まず私からは北朝鮮に対する相次ぐ差別・弾圧について、そしてそれを生み出す背景となっている日本社会の北朝鮮悪魔化について訴えます。

皆さんが「北朝鮮」と呼ぶ相手が日本国民にとって無条件に忌み嫌い、憎悪することを許されている対象だからに他なりません。

しかし、その「北朝鮮」とは何でしょう?

皆さんのほとんどは、それをマスメディアを介したイメージでしか知りません。行ったことなければ、そこで生きる人々とあったこともない。

自らの体験を通して知ったことはそこになく、ただただ垂れ流されるゴシップ紛いの情報の山によって築かれたイメージです。どの社会も多様な側面があるに関わらず、こと「北朝鮮」に関しては常にそれはどれも似たり寄ったりです。



反戦と平和を叫び、差別反対を唱えるようないっけん「リベラル」かあるいは「左翼」を自称するひとが安倍政権を批判する際に「まるで北朝鮮」と言います。

右翼から左翼までそのイメージが共有されているのです。

ところで、そのイメージに含まれるものの1つに朝鮮は全体主義的というのがあります。



なんという皮肉でしょうか。



右から左まで、国会のなかでは与党も野党も関係なく、朝鮮敵視が支持されていること、そしてそれによって現実に差別と暴力が起き続けていること、しかも、それが創り上げられたイメージによって支えられているというこの日本社会の状況こそ既にずっと長い間全体主義的なのです。



あなたたちが幾らでも自由に忌み嫌い、憎悪することが許される「北朝鮮」のイメージ。

それはあなたたち自身が創り上げたものです。



そしてあなたたちが「北朝鮮よりはマシ」だと信じている日本の「戦後民主主義」なるものが、実のところ侵略戦争と植民地支配の責任から逃れ、朝鮮分断に積極関与し、冷戦構造の維持と強化に与することによって条件付けられたものであり続けていることを決して忘れないでください。