カスタム検索
表示順:
Relevance
Relevance
Date
ウェブ
 
 
 

Kubernetes対応コンテナランタイム「containerd 1.1」正式リリース。CRIにネイティブ対応し、Dockerより軽量で高速な動作を実現

2018年5月28日


コンテナ型仮想化を実現するDockerは、その内部にコンテナランタイムとしてcontainerdと呼ばれるソフトウェアを内蔵しています。

このcontainerdはもともとDocker社によって開発されてきましたが、標準的なランタイム実装を実現するために、Docker社から中立的な団体であるCloud Native Computing Foundationに(CNCF)に、2017年3月に寄贈されました。

containerdは現在もDocker内部のランタイムとして使われています。事実上の標準コンテナランタイムといえます。

そのcontainerdのバージョン1.1が正式にリリースされ、Kubernetesにネイティブに対応したことが発表されました

containerd 1.1はCRIにネイティブ対応

一般にKubernetesで構築するクラスタでは、Dockerを用いてコンテナを実行します。このとき、KubernetesとDockerのあいだでは、Kubernetesで標準化されたAPIであるCRI(Container Runtime Interface)によってやりとりが行われます。

ただしDockerは現時点でCRIにネイティブには対応していないため、KubernetsとDockerは「dockershim」と呼ばれるブリッジを介してやりとりが行われています。

containerd 1.1 fig1

2017年12月にCNCFの下でバージョン1.0に到達したcontainerdは、Kubernetesへの対応も進められていましたが、バージョン1.0の段階ではcontainerdもCRIにネイティブには対応しておらず、Kubenretesでコンテナランタイムとしてcontainerdを使う場合には、CRI-Containerdをブリッジとしていました。

containerd 1.1 fig2

そして今回正式版としてリリースされたされたcontainerd 1.1では、containerdにCRIプラグインが組み込まれたことで、CRIにネイティブに対応。直接Kubernetesとやりとりできるようになりました。

containerd 1.1 fig3

containerd 1.1では使用メモリもCPU負荷もより小さく

Kubernetesにネイティブに統合可能なcontainerdは、ブリッジで連係するDockerと比較するとより軽量で動作も高速になっていることがCNCFによって示されました。

下記はCPUへの負荷を示したグラフです。赤いマーカーで示されたcontainerd 1.1利用時のほうが、kubernetes側、コンテナランタイム側のいずれもCPU負荷が低くなっています。

containerd 1.1 fig4

メモリ消費量に関しても同様で、赤いマーカーで示されたcontainerdのほうがメモリ使用量が小さくなっていることが分かります。

containerd 1.1 fig5

次期Dockerにはcontainerd 1.1搭載へ

containerdがKubernetesとネイティブにやりとりできるようになるからといって、Dockerが不要になるわけではありません。Dockerコマンドなどを用いたコンテナイメージのさまざまな操作を行うには、コンテナランタイムとなるcontainerdだけでは足りないからです。

そしてDockerがcontainerdを含むということは、当然、次のバージョンのDockerにはこのcontainerd 1.1が搭載される見通しとなっています。これによって、DockerとKubernetesを組み合わせた場合にもKubernetesとcontaneridはCRIを通じて直接やりとりすることになり、軽量な実装の利点を得ることが可能になります。

containerd 1.1 fig6

参考

関連記事

follow us in feedly

カテゴリ Docker / コンテナ / 仮想化
タグ  Docker , Kubernetes , コンテナ型仮想化


前の記事
OpenStackをベースにしたハイパーコンバージド基盤ソフト「Red Hat Hyperconverged Infrastructure for Cloud 」発表


カテゴリ



Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

人気記事ランキング

  1. Slackが新機能「Actions」を発表、Slack上からほかのツールへの書き込みや操作を可能に
  2. Slackアプリケーション開発者の支援ツール「Slack Developer Tools」発表
  3. AWS、ベアメタルサーバ「i3.metal」を正式サービスとして提供開始
  4. 日本オラクルが今後のJavaのリリースモデルと公式バイナリについてあらためてJava Day Tokyoで説明。オラクルによる公式バイナリの無償提供はOpenJDKベース
  5. Google Kubernetes Engine 1.10が正式リリース。ゾーンに分散したストレージのレプリケーション、マルチマスターを3つのゾーンに分散して高可用性を実現
  6. 来月にはJava 10が登場し、9月にはJava 11が登場予定。新しいリリースモデルを採用した今後のJava、入手方法やサポート期間はこう変わる(OpenJDKに関する追記あり)
  7. Slack、BotやSlackアプリなどのメッセージ表示をリッチ化する「Block Kit Builder」発表
  8. 仮想マシンをベースにしたセキュアなコンテナ実装「Kata Containers」がバージョン1.0に到達。OpenStack Foundationが開発
  9. OpenStackをベースにしたハイパーコンバージド基盤ソフト「Red Hat Hyperconverged Infrastructure for Cloud 」発表
  10. Kubernetes対応コンテナランタイム「containerd 1.1」正式リリース。CRIにネイティブ対応し、Dockerより軽量で高速な動作を実現


新着記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig