Photographer: Scott Eisen

三菱地所は米国不動産投資を拡大、2500億円規模のファンド組成

  • 投資家は主に米国の機関投資家や年金、日本の年金なども参加
  • ボストンやワシントンのオフィスビルなど28物件が当初の運用資産

海外不動産投資を拡大する三菱地所は米オフィスビルなどが対象の2500億円規模のファンドを組成した。賃料や手数料で収益確保を狙う。

  米金融機関や年金を中心に国内年金が出資したほか、自らも1000億円を拠出した。投資期間が限られないオープンエンド型で、菱地所グループが保有するボストンやワシントンのオフィスビルなど28物件を組み入れて3月末に設定した。菱地所の稲川純路・投資マネジメント事業部担当部長はインタビューで「米不動産はそろそろ高値圏との見方もあるが、地域やセクターでは投資機会が多い」と述べた。

  菱地所グループは米子会社ロックフェラー・グループ・インターナショナルを通じて米国と欧州で投資事業を展開、今回のファンドもこの枠組みに入る。アジア・太平洋地域でも不動産ファンドを手掛けており、現在の3兆円規模の資産を5兆円まで拡大させる意向だ。欧州やアジアの投資物件もオープンエンド化を検討して収益性物件の取得を進めている。

  三井住友トラスト基礎研究所の「不動産投資に関する調査2017年」によると105の年金基金や機関投資家は今後の不動産投資について年金では「維持する」、機関投資家では「実行する、増やす」との回答が最多だった。具体的な商品では国内・海外不動産を問わず「オープンエンド型ファンドへの注目度が高まっていることがうかがえる」としている。

  今回の菱地所のファンドは収益目標として、米国の不動産投資成果を図る指標の全米不動産投資受託者協会(NCREIF)不動産インデックスを上回る水準を示した。この指数の18年第1四半期での年間トータルリターンは8.07%だった。

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