ニャート

旧「一橋を出てニートになりました」。出版社を過労で退職→引きこもり→派遣社員を経て、社会のあり方について思うことを書いています。

ひきこもりが働く上で必要な、企業からのサポートと当事者の視点とは何か

TOP >

ひきこもりの人が働く上で、どんなサポートが必要でしょうか。

そのことについて参考になる、経営者のブログを読みました。
この方は、元ひきこもりの人たちを複数採用しています。

引きこもりのノリの話
引きこもりの人の採用・募集
引きこもり三四郎の結婚

元ひきこもりの雇用における、実際のサポート例

参考になる箇所を、箇条書き+引用します。

Aさんの場合
・母親が、電話で面接を申し込んだ
・当日10分前に母親から「息子が家から出られない」と電話があったが、本人に電話を代わってもらって「とりあえず来てみたら」と誘ったら、その日の夕方に現れた
・なんとなく(職場である)ホテルに居着くようになり、客室の掃除を手伝うようになった
・パソコンが得意だったので戦力になった
Bさんの場合
・母親が従業員で、母親に連れられてやってきた
・1日4時間の勤務から始め、徐々に時間を増やした
・Bさんの「ひきこもりの従業員のブログ」を見て、他のひきこもりの人も応募してきた

元々うちのホテルは、学歴、年齢、性別、経験を不問としてきた。
採用の基準は、真面目さとやる気である。
引きこもりの人は、このどちらも備えている人が多い。
真面目なゆえに引きこもりになっているし、強いやる気を持っているひとが多いのだ。
ただ、その表現が上手くないし、対人関係に慣れていないのでトレーニングが必要だ。

朝、起きられない
通勤の電車が苦手
休憩時に他のスタッフに気疲れする
人の目が見れない
反応が薄い

などを理解して、少しずつ慣れてもらう必要がある。
はじめは少し面倒だが、慣れてもらえれば戦力になることが多い。

誰でも、ずっと家にいて他人と接していなければ、慣れるのに時間がかかる。
うちのホテルでは、そう思っていきなり働くのでなく、はじめは慣れてもらうことに徹している。
ラブホテルは、引きこもりの人に向いている仕事なんだと思う。
サービス業だけど、接客がほとんどないからだ。

(中略)

うちは小さな会社だから、引きこもりの人を支援しようというつもりでなく、戦力になるから採用している。

ひきこもりが働く上で必要な、企業からのサポートとは何か

このブログを読んで、ひきこもりの人が働く上で、企業側に必要なサポートは下記ではないかと思いました。

  1. 親が面接を申し込んでも気にしないこと
  2. 面接や初日の勤務が最も精神的に負担だろうから、面接時間や勤務時間などをアバウトに設定すること
  3. 勤務に慣れるまで様子を見ること

普通の企業から見ると、特に1がハードルが高いかもしれません。
そのため、この点において支援者が、親と企業を結ぶ役割ができるといいと思います。

スポンサーリンク

ひきこもりが働く上で必要な、当事者の意識とは何か

この経営者は、ひきこもりの人が「戦力」になるから採用していると書いています。
ある意味、特別扱いではなく、普通の人として接しているのです。

ひきこもり・精神疾患・発達障害などを抱える人は、「朝起きられない」「電車に乗れない」「決まった時間、机に座っていることができない」「職場の人とコミュニケーションが取れない」など、就労以前のステップに不安を感じる人が大半でしょう(私もそうです)。

しかし、もしその部分を企業側がサポートしてくれるのだとしたら、「(その後)自分は何ができるのか」という観点を持って、自分を磨いておくことは必要です。

「戦力」として伸ばすのは、上記にもありますが、パソコンなどのITスキルやプログラミングが適しているのではと思います。
ひきこもっている間に学習できますし、ネット上には無料の学習サイトも多数あるからです。

特に、上記のラブホテル業界のように、パソコンを使う人があまり就職しない業界で、Excelなどが使えるというアピールをすることはかなり有効だと思いました。

私もひきこもりを経て働いていますが、いまの私を金銭的に支えているのは、ひきこもり時代に独学したWeb制作(HTML/CSS/JavaScriptなど)やVBA、日英翻訳などです。

でも、どれも大してできません。
実は、世の中の人は、皆が思うほどパソコンができないような気がします。

私が働いている部署は、みな英語が堪能です(私はできないです)。
ですが、そんな優秀な人たちでも、なぜか「PowerPointのページ番号が修正できないからお願い」と依頼されることが多く(複数のファイル結合時に、各スライドマスターが違うとページ番号が通らない)、「こんな5秒でできることでお給料もらっていいのかにゃ」と思うことも多々あるのですから。

Word・Excelはそんなに難しくなく自宅で独学できるので、まずはそういった学習から始めて、自信をつけていくことが大切だと思います。

備考

この経営者については、2018年5月にNPO法人Nodeが開催したイベント「一緒に考えたい〜つながり・ひきこもり・はたらく場所〜」での発言について、批判があることを付け加えておきます。

内容がうかがえる部分を、ブログから引用します。
もともと、そのことを調べていて上記の記事にたどり着きました。

個人的には、この方はイベントでは思想を語るのではなく、上記のような実践例を語った方が、皆にとって有益だと思います。

今回もそうだが、参加して毎回思うのは、引きこもりの擁護、社会的弱者の権利主張、周囲や行政への要求、理想の追求が過ぎる、ということだ。

  • 引きこもりの状況をわかってほしい
  • 社会的弱者は守られるべきだ
  • 行政は〇〇な支援を強化すべきだ。
  • 社会がもっと××なればいい

それぞれの主張を聞くと、もっともらしい意見だ。
でも、、それって現実的なの? と思う。

昨日のシンポジウムでも、主催者NPOの理事たちは

「働かない権利ってあるんですよ」
「働かないことの幸せ・満足があってもいいんです」
「社会的な支援というのは、得られて当然の権利なんです」

という意見が大勢を占めていた。

「この人たち、ナニ言っちゃってんの?」
僕はそう思って

  • 企業は引きこもり支援のために存在しているのではない
  • 前提条件として社会は、資本主義であり、自由主義。それらは自己責任、とう前提があるとう現実を考えるべき。
  • 議論の対象を当事者、経営者(起業)、行政に分けるべき。それにより話の方向性が変わる
  • 一時的な支援は必要だが、支援した結果、社会復帰し税金お納め支援される側から支援する側に変わるべき。

みたいな意見をしたものだから、アウェイ状態。

「引きこもりの就職シンポジウム」に出席して思ったこと
(誤字脱字はそのままにしています)

こちらもどうぞ
ひきこもり就労支援をビジネスとして成立させる難しさ