには、定年目前で「トラブルなし」で過ごしたい方など、新しいことにチャレンジしないインセンティブが働きやすい方がいる……というお話を聞くことがあります。
そういった方が社内承認を行う役回りをしていると、現場ではPaymeに対する明らかなニーズがあるのに、導入の機運がツブされてしまうことがあるんです。
NAE:
なかなか現場感のあるご意見です。具体的に、どうなってもらいたいと考えていますか?
後藤:
「フォーマットの変化」を受け入れてもらえたら、と考えています。
たとえばオークションであれば、「高額入札者が落札できるヤフオク型」が「誰でもなんでも取引できるメルカリ」そして「商品のやりとりすら必要ないCASH」と変化してきています。
給与の支払いだって、翌月末や翌々月末という時間のギャップを取り払うパラダイムシフトが起きてもいいじゃないか、と思うんですよね。
NAE:
そうなるために、決裁権限を持つシニアな方々に一言、声をかけるとすれば?
後藤:
夢はあるけどお金に困っていた「あのとき」を思い出してくれると嬉しい……でしょうか。
NAE:
ありがとうございました。
編集後記
例のペイデイローン疑惑記事を書いた当時のぼくは、「小口金融」や「即金ニーズ」について知らなかった、というより、知ろうとしていなかったフシがありました。
「なんでもらえる金を減らす必要があるんだ」と本気で考え、それを冗長する搾取サービスはけしからん、とすら思っていたんです。
しかし、それはある程度の生活が送れる経済状況にあるがゆえの驕りであると、後藤さんと話していて思い知らされました。そこにはたしかに、従業員と企業、両者がWin-Winになるニーズがあったんです。
とはいえ、月6%の手数料を年換算すると72%となるのはまぎれもない事実。
「賃金性がある=貸金業ではない=上限金利の規制を受けない=違法性はない」と当局から正式に回答が出たとしても、過去の批判の経緯から「常識的にどうなの?」と批判を続ける人も一定数は残るでしょう。
Paymeが「マス」に広がり、企業課金型に切り替わるまで、この批判は続くと思われます。
Payme、そして若き経営者である後藤さんは、今後どのように舵を切っていくのでしょうか。
陰ながら、見守っていきたいと思います。
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