『POSSE』vol.38
『POSSE』vol.38をお送りいただきました。ありがとうございます。特集は「環境問題と社会運動」です。
http://www.npoposse.jp/magazine/no38.html
◆特集「環境問題と社会運動」
15分でわかる環境問題と社会運動
世界と日本の石炭火力反対運動
――運動世界の運動から学ぶほんとうの若者目線
伊与田昌慶(NPO法人気候ネットワーク研究員)
ダイベストメント運動で気候変動問題に取り組む国際環境NGO“350Japan”
――草の根ムーブメントの構築を目指して
清水イアン(350Japanフィールドオーガナイザー)
日本のインフラ輸出がもたらす環境破壊と人権侵害
――気候正義 Climate Justice を求めて
深草亜悠美(FoE Japan気候変動・エネルギー担当)
書評 吉田文和著『スマートフォンの環境経済学』
スマートフォンで学ぶ物質代謝とその攪乱
本誌編集部
グローバルIT企業に挑む
――クリーンなスマホ生産の新たなリーダーを生み出す国際的な運動展開
石川せり(グリーンピースエネルギー担当)×城野千里(グリーンピース広報担当)
秩父・武甲山
――産業によって破壊される文化・信仰
笹久保伸(音楽家・秩父前衛派)
米軍基地と沖縄の環境問題
桜井国俊(沖縄大学名誉教授)
書評 ナオミ・クライン著『これがすべてを変える 上・下』
いま最もラディカルな社会運動論
本誌編集部
ただ、ここではそれ以外の記事を紹介しておきます。
なかなか面白かったのは、例の「All for all」で政治的には失敗した井手英策さんがシェアリングエコノミーについて語っているインタビュー記事でした。
シェアリング・エコノミーと普遍主義
――新しい生き方を支える新しい財政を
井手英策(財政社会学者)
ここで井手さんは、シェアリングエコノミーについて、今現在のマスコミや評論家たちとはいささか違ったとらえ方をします。
・・・僕は、シェアリング・エコノミーをこう見てます。人口が減少し、暮らしの水準が傾向として低下する中で、顕示的消費は縮小する。一方、生存・生活を支える共通ニードは、痛みや喜びをシェアする形で財政の再編に向かう。個別ニードは、市場で満たすと同時に、場合によっては材の共有化さえも伴いながら、互酬的な関係が補っていく。・・・
・・・社会の構成員の生存・生活に不可欠と考えられる者が共有化されていく側面に着目する。だから、世に言うシェアリング・エコノミーよりも、僕の場合は概念が広いです。それが社会の中で非常に重要なウェートを占めるようになっていくだろうと考えています。
これは、sharing economyという言葉を(あえて世間の流行とは切り離して)文字通りにとったときに出てくる解釈という感じがしますが、それ故に、井手さんにとってシェアリングエコノミーは経済成長の源泉になるどころか、むしろGDPを減らすものなのですね。
実は、欧米のシェアリングエコノミーの議論の中にも、協同組合型社会を展望するような議論もあったりするのですが、少なくとも今はやりの議論とは全くベクトルが逆であることは確かなようです。
もう一つ、読み物として面白いのは外国人労働問題の弁護士として有名な指宿昭一さんのインタビュー。
最も立場が弱い人のために闘う
――外国人労働者問題に取り組む「弁護士資格を持った活動家」
指宿昭一(弁護士)
指宿さんはもともと統一労評という労働組合の活動家だったのが、労働者側にたった弁護士になろうと思い、17回にわたって司法試験を受けてついに弁護士になった方です。自ら「弁護士資格を持った活動家」と称し、特に外国人労働者の問題をここまで進めてきたのは指宿さんの努力があってこそなのでしょう。
・・・「なぜ外国人問題に取り組むんですか」という質問を時々受けるのですが、労働法が最も守らなくてはいけない最も弱い立場の人がそこに居るからです。この人たちを守れなかったら、他の日本の労働者も守れない、という一番過酷なところに係っている問題が多いのです。・・・
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