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河村奨さんの「30代から始めるYouTube入門」がとてもためになるのだが、その中でも YouTube のジャーナリズムとして見逃せないと紹介されている Vox チャンネルの Earworm シリーズで取り上げられている「オーケストラ・ヒット」の歴史の話が面白い。
そもそもワタシは「オーケストラル・ヒット」として記憶していたのだが、原語では Orchestra hit が正しいらしい。
要は、オーケストラが一斉に「ジャンッ!」とやる感じの音を指すのだが、アフリカ・バンバータが1982年に「プラネット・ロック」で採用し、以降80年代にやたらと流行した手法である。
Vox の動画でも出てくるが、再結成イエスの「ロンリー・ハート」が、個人的には当時もっともインパクトがあったな。
Vox の動画を観ると、スミスのような一見こういう手法を使わなそうなバンドも使っていたのに気づかされて驚いてしまう。
そのように80年代一世を風靡した手法なのだが、そういえば山下達郎は以下のように語っていたっけ。
あとは流行の楽器や流行のミックス手法といった「時代の音」というのがあって、刺激的なものほど陳腐化も早いので、そういうものになるべく手を出さない。80年代にゲートリバーブをついに一度も使わなかった。オーケストラヒットなんてもってのほかだった(笑)。
山下達郎「OPUS ?ALL TIME BEST 1975-2012?」特集 (5/8) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー
つまりはあまりに流行ったがために、山下達郎のような音楽職人は意識して避けていたし、90年代以降はそれを使うのがだんだん恥ずかしくなっちゃったわけだが、近年ブルーノ・マースのような人が、オーケストラ・ヒットにまつわるノスタルジーを意識的に利用しているというわけである。
オーケストラ・ヒットというと、上記の通りアフリカ・バンバータあたりが一番最初と言われるが、この Vox の動画が面白いのは、その始祖をイーゴリ・ストラヴィンスキーの「火の鳥」に求めているところ。そして、ハービー・ハンコック、クインシー・ジョーンズ、ピーター・ガブリエル、そしてフェアライトCMIといった欠かすことのできない人や楽器が網羅されていて、よくできていると思った。
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