トップ > 滋賀 > 5月28日の記事一覧 > 記事
滋賀C56北びわこ号、駆けた23年 ファンらねぎらいの声
「ポニー」の愛称で知られ、二十七日、ラストランを迎えたSL北びわこ号のけん引車「C56形蒸気機関車」。沿線は別れを惜しむファンであふれ、二十三年間にわたって湖北路を走り続けた車両の最後の晴れ姿を見届けた。 「お疲れさま」「ありがとう」-。もくもくと煙を上げながらC56形が終点の木ノ本駅(長浜市)に姿を見せると、ホームからはねぎらいの声が飛んだ。到着後も、車両を取り囲んで記念撮影する人の輪はしばらく続いた。 ラストランと知って初めて乗車した大阪府泉佐野市の会社員、松谷崇さん(34)は「スピードが遅くてのんびり。車両も小さくてかわいかった」。C56形で約十五年間乗務してきた機関士の青山智樹さん(39)=大津市=は「SLにも機嫌があり、機械ではなく、人と付き合っているようだった。ゆっくりと余生を過ごしてほしい」と感慨にふけった。
小型ながらも馬力のあるC56形は一九三五(昭和十)~三九年にかけて製造され、今回の車両はJR西日本管内では最後の営業車両。全国では、他に静岡県の大井川鉄道が営業運転している。 この日は午前と午後の二回運転。一カ月前に販売した計約八百五十人分の前売り券は、わずか十五分で完売した。沿線には“撮り鉄”が大挙し、木ノ本駅では記念イベントも開かれるなど盛り上がった。 次回の七月十五日の運行からは、「デゴイチ」の愛称で知られるD51形がけん引する北びわこ号。木ノ本駅構内の産直市場スタッフの高橋良子(ながこ)さん(47)は「引退はさみしいけど、デゴイチにもにぎわいを運んでもらえれば」と期待した。 (渡辺大地)
|
|