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アイドル「虹コン」元メンバーがセクハラ被害を証言 ピクシブの永田社長を提訴

提訴された永田寛哲氏は取材を拒否した。

元アイドルがセクハラを受けたと、当時のプロデューサーであり、イラストSNS「pixiv」を運営するピクシブ社の現社長・永田寛哲氏を提訴した。元アイドルはどのような被害を訴えているのか。

Aさん(22)が所属していたアイドルグループは「虹のコンキスタドール(虹コン)」。pixivを運営するピクシブ社が2014年7月に始めた、次世代クリエイターアイドルを育成する「つくドル!プロジェクト」から発足したグループだ。

作曲に前山田健一さん、プロデュースに「でんぱ組.inc」も手がける福嶋麻衣子さん、衣装デザインに人気イラストレーターの岸田メルさんが参加。総合プロデューサーにはピクシブ社で副社長(当時)だった永田氏が就いた。

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訴状によると、Aさんは以下の3つのセクハラがあったと訴えている。

  • 京都旅行に強引に同行し、同じ宿の同じ部屋に泊まることを強要した
  • アルバイトとして、全身をマッサージさせた
  • 脱衣所で盗撮行為をした


永田氏側の代理人は5月7日の第一回口頭弁論で「京都旅行に同行し、隣で就寝」と「マッサージ」については認めた。一方、「脱衣所での盗撮」については、一部事実と違うと主張している。

BuzzFeed NewsはAさんに話を聞いた。以下がその内容だ。

京都での宿泊

Aさんは2015年4月頃からグループ脱退を考え始めていた。同年12月、永田氏に「京都に1人で旅行して息抜きをしたい」と申し出た。永田氏は「一人旅はダメだけど、僕が付き添いで行くならいいよ」と言ったという。当時、Aさんは未成年だった。

「『なんで?』とは思いましたが、一人旅は許可してもらえないし、付き添いって言っても私が行きたいところに同行するだけだと思いましたし、それよりも、反抗したら逆上されると思い、なにも言えませんでした。永田さんの怖い面も見てきたので」

新幹線と旅館は永田氏が手配した。京都に到着し、永田氏がレンタカーを運転して観光した。その後、高級旅館についた。

「旅館に着いたら、相部屋だったんです。部屋では、くっつけた状態で布団が用意されて。『えっ』と思ったけど、永田さんに生活や仕事で依存している状態だったので、今さら別の部屋にしてくださいとは言えなかったです。襲われることはありませんでしたが、息抜きどころか気持ち悪かったです」

マッサージの強要

当時、虹コンの活動費補助は月3万円ほどで、給料は無いに等しかったという。アイドルを目指すことを許してくれた親に迷惑はかけられないとAさんは金銭の相談をしなかった。会社からバイトは禁止されていた。

Aさんは永田氏に「アルバイトをしたい」と申し出たが、叱責され、許可されなかったという。

「『マッサージをしたらバイト代をあげる』と言われ、しました。すごく怒られた後だったので、怖くてとても断れませんでした。そうしたら永田さんが『これをバイトにしよう』と言ってきました」

「嫌でしたが、お金がなくて、親に負担はかけたくないですし。仕方がないとやっていました。ほかに稼ぎ方がなかったんです」

全身のマッサージは週に1〜2回程度。場所は当時メンバーが住んでいた寮か永田氏の自宅か作業部屋だった。マッサージを強要されるときは、いつも2人きり。約1時間マッサージをして、5000円程度が渡されたという。

2015年9月頃から翌春までの半年間続き、計10回以上は永田氏にマッサージをしたという。

脱衣場での盗撮

虹コンは2018年1月7日、ワンマンライブを開いた。そこで、Aさんと同期メンバーの卒業セレモニーがあった。脱退するメンバーから「来て欲しい」と誘われた。

ライブ前日に上京することになり、永田氏に寮などどこかに泊まれるかとLINEで聞いた。永田氏からは「僕の家の客間が空いているから泊まっていいよ」と返事が来た。

「ホテルなり寮なりが提示されると思っていました。けれど、奥さんもお子さんもいらっしゃるし、なにかされることはないだろうと。また、もう脱退したメンバーに宿泊代は出せないと言われると思い、宿泊することにしました」

自宅は南青山の高級マンション。6日夜、ゲスト用のバスルームもあるが、永田氏からマスターバスルームを使うよう指示があった。

入ってみると、脱衣所にフック型の「隠しカメラ」が仕掛けられていることに気づいた。壁につけた粘着テープが剥がれたのか、カメラが落下したことで気づいたという。Aさんはカメラに映らないように着替えた。

7日もカメラはあった。前日とは場所が変わっていた。永田氏の自宅は、ガラス張りの浴室になっている。7日は脱衣所から浴室を映す位置になっており、どうしても全身が映ってしまう角度に変わっていたという。

「どうしたらいいかわかりませんでした。奥さんもいるし、私が言ったことによって夫婦間が悪くなったら…とも考えました。それで逆上されたら、きっと私のほうが悪者にされるのではと思ったので」

「親にも申し訳なくて言えなかったです。LINEで信頼できる友人に相談していました。一睡もできませんでした」

フラッシュバックで大学受験断念

脱衣所での盗撮について、永田氏は裁判で一部事実と違うと主張し、詳細は明らかにされていない。

一方で、これらのセクハラ被害を訴えるAさんはまた、その後遺症についても次のようにBuzzFeed Newsに証言する。

永田氏の自宅に泊って翌8日、Aさんは地元の九州に帰る飛行機を予約していた。同日、永田氏も家族で九州旅行だった。タクシーで永田氏と妻、子とともに羽田空港に向かった。「移動中も必死に平静を装っていました」とAさん。

空港で永田家と別れた。そこで母親に電話で「嫌なことがあったから帰ったら言うね」と詳細は明かさずに連絡。乗る予定だった飛行機には乗らず、都内に戻り、虹コンの女性スタッフのもとを訪ねた。そこで泣きながら盗撮されたことを相談したという。

Aさんは翌週に大学入試センター試験を控えていた。自己採点では9割以上の点数を取れるほど、脱退してから猛勉強に励んできたが、盗撮被害に遭ったあとはショックから、一時期体重は33キロまで落ち、ペンを持つこともできなくなったという。

試験当日、会場に向かっているとき、永田氏から「がんばってねー!」とLINEが来た。フラッシュバックで気持ち悪くなり、嘔吐。動けなくなった。結局、会場に行けなくなり、試験を受けることはできなかった。

BuzzFeed Newsは永田氏からも話を聞くためにオフィスを訪ね、直接取材を申し込んだが応じてもらえなかった。ピクシブ社を通じても取材を申し込んだが、「取材は控えさせていただく」との回答だった。

現在も、永田氏に書面で取材を申し込んでいる。

Aさんは、性暴力について語り、連帯する「#metoo」のムーブメントに勇気をもらったと話す。

「#metooの動きをみていて、声をあげた人は強い人だと思っていたんです。私にはできないと。けれど、今回、力を貸してくれる人もたくさんいました。嫌なことは嫌と言っていいと思えました。ここまで表になったんだから、言いたいことは声を上げていこうと思います」


BuzzFeed Japanはこれまでも、性暴力に関する国内外の記事を多く発信してきました。Twitterのハッシュタグで「#metoo(私も)」と名乗りをあげる当事者の動きに賛同します。性暴力に関する記事を「#metoo」のバッジをつけて発信し、必要な情報を提供し、ともに考え、つながりをサポートします。

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