【実名告白】トップレビュアーが語る「Amazonステマ」の真実
2018年05月28日(月)
360.life編集部
360.life編集部/Test by 家電批評編集部
【実名告白】トップレビュアーが語る「Amazonステマ」の真実
Amazon Echoの上陸や六本木や渋谷で実店舗を展開した2017年は、アマゾンにとって、「ただのネット通販サイト」という立ち位置を飛び越え、さらなる躍進を図っていることがうかがえた一年でした。そんな飛ぶ鳥を落とす勢いのアマゾンの動向にこれまで注目してきましたが、ふと奇妙な事実に気づきます。そのキッカケはアマゾンレビューでした。
  • レビューが全部星5ってありえる?
    「やらせ」レビュー問題に切り込む
アマゾンにおいて、5段階の「星」評価を使った製品レビューの存在はサイトの代名詞的な存在で、家電批評でテストを行うにあたっても、レビューには必ず着目しています。しかし、調査中に200件近くレビューがついていながらすべて「星5」評価がついている製品を発見。しかもそれが数多く存在する、という奇妙な事実を知ってしまうのです。
無名メーカーの製品にもかかわらず多くレビューがつき、すべて最高評価……というのはさすがに変では?

元よりアマゾンはかなり気軽にレビューを投稿できるサイトで、アカウントも簡単に取得できるため、レビュー自体は基本的に誰でも投稿することができます。そのためレビューの信頼度については疑問視する声も上がっていたほど。高評価にせよ、低評価にせよ、実際に妥当性を欠いているレビューは一定数ありますが、そこは個人の自由なレビューという時点で、信じるか信じないかも含めて、ユーザーに判断を委ねられているシステムといえます。

しかし、ここしばらく遭遇してきた「奇妙」な形のレビューは、個人の動きの範疇を超えていて、もっと大きな動きのように感じます。そこで事ここに至り、とある問題に切り込んでいくことにしました。いわゆる「やらせ」レビュー問題です。
  • アマゾンレビューの最前線について
    トップレビュアーに取材を敢行
アマゾンレビューのやらせ問題に切り込んでいくにあたって、注目したのはレビュー欄に表示される「トップレビュアー」。

「500位以内」など順位も表示されるこのレビュアーたちは、アマゾンが定めた基準によって選ばれた、いわば「エキスパート」のレビュアーたち。そのため信頼できるレビュアーとして、彼らならばアマゾンレビューの最前線について語ってくれると考え、「アマゾンレビューにやらせはあるのか?」というテーマで取材を敢行しました。
■取材協力
レビュー歴10年、ランキング500位以内の高尾司氏。Amazonから公式にサンプル品をもらうAmazon Vineというシステムに参加しているとのことです。

わたしたちのアマゾンに一体何が起こっているのでしょうか?
  • 金銭を渡す「やらせ」はないが
    1日に50件のサクラ依頼が届く
今回、高尾さんの他に2人のトップレビュアーに対して取材を行いましたが、その三者いずれからも出た話がありました。それはトップレビュアー入りすることで、「無料サンプルを送付するので、レビューしてくれないか」という打診のメールが来たということ。ズバリ直球の「やらせ」のための根回しメールといえます。

トップレビュアーはアマゾン内でも一定の影響力をもつために、このような打診はかなり頻繁に来るのだと彼らはいいます。当然こうしたレビュー依頼は、アマゾンの規定に従えば違反となります。やはり、アマゾンには「やらせ」レビューが存在したのです。しかし、同時にその実態は、「やらせ」という言葉から想像されるものとは少し違っていたのでした。
トップレビュアーの高尾氏が語るには、「高評価レビューと引き換えに金銭を渡すような形での『やらせ』は今となってはほとんど来なくなっている」とのこと。今はサンプル品を無料で送付する代わりにレビューを自由に書いてもらう、という流れがほとんどで、すなわちレビューに対する報酬は製品の実物のみ。金銭的な報酬は実質ゼロなのだそうです。

しかも多くの場合で「高評価のレビューを書け」とすらいわれないといいます。「やらせ」と聞くと、どうしても裏でお金を渡したうえで、仕事として高評価をつけさせるイメージがありますが、実態は全く違ったようです。
  • やらせ依頼のメールを公開!
    指示は「星5、動画つき、長文」
では、なぜこのような形が主流になったかというと、理由はおおむね二つ。一つは予算。レビュー1本にいちいち報酬を出して書かせるとなると、予算が嵩むのは必至。まとまった予算があるならば普通の広告を出せばいい訳で、「やらせ」にお金を出すのは企業としてもコスパが悪いということです。

そしてもう一つは、あまりにも多くの企業が「やらせ」の打診をしているので、「やらせ」の打診自体の競争率が非常に高くなってしまっているということ。当然レビュアーは「やらせ」にのるとしても、最も条件のよい打診を受けることになります。予算はないものの、レビュアーに振り向いてもらわなくてはならない、そんな状況だから企業は「好き勝手書いていいので、うちの製品をもらってください」という態度で接するしかありません。

そういった意味では「やらせ」といっても、まったくデタラメのことが書いてあるパターンは想像よりも少なそうですが、それをユーザーが判別する手段はなく、アマゾンの規定に照らし合わせても明確な違反行為なのは間違いありません。

以下は実際のやらせ依頼の例になります。
■高評価を強要してくる場合(原文ママ)
サンプル品を渡すので、星5、動画つき、長文といったレビューの条件を指定した打診。非常に悪質といえますが、こうした打診は当然レビュアーからは見向きもされないため、今となってはだいぶ減ったそうです。

■中立的なレビューを求める場合(原文ママ)
自動翻訳を使ったかのような、煩雑な文章です。同じく「やらせ」の打診ではありますが、こちらは高評価にしろという記載はありません。どんな形でもいいので、影響力のあるレビュアーに投稿してもらうことで広告効果があるという判断のよう。
  • 「Amazonで購入」の表示も
    実は信用できない
アマゾンレビュアーの殿堂入りをはたしているトップレビュアーのY氏いわく、「『やらせ』はAmazonの規約違反。見つかれば、アカウントの凍結や厳しい処罰は免れません。他のユーザーの方に迷惑をかけるので許されることではありません」と厳しく言い放ちます。

また、多くのユーザーが参考にしていると思われるレビューについた「Amazonで購入」の表示。これについても、「実はあまり信用できない」とY氏は語ります。

というのも、無料クーポンで購入させると「Amazonで購入」はつきませんが、外部サイトやギフト券を介することで「やらせ」レビューに「Amazonで購入」を表示させることが可能なんです。こうした仕組みを理解している企業は現在は電子マネーを渡し、形式的に製品を買わせるパターンが多くなっているといいます。確かにこれでは信用できません。
以前は「クーポン渡すから無料で買ってよ!」とサンプル品をサクラに買わせていたようです。しかし、このやり方だとアマゾン購入の扱いにはなりません。
現在は先に製品購入代金を渡すようなフローにしているため、やらせレビューにも「Amazonで購入」がついてしまうのです。

ただし、この表示がまったく信用ならないかというとそうでもなかったりします。まずこうした「やらせ」を講じる企業は中国系のメーカーが大半で、それも大手ではないところばかり。

これは前述しましたが、しっかりとした予算があるのならば一般的な広告を出したほうが効率的で、逆にいえば国産メーカーやある程度名の知れたメーカーであれば、このような工作を講じる必要もないことから、この表示を参考にしてもいいといえます。ただし、聞いたこともないメーカーの製品に関してはその限りでないと覚えておきましょう。
  • 製品や操作手順の詳細な解説は
    中国企業による「やらせ」かも
アマゾンにおける「やらせ」レビューにおいて、特徴的な記述の存在について、もう一つ、トップレビュアーの高尾氏から話を聞くことができました。それは、たまに製品について詳細な解説をしたり、かなり事細かに操作手順を解説していたりしているレビューは、かなりの確率で企業による「やらせ」なのだといいます。

こうした中国系の製品は、流通業者のほうは一定の規模があるため、日本のアマゾンでも出品することができますが、製造元自体は非常に小さいことも珍しくありません。そうしたメーカーは日本語はもちろん、中国語のウェブサイトすらないこともあり、説明書の翻訳すらおぼつきません。

確かにアマゾンで格安の中国製品を買うと、付属している説明書の日本語表記がめちゃくちゃでまるで参考にならない、ということが日常茶飯事です。そこで企業が活用するのがレビュー欄。現地のレビュアーに製品の紹介・解説をしてもらうことによって、翻訳がうまくできなかった説明書のフォローをしつつ、評価もつけることができるというわけなんです。
こうした「やらせ」はある意味で嘘のことを言っているわけではないうえ、ユーザーに利益があるとさえいえます。もちろん規約に照らし合わせれば違反していることには間違いありませんが、中国製品の説明書が使いものにならないときは、アマゾンのレビュー欄をのぞいてみると、使い方が詳細に書いてあるかもしれません。

「一口に『やらせ』といっても、一般的に想像されるような単純なものはまずありません。インターネットの進化と共に「やらせ」も変わってきています」と、高尾氏。今回の調査でわかったのは、アマゾンでの「やらせ」レビューは、一般的に想像されているものとは違った形で巧妙化しているということでした。
  • 「やらせ」に惑わされないには?
    トップレビュアーが攻略法を伝授
上記の実態を踏まえ、改めてトップレビュアー高尾氏に「『やらせ』レビューに惑わされないためにはどうしたらよいか?」ということを率直に尋ねました。
すると、返ってきた答えは「レビュアーの素性を確認すべき」というものでした。というのも、レビュー欄には必ずレビュアーの名前が記載されていて、クリックするとこれまでレビューしてきた製品の一覧が表示されるようになっています。

「やらせ」レビューの多くは専用のアカウントで行われるため、レビュー数が極端に少なかったり、同一メーカーや一人の著者のものに偏っていたりするという特徴があります。そのことからレビューの真偽が気になったときは、とりあえずレビュアーのことを確認してみるだけでも効果があるということでした。
星5レビューの割合が100%に近い製品は露骨な「やらせ」。出品している企業を警戒したほうがよさそうです。

また、日本語自体が怪しかったり、レビュー全体に添付画像が妙に多い場合は、その製品そのものに注意! 言葉が怪しいのは言わずもがな、画像や動画つきのレビューを好むのが中国系メーカーの特徴だとトップレビュアーはいいます。

これらに加えてレビュアーに「田中護」「佐藤太一」といった「日本人アピール」をした実名に近い名前が並んでいた場合は、ほぼ確実にクロと思っていいとまで。その場合は企業ぐるみで「やらせ」を行っている可能性が高いため、警戒するようにしましょう。
  • 気持ちよく買い物するために
    嘘レビューを見抜く4つのポイント
トップレビュアーの高尾氏によると、こうした悪質なメーカーがいるように、悪質なレビュアーもまた存在するといいます。サンプル品をもらうだけもらって適当なレビューを書き、製品を転売することで小金を稼いでいる者もいるのだとか。

中国系メーカーがまともに日本語を読めないことは打診メールの段階でわかることから、レビューのほうも適当に書いたところで向こうにはバレないため、その結果、まったく参考にならない文章に無意味な画像を添えられたレビューが量産されるという事態を招いているのです。

その点トップレビュアーの肩書きのついたレビューは、不誠実なレビューを書くとアマゾンによる定期的なランキング更新で順位を落としてしまうこともあり、一定の信頼を置くことができるといえます。それでも怪しいレビューを見たら、次のようなポイントを確認してみるとよいでしょう。
ポイント①:翻訳が無理やりで日本語がヘン

一目でわかる特徴がこれ。中国系メーカーは「やらせ」でグーグル翻訳などを使って無理やり日本語のレビューを投稿することがあります。そのため文法もメチャクチャで、非常に読みづらい文章になっています。こうしたレビューが多く見られる製品は、ほぼ確実に企業による「やらせ」が行われているといえるでしょう。
ポイント②:レビュー多くが同じ日

発売直後の製品なのに事細かな内容が書かれていたら要注意! あらかじめ知っていないと書けないようなタイミングで投稿されていたり、レビューのほとんどが同じ日に投稿されていた、なんていうケースもありますので、投稿日時には注意して見てみましょう。
ポイント③:日本人の実名は逆に怪しい

履歴をみると一製品しかレビューしていなかったり、同メーカーのものだけを延々とレビューしていたら要注意です。またアカウント名が日本人の実名を意識したものになっているのも、中国系メーカーによる「やらせ」の手口だといえます。
こんな感じだと「やらせ」を疑うべき。
ポイント④:意味不明な画像や動画付き

「やらせ」企業がなぜか妙にこだわるのが画像や動画つきのレビュー。「やらせ」レビューの打診にも「画像は絶対につけてください」という指定が多いようです。箱や製品の全体写真など、レビューにつける意味のわからない画像が添付されていたら、そのレビューは「やらせ」である可能性が非常に高いと思ってください。
日本で最大手のネット通販であると同時に最も活用度の高いレビューサイトでもあるといえるアマゾン。その商品購入の決め手になるレビューが本物なのか、ステマなのか判断するのは正直難しいところです。そんなアマゾンの現状について語ってくれた今回のトップレビュアーの方々の見解には頷けるところがありました。

360.life(サンロクマルドットライフ)は、テストするモノ誌『MONOQLO』、『LDK』、『家電批評』から誕生したテストする買い物ガイドです。広告ではない、ガチでテストした情報を毎日お届けしています。

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