最低賃金は「全国一律1000円」にするべきだ

地域別の最低賃金は世界の常識ではない

政府は地域間の賃金格差こそ直すべきである(写真:GF days/PIXTA)
日本の最低賃金制度は、都市部と地方での賃金格差が存在していることを是認している。しかし、世界主要国を見回すとこうした賃金格差を設けている国が多いわけではない。西川一誠・福井県知事は「日本においても地域間の賃金格差をなくし、全国一律にするべき」と主張する。

政府が進める「働き方改革」の議論において欠けている問題がある。それは「地方と都市における賃金格差」の是正が語られていないことである。政府は地域間の賃金格差こそ直すべきであり、この格差を容認している最低賃金制度をまずは是正する必要がある。

「同一労働同一賃金」の実現は、場所を問わずオールジャパンの原則であるかのように主張されている。しかし現実には、同じ労働に対する正規・非正規の同一企業内での不平等を言っているにすぎない。同一労働の「地域間」における賃金の格差の存在には気づかないか、あるいはまったく関心が向けられていないのが実情だ。同じ日本の中の地方と都市で同じ労働に価値の違いがあるのは、はたして常識なのだろうか。

東京都と最も低い県との差は218円

1959年に最低賃金法が制定された当初は、業者間の協定により最低賃金が設定され、すべての労働者を対象とするものではなかったため、その普及状況や水準に産業間・地域間で不均衡が生じた。その後、業者間協定方式は廃止され、1976年に全都道府県に地域別最低賃金が設定され、すべての労働者に適用された。

そして、1978年以降は、47都道府県をAからDまでの4ランクに区分し、生計費・平均賃金・企業の賃金支払い能力などを参考に、引き上げの目安額を決めている。この金額を基に各県で独自に最低賃金を決めるかのようになっている。

しかし実際は国が決めた目安額がほぼそのまま用いられる。この手法では、A区分の引き上げ幅が高くD区分は低くなるため、格差が広がるばかりである。実際、最低賃金が最も高い東京都と最も低い県との差は、この10年間で109円から218円へと倍増している。

最近ではどこの地域に行っても同じように営業するコンビニ、スーパー、洋服店、フード店など画一的な風景が目につく。物流も同様であり、サービスやモノの値段に違いはない。だが、こうした全国展開する企業の従業員には、各地で異なる時給が支払われている。はたして同じ仕事に従事する人々の労働の価値に違いがあるのだろうか。最低賃金に地域差を設ける制度にどこまで合理性があるのかは、疑問である。

次ページ地域別の最低賃金は世界の常識ではない
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME0268e9f8d5f2
    たしかにマクドナルドの従業員で地方だけ賃金安いっておかしい話
    地方だからってハンバーガーが安く売られてるわけじゃないのに
    up55
    down12
    2018/5/30 05:42
  • NO NAMEacdd6157fa3c
    地方創生とか言っている以上、最低賃金の全国一律化は妥当。

    だが。
    1000円は安すぎる。
    バブル期と違い、世帯主が非正規だったりする現状では、正規サラリーマンの相場の下限域である1800円の80%。
    つまり、1400~1500円が妥当なのではないか。
    up34
    down7
    2018/5/30 08:39
  • NO NAME193dc22d8bfb
    いろんな意見があるのは当然だが、例えば、長距離・中距離トラックの運転手さんをまず取り上げたい。福井県と愛知県・静岡県を往復する路線の下請け運転手さん、岡山県と東京都を路線の下請けとして運転する運転手さん、もっと凄いのは、九州から関東、さらには、東北まで運転するトラック運転手さんなどのように、会社所在地や現住所は地方であっても、勤務場所が、そこに限らない、東京・名古屋・大阪など大都会でもあるし、その周辺の神奈川・兵庫・静岡などでもある職種は真っ先に、同一賃金を導入すべきだろう。地方の会社を傭車すると、その地方相場より高く払っても、元請けの所在地の相場より安く儲かってしまうという異常現象を解消したらどうだろうか。
    up29
    down4
    2018/5/30 06:38
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
イラン核合意離脱は<br>トランプ再選のため

イランの核開発を制限する核合意から、米国が離脱した。イランたたきは中東発世界不安を招きかねず、得策ではない。背景にはトランプ大統領のごくごく内向きな理由があった。