バングラデシュで反ドラッグ作戦、70人以上死亡

観光バスの座席の下に隠された違法薬物を押収するバングラデシュの治安担当者 Image copyright Getty Images
Image caption 観光バスの座席の下に隠された違法薬物を押収するバングラデシュの治安担当者

バングラデシュの治安当局者は27日、同国政府が今月開始した反違法薬物作戦の一環で、70人以上が治安部隊に殺害されたと発表した。

当局者によると、同国の首都ダッカで大規模な強制捜査が実施された。

26日に一晩中続いた衝突で100人以上が拘束され、違法薬物の取引への関与が疑われた他数名が銃で撃たれたという。

人権団体はこの一斉検挙を、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が推進し死者を多数出している違法薬物との戦いと比較して懸念を表明している。

バングラデシュの警察当局と同国の緊急行動部隊(RAB)によると、反薬物作戦がバングラデシュで始まって以来、数千人が拘束され、数百人の薬物使用者が罰金を受けた。

最近では、違法薬物の密売人と疑われる多数の人物が、RABによる取り締りや複数の地域で一斉検挙があった際に銃で応戦し、殺害されたという。

治安部隊との衝突で殺害された人々の遺体は、ダッカ医科大学付属病院で納棺された Image copyright EPA
Image caption 治安部隊との衝突で殺害された人々の遺体は、ダッカ医科大学付属病院で納棺された

反違法薬物作戦は、薬物の密売人の取り締りを目指すバングラデシュのシェイク・ハシナ首相が発表した。

ハシナ首相はこの作戦に、同国で活動するイスラム武装勢力への取り組みと同じぐらい力を入れると述べた。イスラム武装勢力をめぐってはここ数年、バングラデシュ警察や民兵組織による武装勢力拠点の襲撃で、容疑者数十人が死亡している。

主要人権団体はこの直近の衝突を「違法」だと非難している。ダッカを拠点に活動する人権活動家のピナキ・バッタチャリヤ氏は、治安部隊が「テロの雰囲気」を作っていると述べたと英紙ガーディアンが伝えた。

バッタチャリヤ氏は、「これは深刻な水準に達した人権侵害の超法規的殺人に他ならない。治安部隊は自由裁量を持ち、裁判官や陪審員、死刑執行人かのように振舞っている」と述べた。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、この殺害は調査される必要があるとした。

作戦は、フィリピンのドゥテルテ大統領による検挙とも比較され、活動家たちを心配させている。

ドゥテルテ氏が2016年7月に開始した違法薬物取引との戦いで、7000人以上が殺害されたといわれている。

ドゥテルテ氏は数万人の死者を出している自身の違法薬物対策が、密売人のみを標的にするものではなく、「薬物中毒者の虐殺」も狙っているとしている。

(英語記事 Bangladesh anti-drug operation leads to dozens of deaths

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