日大アメフト部の件に関係して、選手のプライベートを暴露しアクセスを稼ぐトレンドアフィリエイトがえげつないと、Twitterなどで批判が起きました。この手法はいつ誰が始めたのでしょうか? 一方、その理屈自体はブログ運営上、知っておいても良いものです。
日大アメフト部の選手名をキーワードにしたトレンドアフィリエイト記事に批判
トレンドアフィリエイトは、ブログのアクセス集めの1手法です。
芸能人や事件を中心とした、そのとき話題(=トレンド)のキーワードで記事を書き、アクセスを集める手法です。記事上でアフィリエイト(商品販売)を行う訳でなく、Googleアドセンス広告がメインですが、慣習的にトレンドアフィリエイトと呼ばれています。
今回、日大アメフト部の選手の記者会見に前後して、選手名での検索の爆発的な増加が予想されました。多くの人が記事を書きましたが、検索1位表示は次のタイトルの記事です(選手名は必要ないので、日大太郎に代えてあります)。
『日大太郎(日大アメフト部91番悪質タックル選手)の経歴や学歴と顔画像は?性格や彼女と日本代表歴も調査!』
この記事は、次のようなキーワード(検索語)を狙ったものです。
- 日大太郎 学歴
- 日大太郎 顔写真
- 日大太郎 性格
- 日大太郎 彼女
この種のキーワードでは「日大太郎 卒アル」「日大太郎 高校名」などもよく検索されます。非常に下世話ですが、検索する人が非常に多いのも事実。該当の記事は、 記者会見当日の深夜0時には、1,000,919PVに到達しました。つまり1記事が、たった1日で100万PVを獲得したのです。この記事の広告収益は、10万円以上だと概算できます。現状で刑法犯でもない個人のプライバシーを暴いて、10万円を得ることをどう感じるのかということですが、手法としては以前から存在するのも事実です。
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トレンドアフィリエイトは、いつから始まったの?
トレンドアフィリエイトは、2012年に発売された『下克上』という情報商材が原点だと考えられます。Yahoo!ニュースなどで、芸能人の話題(恋愛、不倫、不祥事など)が掲載された数時間後に、「〇〇〇〇の不倫相手の年齢は?住所は?顔写真は?卒アルは?」のような記事をアップするだけで、大量のアクセスがあり、広告収益を生むというものです。商材発売当初は、商材が推奨していたSo-net無料ブログでも、大量のアクセスを獲得できた手法です。
しかし、その後、商材が爆発的に売れ、トレンドアフィリエイトの手法が広がると、トレンド狙いの記事が検索結果を占拠し始めます。ユーザーにとっては、同じような、内容の薄い記事が並ぶこととなり、利便性を損ねると判断したGoogleはスパムとして対策を始めます。
具体的には、一貫したテーマ性のない雑記的なブログが、独自の取材結果や考察を伴わない2次情報による記事を書いた場合、Googleは次のように判断します。
- 専門性のないブログによる記事である。
- 類似記事に使用されるワードが酷似しており、実質的なコピーである。
- 検索からアクセスを稼ぐためだけに書かれたスパムである。
この判断は「目視による手動ペナルティ」とされていますが、私の経験上、自動検出が行われていると思います。ペナルティというのは、Googleの公式用語ではありませんが、記事の検索順位を50ランク下げるなど、非常に苛烈な対策が施されてきました。例えば、検索結果の1位に掲載されていた記事でも、検索順位50ランクダウンでは、6ページ目に飛びます。結果的にブログ全体のアクセスがほぼゼロになります。ネット上で、更新がピタリと止んだトレンドサイトを発見することがありますが、多くはペナルティを受けて収益がほぼゼロになったことによります。
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これからトレンドアフィリエイトに参入することは可能なのか?
現在、トレンドアフィリエイトブログで生き残っているのは、独自ドメイン、字数が多い、高頻度更新、独自の見解が含まれるといったものが多いです。上に挙げたブログも、トレンドアフィリエイトとしては、記事数が多くよく書き込まれています。
ほかでは、例えば『こくまろトレンディ』も生き残っているサイトとして挙げられます。更新は停止されていますが、ペナルティは受けていません。このサイトは、検索されることだけを主眼に、非常によく書き込まれていることがわかります。はてなブロガーは、格好をつけたがる、よく言えば紳士的な部分があり検索語をしっかり追わない傾向があります。とくに初心者の方の場合は、ある時期しっかりと(がめつく)検索語と向き合う経験が必要だと思います。
※トレンドアフィリエイトを推奨しているわけではなく、何らかの形態で検索語を追うことを提唱しています。
仮に、いまからトレンドブログを始めても、ブログが成長するまで、Googleのペナルティを回避できるかは運次第。今後新たにトレンドアフィリエイトに参入するのは厳しいと思います。一方で、根本のSEO理論そのものは正しく、手法を知っておく価値はあります。
現在、初心者の方が、収益化を視野に入れたサイト運営に参入する場合、次のようなパターンがあるかと思います(転売・販売を除く)。
- 雑記ブログ … ライティングやアクセスを獲得する練習を重ねながら、収益化も可能な得意分野を探る。ドメイン強度からはてなブログがおすすめ。
- 専門サイト … 職歴がある程度ある人や趣味がある人におすすめ。収益化は当面Googleアドセンスに任せる(ジャンルによる難易度の差が激しく、内部構成がカギになるので、1度だけでも良いので、コンサルが必要)。
- アフィリエイト … アクセスを獲得し、かつ成約を獲得する点でハードルが高く、初心者の挫折率は高め(継続的なコンサルが必要)。
- トレンドアフィリエイト … 現在は手法が陳腐化。雑記ブログや専門サイトのなかで、ドメイン強化のためにときどきトレンドを狙うのがおすすめ。
- プロブロガー系の手法 … 自身のキャラクターをデザインし、好きなことを書いて収益化。芸能人的手法で成功率は低め。
かつて、はてな外では、初心者の登龍門のような位置づけもあったトレンドアフィリエイト。上に挙げたように、1記事で1日に100万アクセスを稼ぐこともある手法ですが、新規参入では通用しなくなっていると言えます。その背景には、トレンドサイトの需要そのものは認めるが、数量的にトップオブトップのサイトだけで十分、とGoogleが考えている点があります。
トレンドアフィリエイトの理論は、間違っているのか
Googleに嫌われ、厳しい監視を受けるトレンドアフィリエイト。では、トレンドアフィリエイトの理論は間違っているのでしょうか? 実はそうではありません。サイト運営にはアクセス集めが不可欠。そのアクセス集めこそが難しいのです。では、なぜアクセス集めは難しいのでしょうか?
それは、ライバルがいるからです。例えば、ノートパソコン おすすめ のように、収益化できるキーワードほど競合が多くいます。
しかし、ある時期に新たに登場するキーワードにはライバルが全くいません。例えば、それまで全く浮いた話がなかった芸能人の◯◯花子が、突然不倫をした場合、「◯◯花子 不倫 」は、(2語キーワードとしては)新語になります。単純に早くそのことを書いた記事が1位に来ます。競合サイトがないのですから、Googleも選択の余地がないのです。
実は、新語は、皆が書きたがらない、芸能人のワイドショー的要素だけではありません。例えば筆者は、セカオワ(SEKAI NO OWARI)が本格的に売れる少し前に、このグループは売れるのではないかと思い記事を書き始めたことで、かなりのアクセスを集めたことがあります。今後流行しそうな人物や商品を、テレビが気づく前に先行して書いておき、流行った時点でアクセスを集めるのも、トレンドアフィリエイトのひとつとも言えます。
目安としては、Twitterで流れている時点ではまだ間に合い、テレビが取り上げたらもう間に合いません。Twitterやマイナーな雑誌などを見ながら、数ヶ月後〜半年以内にトレンドになりそうなワードを的中させれば、SEOという観点が薄くても、検索上位に記事は上がります。
トレンドアフィリエイトを善良なサイト運営に応用することはできるか
現在は、芸能人ネタは飽和状態であるため、トレンドアフィリエイトは末期状態に入っています。
指導者によっては、犯罪の被害者のプライバシーついて書けと指南している者もいるほどです。また、一部の指導者は、YouTubeに拾った画像と文字スクロールを流すだけのトレンドアフィリエイトを推奨しています。この種のハズレ動画には、多くの人がブーイングボタンを押しています。Googleが、動画の収益化の基準に、新たにチャンネル登録者数1000人以上の基準を設定したのは、この影響もあると思います。拾った画像と文字スクロールの動画を作るクリエイターに、ユーザーがチャンネル登録するはずがないからです。
このようにトレンドアフィリエイトは、末期の状況ですが、まっとうなサイト運営に活用することは可能なのでしょうか?
ポイントは、まだ誰も気づいていないが、近いうちに検索需要が出てきそうな素材を自力で探すことです。先日、私が予備校時代に教えていた明大生がお笑いコンビ(まかろにステーション)としてデビューしました。かねてから自分たちをブログで扱って欲しいと要請されていたこともあり、テレビ出演を前に、インタビュー記事を書きました。
下は予告編のような記事です。はてなブログはインデックスが早いので、あまり心配ありませんでしたが、念のため早めに記事を置きました。
下がメインのインタビュー記事です。お陰様で人気エントリー入りできました(はてなブックマークで応援いただいた読者の方に、本人たちに成り代わり、深く御礼を申し上げます)。
ギャビンは、お笑いコンビ・まかろにステーションの1人で、アメリカ人出身の明大生。モデルをしながらお笑い芸人に挑戦しています。先日のテレビ番組『うちのガヤがすみません』(日本テレビ)出演直後の検索結果です。
出典:Google
ライバル記事が全く存在しないので、当然ですが、検索結果の1位、2位に表示されました。PV数は初日だけで1万を超えています。
ブログ運営では、本来は息が長い検索流入をめざすのがおすすめですが、ときどき大きな流入があることで、ドメインの評価が上がります。また特にワードプレスで運営の初心者の場合、アクセスを集められる実感が得られるメリットがあります(はてなの場合、ドメイン強度やはてな運営側の工夫が大きく、アクセスが集めやすいので、あまり関係がありません)。
出典:Google
実は同時に、画像検索での上位占拠も狙いました。赤丸が筆者撮影の写真で、クリックすると筆者の記事に飛ぶようになっています。画像検索は、キーワードにもよりますが意外にニーズが高く、要注意です。
筆者のブログに誘導をしたのは、インタビュー読んでもらうことで、間違いなくファンが増えるからです。記事から、まかろにステーションのギャビンやきたばのSNSに流すように工夫して書いています。青で消したのは、プロカメラマンによる画像で、著作権を配慮しました。
画像を確実に検索結果に反映したい場合、(中級者の方には常識ですが)画像にalt属性を設定します。はてなブログでは、2回目以降に同じ画像を使用する場合、上の画面が出ます。ただし、Google側も前後の文章から画像の内容は自動判定しますので、面倒な場合は、律儀に行わなくても良いでしょう。
※alt属性は、視力が弱い方のために、音声読み上げに備え画像を言葉で説明する機能の一環でもあるため、その意図があれば、きちんと記入してゆきます。
1次情報側からの視点
今回、ギャビン(まかろにステーション)を紹介するメインの記事は、テレビ出演の少し前にアップしました。
すると、深夜のテレビ放映後、早朝5時頃、ギャビンの話題を書いたブログが出現しました。徹夜または朝4時ごろに起きて、Twitterのトレンドをチェックし書かれた記事だと思われます。早朝は、スポーツ紙のスクープが明らかになるにも関わらず、手を動かす人が少ないため、相対的に有利になります。トレンドアフィリエイターの苦労が分かります。
しかし、テレビの放送内容を抜粋した薄い内容であり、質的には相手になりません。もしこちらの記事から写真等を転載すれば、記事はすでにGoogleにインデックスされているため、コピーになり相手記事の評価が下がります。
その後、ドメインが強いabematimes.comが記事を書いてきたため、キーワードによっては接戦になりましたが、現在は筆者の記事の方が上位表示されているはずです。Googleのアルゴリズムは分かりませんが、最初にキーワードについてきちんと書いた記事は、その後も有利な傾向を感じます。これはアフィリエイトでも同様です。将来的に流行りそうなジャンルを察知し、先行して書いた場合、強いドメインにも十分対応できる傾向があると思います。
まとめ 日大選手のプライバシーでアクセスを荒稼ぎ トレンドアフィリエイトの裏事情
新しい検索語が誕生することが事前にわかっている場合には、事前に記事を書くことで、アクセスを集めることができます。
今回は、まかろにステーションの1人であるギャビンのInstagramのフォロワーが、1101名から2763名に増えました。もちろん記事だけの効果ではありませんが、まかろにステーションにとっては、大きな第1歩になったと思います。
ちなみに、今回の記事での収益4000円程度です。アクセスの属性が絞れているわけでなく、収益化が難しいキーワードですので、この程度となります。今回の記事は、応援がメインで、多少ドメイン強化になれば十分と考えていました。
収益 |
約4000円 |
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経費 | ロケ弁代(2人分) | 1040円 |
お菓子代 | 260円 | |
お茶代 | 260円 | |
小道具代(成城石井 五三焼カステラ) | 590円 | |
貸し会議室代 | 4800円 | |
経費合計 | 6950円 | |
収支 | ▲2950円 |
結果的に少し赤字になりました(笑) きちんと取材するとどうしてもこうなりがちで、まとめやコタツ記事が多い理由が分かると思います。
しかし、しっかりとした記事を書いて行けば、長い目では上位表示される環境が、現在のGoogleにはあります。とくにはてなブログはドメインが強いため、数ヶ月後くらいにしぶとく上がってくることも多いです。もちろん検索需要を理解した上で、クローラーにわかるように記事を書き内部構成を取ることが必要です。次の記事も参考にされてみてください。
インタビュー記事では、成城石井 五三焼カステラを活用した動画が好評でした。