(英エコノミスト誌 2018年5月26日号)

中国、対米輸入「大幅増」で合意 両国が共同声明

米国と中国の国旗(2011年1月17日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / JEWEL SAMAD〔AFPBB News

米国企業の幹部らは、現大統領はビジネスにとって有益だと考えている。長い目で見るなら、そうではない。

 米国のエリートの大半は、ドナルド・トランプ氏が大統領であることは国家に打撃を与えていると考えている。

 外交政策をつかさどる官僚は、安全保障上の同盟関係がめちゃくちゃにされていることに恐れおののいている。財政の専門家は、政府の借り入れが制御不能になりつつあると警告している。

 科学者たちは、気候変動という現象を政権が否定していることを嘆いている。一部の法律の専門家は、憲政上の危機が近づいていると警戒感をあらわにしている。

 大騒ぎの中、目を見張るような例外がある。企業経営者はトランプ時代について損得勘定を行った結果、トランプ氏を好ましいと見なすに至った。

 減税、規制緩和、中国から引き出せるかもしれない譲歩などの価値は、制度の弱体化や貿易戦争などによる不確かなコストを上回ると判断しているのだ。

 そして、国家の規制や外国との不公正な競争から米国企業を解放してやれば、利益が増加して投資も上向き、最終的には賃金も急上昇するという、経済に対する大統領自身のビジョンにも同調するつもりでいる。

 今年の第1四半期に華々しく打ち上げられた財務の花火は、このビジョンが実現しつつあることを示唆している。上場企業の利益は前年同期比22%増となり、投資も19%増加している。

 しかし、本誌エコノミストが特集記事で論じているように、この投資の増加は今までのそれとは似ていない。投資の主体が工場を操業する企業ではなく、巨大ハイテク企業のそれに偏っているのだ。

 トランプ氏が大統領でいることのコストをすべて考慮する場合、米国株式会社は近視眼的なうえに雑になっている。