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日本橋の首都高地下化、どこが費用負担 民間のビルも 整備ルート決定、当初計画より新設減らす

2018/5/28 日本経済新聞 朝刊

日本橋を覆う首都高速都心環状線(東京都中央区)

 首都高速道路の日本橋区間の地下化が動き出した。国土交通省と東京都、首都高速道路会社は5月22日、約1キロの区間を地下化する具体的な整備ルートを決めた。付近を通る既存の首都高・八重洲線を活用し、地下に新設する道路を減らしたのが特徴。事業費を圧縮し、2018年夏にも費用分担の合意をめざす。国や都に加えて、民間の再開発ビルも負担を求められる可能性がある。着工は早くても20年の東京五輪・パラリンピック後になる見通しだ。

 日本橋区間の地下には上下水道や電力施設などのインフラ設備が埋まり、東京メトロ・半蔵門線や都営浅草線など地下鉄も通る。周辺では民間再開発も複数計画されており、ルート選定は「限られた空間を縫う」(国土交通省)ように進められた。

 今回のルートは当初検討していた地下の道路を減らし、周辺の民間再開発への影響を減らした。カギとなったのが首都高・八重洲線や東京高速道路(KK線)など既存の道路の活用だ。

 現在の首都高では日本橋区間から江戸橋ジャンクション(JCT)を経由して汐留方面に向かうことができるが、地下化ではこのルートの新設は見送る。代わりに八重洲線やKK線を通って汐留方面に向かってもらうようにする。

 神田橋―西銀座JCTを結ぶ八重洲線は交通量が比較的少ない。国や都、首都高会社は八重洲線やKK線を活用すれば、江戸橋JCTを経由して汐留方面に向かっていた車をさばけると判断した。KK線は大型車が通行できないため、対応が必要になるとしている。

 今後は費用分担が焦点となる。事業費は高速料金の値上げでまかなうことはないとしており、首都高と国、都などで分担する。民間の再開発ビルの地下を通る部分もあり、再開発組合などが一部を負担するケースも想定されている。

 五街道の起点だった名橋・日本橋を覆う首都高の撤去は、景観改善の面で地元の要望が強かった。一方、首都高会社は老朽化が進む竹橋―江戸橋JCTの2.9キロメートルで大規模更新を計画。更新にあわせ、日本橋区間の地下化を検討していた。17年7月には国と都が検討開始で一致。11月に検討会を設置し、地下を通るルートの具体的な検討を進めていた。

(安部大至)

[日本経済新聞朝刊2018年5月23日付を再構成]

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