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【東京】

不登校の先にも輝ける道 ライター・三岡さん、虎ノ門で作品展

作品展の会場でインタビューに答える三岡さん=港区虎ノ門で

写真

 いじめをきっかけに不登校になり、自殺未遂や自傷を繰り返した経験のあるフリーライターの三岡瑞希さん(29)=都内在住=が、初の作品展「Photo×Story展 Bridge」を港区虎ノ門5の「カフェ パピエ」で開いている。苦しい日々を乗り越えた自分が感じたことを写真と掌編小説で表現した。三岡さんは「つらい思いをしている人に、1人じゃないと伝えたい」と話す。 (原尚子)

 三岡さんは昨夏から、一枚の写真に一つの物語をつけた作品をインスタグラムで発表。フォロワー同士が交流を始めるなど手応えを感じる中、「実際に皆が会ってつながれる場があれば」と個展を思い立った。会場には掌編小説集のほか、自らをモデルに撮り下ろした写真に一つずつ物語をつけた作品集、その抜粋パネル十三点を展示した。

 ガラスに映る三岡さんのポートレートには、三島由紀夫「仮面の告白」をモチーフに、周囲の評価を気にしながら生きる「僕」の葛藤を描いた物語をつけた。作品集の巻末には、着想を得た文学作品のリストも載せている。

 岐阜県出身。小学五年生で転校した後、机に「死ね」と書かれたり、上履きに画びょうを刺されたりするいじめが始まった。いじめは中学でも続き、不登校に。先の見えない三岡さんを支えたのは読書。「私をいじめる人たちが絶対読まない本を」と三島など純文学を読みあさるうち、図書の先生が金原ひとみさんの「蛇とピアス」を貸してくれた。

 当時、芥川賞授賞式に茶髪、ミニスカートで現れた存在感に圧倒され調べると、金原さんも不登校だったことが分かり「普通の道でなくても、自分を表現して輝いている大人がいる」と初めて励まされた。

 高校、大学を通信制で卒業、現在はライターとして過去の経験をつづったり、作品の中で表現したりしている。「作品には自分のかけらを埋め込んでいる。つらい思いの先に道があると思ってくれたら。来場者同士でつながりが生まれるといい」と願う。

 作品展は六月一日まで。入場無料だが、一オーダーが必要。問い合わせは三岡さんのメール=et.alors.0425@gmail.com=へ。

 

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