評価: ★★★★ 4.0
やっぱり面白いですよね。
ハリウッド映画システムの底力ですかね~大したネタでなくても、スターシステムと編集者=エディターの力で、見ている間確実に楽しませてくれます。
女性なら、なおさら、見て損はない娯楽作です・・・・・・・
<プラダを着た悪魔あらすじ>
大学を卒業したアンディ(アン・ハサウェイ)はジャーナリストを志望しニューヨークにやってきた。新聞や報道各社の面接に落ち続ける。しかし、なぜか超一流ファンション誌ランウェイのカリスマ編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)に気に入られ、アシスタントとして雇用される。しかしそこはシニア・アシスタントのエミリー(エミリー・ブラント)にこき使われながら、ミランダの横暴と無理難題の要求に即応すべき職場だった。アンディはミランダに反発するが、ファッション・ディレクターのナイジェル(スタンリー・トゥッチ)から甘さを指摘されて、仕事に対すして前向きに取り組むようになる。その結果ファッションに興味がなかったのに、嘘のように洗練されていき、ミランダの信頼も勝ち取ってパリ・コレクションという晴れの舞台で仕事をする事となる。
しかしプライべートでは、職場の同僚とギクシャクし、友人たちと疎遠になり、恋人ネイト(エイドリアン・グレニアー)とも破局。自分の人生に疑問を感じ始めたときアンディは、パリでランウェイ編集長のミランダを失脚させようとする陰謀を知る・・・・・・・・・・・
(アメリカ/2006年/110分/監督デイヴィッド・フランケル/脚本アライン・ブロッシュ・マッケンナ/原作 ローレン・ワイズバーガー)
メリル・ストリープの演技はさすがですね~
こんなイヤミなキャラクターを最後は誇り高き貴族的女性として憧憬すら覚えさせますもんね~
それにアン・ハサウェイ。
この人は不思議な人で、大きな口のせいもあって一見庶民的なんですが、『アリスインワンダーランド』では無いですが、着飾ると見栄えがするという。
庶民ファッションのアン・ハサウェイ
劇中で総額100万ドル(約一億円)の豪華衣装を着るアン・ハサウェイ
そんな彼女にとって、この映画はハマリ役だったのではないでしょうか?
この映画の語るところは、庶民アン・ハサウェイが王宮に入って、王子様ならぬ女王様メリル・ストリープの後継者として玉座を狙うという物語だと思います。
その主人公の変化を、彼女のファッションによって視覚的に伝えているのが上手いなぁ~と思います。
また、この映画における、「ファション=プラダ」とは「権力の象徴」として登場するように思います。
つまりここにあるのは
「裸の自分=本来の自分=子供時代」
が、成人となり社会に出て行く時
「権力=社会=公人」
としての役割を担わされるということの象徴だったと感じます。
この映画のメリル・ストリープ演じる編集長ミランダが権力を欲しいままにし、専横を極めるのも、彼女が絶対的権力を持っているからに他なりません。
会社が利潤を求めて、マーケットを支配しようとするのと同様、人が社会の一員として公的な役割を果たす時、その最高責任者、社長、理事長、大統領を務めることこそ、最も公人としての役割を果たすものだと言えるはずです。
それでも、彼女は公人として成すべき事を成さねばなりません。
つまりこのメリル・ストリープが表わしたのは、悪魔といわれようと、不幸であろうと、成されなければならない最高権力者の憂鬱と孤独、絶対王者の悲哀とプライドだったのだと思うのです。
そして、そこにはアン・ハサウェイ演じる庶民派主人公からみても羨むべき高貴さ、誇り、品格を、その姿に見出したに違いません。
なぜなら、仕事を全うして行った先にある、完成形がこの悪魔のような編集長なのですから・・・・・・
つまりこの映画で描かれたのは、社会進出を果たした現代女性たちが直面する、「公と私」のアンビバレンツな役割に揺れる姿だと思うのです。
【休憩時間】
プラダ2017年春夏コレクション(Prada Women's Spring Summer 2017)
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以降ネタバレがありますご注意下さい
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【休憩時間2】
プラダを着た悪魔挿入歌「Suddenly I see」
しかしラストでこの主人公は、この編集長、権力者、公の殉教者、とは、違う道をたどる事を選択します。
それに対して、「ナイジェルが可哀想」だと言う主人公アンディ。
編集長ミランダは、パリに来るため同僚エミリーを裏切ったあなたも、同じ事をしたといいます。
ラストの車内のシーン
アンディ「違う、あなたは選べないようにした」
ミランダ「いいえ、あなたが選んだ。この人生を望んだあなたにとって、必要な裏切りだった」
アンディ「でも、もし、私が望んでないとしたら。もし、あなたのように生きたくないとしたら・・・」
ミランダ「バカな事言わないで、皆が望んでいる。皆が私達のようになりたいの」
無言の内にアンディは車を降ります。
まるで馬車から降りたシンデレラのように・・・・・・・・
しかし公的な立場から言えば、社会的な責務を放棄したといわれても仕方がありません。
アンディは、つまり「王座=権力」を行使する責任から逃亡したのです。
そのことを解っているからこそ、反論もできずに、無言の内に、車を降りたのだと思うのです・・・
しかし、対するミランダの態度はどうでしょうか。
1000人リストラしようとも、成すべき事を成すのだという犯さざるべき覚悟が有ります。
皆が望んでいるというのは「華やかなファッションの世界」に対してだけではなく、成すべき仕事を全うする「公人」としての義務を果たしたいと、全ての人々が思っているのだという貴族的とさえ言いたい言葉だったでしょう。
そんなミランダから見れば、「公の義務」を放棄したアンディは許されざる存在であるはずです。
しかし、そんなアンディが新しい仕事の面接に行った時、ミランダがアンディを褒め是非雇うべきだと推薦していたと、その会社の人事担当者から聞かされます。
ここで表わされた、ミランダからのアンディに対する好意が意味するのは何でしょうか?
私は王者ミランダも夢見た、私人としての幸福を選ぶアンディを認めてやるという、度量の大きさを示していると信じます。
まさにミランダは「王の中の王」と呼ぶべきではないでしょうか・・・・・・・
こんなミランダは権力の座を落ちても、ギロチン台の上に載っても、王であり続けるに違い有りません。
この映画の主人公、アンディは「プラダ=権力=公」を脱ぎ捨て、私人として幸福になる道を選びました。
対する、ミランダは「プラダ=権力=公」に全てを捧げています。
本当に聞きますが、プラダを着たら悪魔なんですか?
プラダを脱いだら天使になったりするんですか?
私は「プラダを着た王は、プラダを脱いでも王」ではないかと思うのでした・・・・・・・・
この映画の見事さにまだ見れずにいます・・・・・・
アン・ハサウェイ出演『マイ・インターン』予告編
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ありがとうございます(^^)でも、やっぱり年とると、服でカバーするという・・・・ユニクロの中年オヤジは結構みすぼらしい気が?
実を言うとアンさん、胸が大きすぎて服のスタイルを崩しているような・・・・・・・
ありがとうございます(^^)よくできてますよね~
メリル・ストリープの役は、アメリカ・ボォーグの編集長がモデルだって言いますね~実話ワードを入れようか迷いましたが、長くなるので諦めました(T T)