日大アメフト部大量退部、一部にコーチの暴力問題か
日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、新たな証言です。去年、日大アメフト部では20人ほどが退部しましたが、その一部の背景には、コーチによる暴力問題があったと関係者が、JNNの取材に答えました。
「コーチに殴られて、耳の神経がまひして、しびれが出てきちゃって」(当時を知る関係者)
こう話すのは、当時を知る関係者です。去年、日大アメフト部では、「コーチによる暴力問題が起きていた」とJNNの取材に明らかにしました。
「コーチが暴力を振るったというふうに聞いてます。部内では手を出すといえば、このコーチというのが暗黙の了解というところがあったようです」(当時を知る関係者)
そうした暴力が始まったのは、内田正人前監督が監督に就任した直後のことだったといいます。日大アメフト部は、おととし、チームが4位に低迷したため、内田前監督が再度就任。
Q.おととしまでチームの状態が悪かった?
「年が明けて監督が急に(内田前監督に)代わりました。コーチたちが選手に寄り添うというよりは、監督の顔色を伺うような感じになったようです」(当時を知る関係者)
この関係者によりますと、コーチに殴られけがをした選手は病院に連れて行かれましたが、「練習による脳しんとう」と部内向けには説明され、暴力行為は表沙汰にはならなかったというのです。去年1月以降、日大アメフト部からおよそ20人が次々に退部。一部は暴力問題が原因だったといいます。
「日常的に暴力・パワハラがあり、コーチらに逆らえない状態だった」
関係者によりますと、当時の部員はこう訴えていたといいます。
別の関係者も・・・
「ミスをして、それに対する見せしめとして、正座をさせられたり。謝罪もなかったと聞いています」(当時を知る関係者)
悪質なタックルをした宮川泰介選手もこうした指導者らに追い込まれていたのでしょうか。
「相手を潰すくらいの強い気持ちでやってこいという意味ではなく、本当にやらなくてはいけないと思い、追い詰められて悩みました」(日大アメフト部 宮川泰介選手・今月22日)
内田前監督や井上コーチから、「反則行為の指示をされた」と証言した宮川泰介選手。食い違う宮川選手と内田前監督らの主張。日大広報部に取材を申し込みましたが、現時点で、コメントは寄せられていません。
JNNが新たに入手した日大対関学戦の別の角度からの映像です。これまでは、内田前監督の背中しか見えていませんでしたが、新たな映像では、正面から映っています。
「これは言い訳になるが、そのとき僕はボールを見ていまして、プレーの宮川選手のところを残念ながら、見ていないというのが正直なところ」(日本大学アメフト部 内田正人前監督・23日)
会見で「ボールを見ていてタックルを見ていない」と話した内田前監督。実際には、どこを見ていたのでしょうか。関学のクオーターバックからパスが出された後、宮川選手がタックルへ。そのとき、内田前監督は、本来は、パスが成功するか失敗するかボールの行方を追うはずのところですが、スローで見ると、プレーのスタートからタックルの瞬間まで、体がほとんど動いていないことがわかります。
この映像を見た、東京大学アメフト部の森ヘッドコーチは・・・
「(内田前監督が) 全くボールを追っていない。(内田前監督がタックルを)見ていないというのは考えられない。(反則が)目に入っていない可能性は低いと言わざるを得ない」(東京大学アメフト部 森清之ヘッドコーチ)
影響は、プロ野球界にも広がっています。日大は、読売巨人軍のオフィシャルスポンサー契約を解除するとともに、甲子園球場、神宮球場、ナゴヤドームなど6つの球場に出していた看板広告を自粛することを発表しました。
関東学生アメフト連盟で問題を調査していた規律委員会は、内田前監督と井上前コーチに対して、「除名」や「資格剥奪」など厳しい処分を理事会に諮る方向で検討しています。29日午後、開かれる連盟の臨時理事会で、どういった処分が下されるか注目されます。