にんじん、塩、オリーブオイルだけ
春から夏にかけてとれる新にんじんを、ど真ん中ストレートに味わいましょう。スープそのものを飲むというよりは、スープ煮のにんじんを汁ごと味わう、という食べ方です。
だしは一切使わずに、塩とオリーブオイルだけでシンプルに煮てみてください。これまでほかの野菜の陰にかくれて印象が薄かった、甘くてみずみずしいにんじんの魅力に気づくことでしょう。
少しの水と塩とオイルを使ってじっくり火を入れるオイル蒸しのやり方で、にんじんの甘さや風味を引き出すことができます。スープ料理に限らずほぼすべての野菜、とくに根菜に応用がきくので、覚えて損はありません。
汗ばむ季節には冷やして食べてもおいしいもの。アレンジメニューでは肉などを少し加えていますが、まずはシンプルににんじんだけで味わってみてほしいです。
にんじんの塩スープ
材料(2人分) 所要時間約20 分
にんじん 2本
オリーブオイル 大さじ1
塩 小さじ1
水 約400~500mL
作り方
1.にんじんを切る
にんじんは、へたを取って皮をむき、1cmほどの輪切りにする。皮もとっておく。★1
2.にんじんを蒸し煮する
鍋に、にんじん、オリーブオイル、塩と水100mLを加えてざっと混ぜ、片隅に皮も入れ、中火で10~15分、ふたをして煮る。途中ふたを開け、水が減っていたら補う。★2
3.水を加えてあたため、味をととのえる
にんじんがすっかりやわらかくなったら、水300~350mLほどを足してあたため、塩で味をととのえる。
レシピのポイント解説
・にんじんの扱いについて
・にんじんの蒸し煮
★1 .にんじんの扱いについて
にんじんは色が濃く鮮やかなものを選びましょう。この時季は、軸の部分が緑がかったものを選びます。
軸が緑っぽいものが新鮮
にんじんのサイズは個体差がかなりあります。今回は中サイズ、約15cmで160~180gのものを、2本使いました。
にんじんは比較的保存性の高い野菜ですが、新にんじんは水分が多く傷みやすいです。特に、皮に水がついているとそこから傷んでくるので、必ず水気をふきとり、できれば新聞新やペーパーにくるんで冷蔵庫に立てておくとよいです。
葉付きのにんじんは葉を切りおとして保存すること
にんじんの皮をむき、厚さ8mmほどに輪切りにしていきます。皮はピーラーでむくと、薄くむけます。
固く丸いので左手でしっかりおさえて
皮も使うので捨てずに
★2.にんじんの煮方
さて、にんじんは蒸し煮で火を通します。鍋はぴっちりふたができるものを選びましょう。なるべく厚手の鍋がよいです。にんじんを鍋に入れ、塩をふり、オリーブオイルを加えます。
塩小さじ1、オイル大さじ1をムラなくかける。塩が固まってしまったらへらなどで混ぜて
ここに、水を加えます。水は全量ではなく、約100mLほどです。
蒸し煮するため、にんじんが全部隠れるまで水を入れる必要はなし
ざっくり混ぜてから、鍋の端のほうへ皮をまとめて加えます。皮からのだしも利用するためです。
皮はあとで取り出すので、混ぜてしまわないように
この鍋にふたをし、中火にかけて、約10分から15分ほど、にんじんに柔らかく火が通るまで蒸し煮します。途中、5~7分ほどで鍋のふたをあけてみましょう。水が減っていたら、50mLほど水を足してやります。
5分後。鍋の厚さ、にんじんの大きさ、火加減によって水分蒸発量に差が出る
タプタプの水で煮ないというのが、このスープの最大のコツです。少なめの水で蒸し煮することで、にんじんが汗をかいたようになっています。にんじん自体の水分も使いながら、蒸されていきます。
ただし、水の蒸発には気をつけましょう。にんじんは糖分が多いため、水が少なくなるとあっという間に焦げてしまいます。すっかり煮えたら、皮を取り出します。
皮は取り出してしまう
皮を取り出して水を加えたら、あとは、あたためて塩味を調節するだけとなります。
にんじんスープとパンで簡単ごはん
にんじんは、ほかの野菜と合わせると、いろどりなどを添える引き立て役になってしまいますが、単体で食べると力強く魅力ある野菜です。おいしい時期にたっぷりと食べてください。
パンに合うスープです。薄切りのトーストなどと一緒に食べると、甘みが引きたって美味しく食べられます。薄味なので混ぜご飯やおにぎりなどとも相性がよいですよ。
【アレンジ】やさしいうまみでコクを添える
ほかの食材を加えると、存在感がすぐ消えてしまうのが、にんじんです。うまみを添える食材も、豚や牛肉、ベーコンなどではなく、鶏肉などやさしいうまみのものが、にんじんを生かしつつおいしく食べられるくみあわせではないかと思います。
サラダチキン入りにんじんスープ
切ったサラダチキンを一緒に蒸し煮すると、ボリュームとコクがアップします。にんじんを煮始めて7~8分ほどたったら、カットしたサラダチキンを鍋に入れましょう。にんじんの甘みが添えられると肉自体もおいしく食べられます。サラダチキンには塩分が含まれているので、加える塩は控えめに。これからの季節、よく冷やしてもおいしいです。
もちろん、普通の鶏肉でも作れます。この場合は加熱時間はサラダチキンより少し長めに。
にんじんと油揚げの和風スープ
油揚げや豆腐など、大豆系のうまみもにんじんと相性がよいものです。ここでは、にんじんを蒸し煮してから油揚げを加えました。にんじんは、輪切り以外の切り方でもOK。ここでは、縦1/4にしてから、斜めに切っています。油揚げは、お湯をさっとかけてキッチンペーパーで水気を押さえてから切ると、余分な油がとれてスッキリします。