■曜日の来た道 (その3)
新バビロニア王国が滅んで、捕囚を解かれたユダヤの人々は故国へと帰還し、
このときにバビロニア風の 7日毎に巡る「週」という時間の周期も持ち込ん
だものと考えられます。
少々話が横道にそれますが 7日という長さには何か意味があるのでしょうか。
暦にはいろいろな長さの単位がありますが、その一つに「月」があります。
現在は 2月の例外的な28日の他は30ないしは31日で一月ですが、暦の始まり
の時期には月の満ち欠けに合う29~30日が基本的な「一月」の長さだったと
考えられます。
次に、月よりもう一段細かな時間の周期(たとえば市場を開く周期のような、
日常に使われる周期)を考えるとき、この「一月」の長さと無関係なものを
作るとは考えにくい。そう考えると週の 7日間という長さの意味がわかるよ
うです。つまり一月の1/4 と言うこと。
月の満ち欠けによる一月は約29.5日。これを1/4 すると
29.5 / 4 = 7.375 日 → 約7日
です。ではなぜ一月の1/4 なのかと考えると、月の満ち欠けを新月から考え
てその 7日づつの変化を考えるとおよそ、
1日目 新月
8日目(1+ 7) 上弦の月(半月)
15日目(1+14) 満月
22日目(1+21) 下弦の月(半月)
となります。月を見ればわかるとおり、大変印象的でわかりやすい月の形で
す(下弦は通常23日目辺りですが、この辺は 7.375日の端数の影響)。
こう考えると、一月を更に短い周期で区切るのに、 7日という単位を考えた
理由は合点が行きそうです。
さて話は戻って、この 7日間の週の概念は当初はバビロニアの一種の星占い
として生まれたもののようですが、それが次第に便利な時の周期として日常
の生活に取り入れられて行ったものと考えられます。
ユダヤ人の社会においては、紀元前 2世紀頃には日常の生活に週の概念が浸
透していたと考えられています。そしてその周期は聖書の創世記で神が世界
を作るのに要した期間として描かれ、神聖な周期となってゆきました。
さて、こうして神聖な周期となった 7日間の週と、その週の各日付を区別す
る曜日という考えを持つユダヤの人々は、この頃再び外部の世界との大きな
接触を持つことになります。
それが世界帝国、ローマ帝国との出会いです。
とここまで書いたところで、大分長くなってしまいましたので本日はこれま
で。ではまた次回。
(『暦のこぼれ話』に取り上げて欲しい話があれば、
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オリジナル記事:日刊☆こよみのページ 2006/11/05 号
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